滋賀県議会 > 2021-12-09 >
令和 3年11月定例会議(第18号〜第24号)−12月09日-05号

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  1. 滋賀県議会 2021-12-09
    令和 3年11月定例会議(第18号〜第24号)−12月09日-05号


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    令和 3年11月定例会議(第18号〜第24号)−12月09日-05号令和 3年11月定例会議(第18号〜第24号)                 令和3年11月定例会議会議録(第22号)                                        令和3年12月9日(木曜日)           ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 議事日程 第5号                                         令和3年12月9日(木)                                         午 前 10 時 開 議  第1 一般質問           ────────────────────────────── 本日の会議に付した事件  第1 日程第1の件           ────────────────────────────── 会議に出席した議員(42名)    1番   井  狩  辰  也       2番   本  田  秀  樹    3番   柴  田  清  行       4番   重  田     剛    5番   白  井  幸  則       6番   村  上  元  庸    7番   清  水  ひ と み       8番   河  井  昭  成    9番   佐  口  佳  恵       10番   小  川  泰  江
       11番   黄 野 瀬  明  子       12番   松  本  利  寛    13番   杉  本  敏  隆       14番   田  中  松 太 郎    15番   角  田  航  也       16番   塚  本  茂  樹    17番   山  本     正       18番   大  橋  通  伸    19番   駒  井  千  代       20番   中  村  才 次 郎    21番   桑  野     仁       22番   周  防  清  二    23番   海  東  英  和       24番   加  藤  誠  一    25番   竹  村     健       27番   目  片  信  悟    28番   有  村  國  俊       29番   大  野  和 三 郎    30番   岩  佐  弘  明       31番   富  田  博  明    32番   細  江  正  人       34番   川  島  隆  二    35番   奥  村  芳  正       36番   木  沢  成  人    37番   清  水  鉄  次       38番   冨  波  義  明    39番   江  畑  弥 八 郎       40番   成  田  政  隆    41番   九  里     学       43番   今  江  政  彦    44番   中  沢  啓  子       45番   節  木  三 千 代           ────────────────────────────── 会議に欠席した議員(なし)           ────────────────────────────── 会議に出席した説明員               知事              三 日 月  大  造               教育長             福  永  忠  克               副知事             江  島  宏  治               副知事             中  條  絵  里               知事公室長           東        勝               総合企画部長          川  崎  辰  己               総務部長            森  中  高  史               文化スポーツ部長        中  嶋     実               琵琶湖環境部長         石  河  康  久               健康医療福祉部長        市  川  忠  稔               商工観光労働部長        水  上  敏  彦               農政水産部長          西  川  忠  雄               土木交通部長          野  崎  信  宏               会計管理者           浅  見  裕 見 子           ────────────────────────────── 議場に出席した事務局職員               事務局長            西  出  佳  弘               議事課長            山  本  昌  男               議事課課長補佐         内  田  吉  行   午前10時 開議 ○議長(富田博明) これより本日の会議を開きます。  直ちに日程に入ります。    ──────────────── △一般質問 ○議長(富田博明) 日程第1、一般質問を続行いたします。  発言通告書が提出されておりますので、順次これを許します。  なお、会議規則第53条において、「発言はすべて簡明にするものとし、議題外にわたり、またはその範囲を越えてはならない」とされておりますので、遵守されるよう、お願いいたします。  まず、23番海東英和議員の発言を許します。 ◆23番(海東英和議員) (登壇、拍手)皆さん、おはようございます。今朝は「カムカムエヴリバディ」も見ずに早く出たんですが、白鬚神社の前で事故がありまして、車が15分ぐらいぴたっと止まったときは、間に合うかと心配したんですけれど、警察の皆さんの適切な事故処理によって間に合うことができました。ありがとうございます。そして、昨日は風で湖西線が止まりまして、いろいろ安全を守ってくださっていること、感謝申し上げたいと思います。  それでは質問を、通告に従いまして、最初の質問だけ一問一答でさせていただきます。  BDF政策の再考について。  COP26の報道では、SAF──Sustainable Aviation Fuelが注目されました。航空機のジェット燃料はCO2排出量が著しく多いので、それを抑えるために、廃食油等から精製したり、様々に生産した航空バイオ燃料を一定量混合しないと世界の空を飛べなくなるという内容でありました。SAFの導入はどのような意味を持つと受け止めるか、まず、知事にお伺いします。 ○議長(富田博明) 23番海東英和議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。  SAF──Sustainable Aviation Fuel、すなわち持続可能な航空燃料は、バイオ燃料などCO2排出の少ない燃料を航空機に使用するというものでございまして、その製造技術は様々な方策が検討されているということでございます。  国の地球温暖化対策計画エネルギー基本計画におきましても、航空部門の脱炭素化を進める方策の一つとして位置づけられております。  現状では、それぞれに技術課題が存在し、小規模な実証段階にとどまっているとされておりますが、国内でも実用化に向けた具体的な研究が進められており、世界的に航空機からのCO2排出が問題となっていることを考えますと、CO2ネットゼロ社会の実現のためにはSAFの導入の推進は重要で、注目すべき取組だと考えているところでございます。 ◆23番(海東英和議員) (登壇)潮目の変化を感じるような気がします。  続いて質問いたします。  同じく、自動車や農業機械や建設機械のディーゼルエンジンを動かすバイオ燃料はBDF──Bio Diesel Fuelと言われます。  さて、前定例会で、1ヘクタールの水稲を生産するのに2ヘクタールの菜種を栽培しなければならないので、菜種だけで軽油の自給を行っていくことは困難であると答弁されました。しかし、これは1ヘクタール当たりの菜種の収穫量を1トン、1反、10アール当たり100キログラムで算定されたものです。確かに滋賀県の一つの実績ではありますが、200キログラムで算定すると話は逆転します。全国的に滋賀県の2倍の1ヘクタール当たり2トンを超える菜種の収穫実績はあまたあり、1反200キログラム、1ヘクタール当たり2トンは手の届く数字であると考えます。  菜の花エコ革命によると、青森県横浜町の平均収量は反収260キログラム、1ヘクタール当たり2.6トンであり、ドイツでは、燃料用と思われますが、1ヘクタール当たり3トンから4トンの実績があるとしています。  滋賀県での菜種の栽培は、観光目的などの栽培が一定面積を占めるため平均収量を押し下げておりますが、かつて旧の愛東町で行われた栽培実験では、1反、10アール当たり平均で178キログラム、最高は237キログラムであったことが記述されています。燃料用のみを目的とするならさらなる多収が見込めるようです。  前提条件として、菜種1トンから300リットルの菜種油ができる。1ヘクタールの水稲を栽培するのに200リットル必要である。1ヘクタールの菜種栽培には180リットル必要とすると、前回の答弁の1ヘクタール当たり菜種の収穫量1トンでは300引く200引く180でマイナス80リットルとなり、水稲1ヘクタール栽培するのに80リットル足りない、自給はできないとの答弁が導かれます。しかし、全国標準の10アール200キログラム、1ヘクタール当たり2トンで計算すると倍の600リットルの油が生産できますので、菜種生産に使う180リットルを引くと420リットルが手元に残ります。1ヘクタールの菜種栽培で2.1ヘクタールの水稲が栽培できることになり、話は逆転します。この数字について知事はどのようにお感じですか。 ◎知事(三日月大造) 議員が試算されているとおり、収量を安定的に上げることができれば自給が可能になると考えられます。  しかしながら、現時点で本県の菜種の収量は県平均で10アール当たり100キログラム程度でありますことから、自給は困難と、せんだっての議会で答弁させていただいたところでございます。  今後、安定的な収量の向上に向けては排水対策など生産性を高めるために必要な技術の徹底が必要であると考えており、その技術の普及、指導に努めてまいりたいと存じます。 ◆23番(海東英和議員) (登壇)コペルニクス的転回ということはあまり分かりませんけれど、いわゆる減反、生産調整という、今、言い方はしませんが、3割から4割、そういうお米を作らない田んぼ、だから、1対2の割合で、そこで例えば燃料油を作る作物を作ったら、6割のお米の燃料が供給できるという試算にもなるんです。ですから、考え方を変えて、そして、100点満点でなくても、CO2ネットゼロ、2030年50%ということのチャレンジとして、ぜひ、もっと積極的にお考えいただきたいということで、以下、質問をまた続けます。  滋賀県は湿田が多く、菜種栽培には向かないと決めつけていますが、向く土地はないのでしょうか。また、山手の耕作放棄地はセイタカアワダチソウが群生していますが、決して湿田ではないように見受けられますし、何ら耕作放棄地対策は講じられていないようにも見受けます。菜種やヒマワリを栽培するなど、侵略性外来植物対策としてエネルギー作物を栽培奨励してもよいのではないかと思います。SAFの理念には、穀物などを栽培している優良農地に、高く売れるからとバイオ燃料を栽培しないようにという原則があると聞きます。様々にバイオ燃料栽培を研究することが望まれますが、滋賀県はどうでしょうか、知事にお伺いします。 ◎知事(三日月大造) 今、議員から御紹介いただいた、優良農地ではバイオ燃料となる作物を栽培しないというSAFの原則には私どもも同感でございます。耕作放棄地対策とCO2ネットゼロへの貢献を組み合わせるアイデアには可能性を感じますので、このことについて、本県での実現性等について研究、また検討してまいりたいと存じます。 ◆23番(海東英和議員) (登壇)答弁が前向きになってきて、大変、希望が開けてきた気がいたします。  続けます。  CO2ネットゼロ社会を達成するために、2030年の中間目標に2013年度比50%削減を掲げようとされています。今日は国の目標に4%上乗せの根拠については立ち入りませんが、田んぼは油田と言われる、エネルギー作物を生産できる農業分野では2030年に50%削減をどのように達成する腹積もりか、知事にお伺いします。 ◎知事(三日月大造) 2030年度におきまして、2013年度比で温室効果ガス排出量をCO2換算で50%削減することにつきましては、産業、業務、家庭、運輸などの各部門のエネルギー起源のCO2排出やその他の温室効果ガス排出の削減取組と併せまして、森林や農地土壌等でのCO2吸収を通じて達成することとしております。すなわち、温室効果ガス排出量をCO2換算で680万トン削減、森林や農地土壌等での炭素吸収量はCO2換算で31万トン、これらの排出削減と吸収源の両対策を併せまして、CO2換算で711万トンの温室効果ガスの削減を目標としているところです。  このうち農業分野では、温室効果ガス発生の約半数を占めますメタンの発生抑制に向けて、水稲生育期間中の長期中干しや秋耕等の推進、また、農地土壌への炭素吸収に向けましては、耕畜連携によるペレット化堆肥の広域利用等を推進してまいります。これらの取組を通じまして、農業分野ではCO2換算で約4万4,000トンの温室効果ガス排出量を削減、農地土壌での炭素吸収量はCO2換算で2万8,000トン、こうした排出削減と吸収源の両対策を併せて、CO2換算で温室効果ガスを7万2,000トン削減し、県計画目標達成に向けて一定の貢献をしてまいるという、こういう想定をさせていただいております。 ◆23番(海東英和議員) (登壇)本日は、答弁は全て知事にお願いいたしますので、以下、一々「知事に」と言うことは割愛させていただきます。  今のことで再質問ですが、農家の皆さんに、日々お使いになっている農業機械のCO2削減を、2030年、半分にしましょう、ということは呼びかけないんですか。 ◎知事(三日月大造) 広い意味で、CO2ネットゼロを目指そう、そして、削減するものと吸収するものを併せて半分にしていこうということは呼びかけますが、広く県民に呼びかけますので、その中に農家の方も含まれているというふうに承知をしておりますが、具体、どのようにするのかということについては、また別途、説明なり検討、協議していくものも含まれるのではないかと思います。 ◆23番(海東英和議員) (登壇)長期中干しとか、ちょっと数字のトリックがあるので、既にもう取り組まれているものは削減の上乗せにならないのでちゃんと見ないといけないと思いますし、農家で率先してCO2ネットゼロ農業でお米を作ったら報奨金を出すとか、もっといろいろ呼びかけてもいいかなと思いますので、検討していただくように要請します。  続けます。  ヨーロッパの環境先進国はCO2削減のために3倍の値段のSAFを混ぜることを義務づけようとしています。環境政策への確固たる意思と、ルールをつくった者が世界を支配するビジネスモデルでもあります。  滋賀県での政策判断はコスト比較も必要ですので、滋賀県の農家が自ら植物性燃料油を栽培しようと決断する損益分岐点は、軽油1リットル当たり何円と考えられるでしょうか。 ◎知事(三日月大造) 先ほども御紹介いただいた想定、10アール当たり200キログラムの菜種が収穫された場合の試算で申し上げれば、資材費、機械費、労賃等の生産費と搾油に係る経費の合計は菜種1キログラム当たり約267円となるそうでございます。  1キログラムの菜種から3割搾油できると仮定し、0.3リットル搾油いたしますと、菜種油1リットルの生産費は、副産物として販売可能な油かすなどの価格を差し引いて約680円となります。さらに、BDFに精製する経費といたしまして1リットル当たり約78円かかる事例がありますことから、菜種を栽培し、BDFを製造するまでの費用は1リットル当たり約758円となりまして、農業機械等の軽油をBDFに置き換える場合の現時点での目安と考えられるのではないかと存じます。 ◆23番(海東英和議員) (登壇)まず、試算してみていただいたことに感謝します。  そして、売値と生産原価というものを考えていくと、農家が自分で作った場合、自分がそれを使う場合というものがやっぱり比較できると思いますし、また、かつての転作奨励金のような一定の集団化の助成金とか、国の政策による政策的支援とか、今のSAFの時代がやってきたということを考えると、いろいろな検討の余地があるのではないかと思います。また、菜種そのものも品種改良で、F1とかでもっと収量の多い品種が作れる可能性もあるわけですから、引き続きウオッチをしていただきたいと思います。  さきの定例会の答弁では、殊さらにエルシン酸の心臓疾患への悪影響が印象に残りました。心臓病に悪さをするエルシン酸の多い品種オウミナタネは、聞くところ、左義長祭りのたいまつ用にごく少量しか栽培されておらず、食用にはされていないとのことです。このことを知りながら、菜種油のマイナス面を強調する答弁でありました。  品種改良が進み、滋賀県で食用として栽培されているのはキザキノナタネやななしきぶといった、エルシン酸を含まないどころか、血液中のコレステロールを減らし動脈硬化を予防するオレイン酸を多く含む品種であり、オリーブオイルに匹敵すると聞きます。貴重な食用油として評価されている良いほうの情報を紹介してください。改めて、滋賀県で栽培されている菜種についての適切な答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) 燃料用としてではなく食用として栽培されている品種のななしきぶにつきましては9月県議会の答弁でもエルシン酸を含まないものとして紹介させていただきましたが、さらに、議員御指摘のとおり、血液中のコレステロールを減らすと言われるオレイン酸を多く含むという特徴も持っており、食用として優れた品種であると認識しております。  本県で生産される食用の菜種は全て、ななしきぶをはじめ、エルシン酸を含まないものであると聞いております。 ◆23番(海東英和議員) (登壇)今、こんな小さい瓶で1,000円ぐらいで売ってますよね、良い菜種油は。だから、農家の作物としても可能性があると思うんです。  特にオレイン酸に富むななしきぶはオウミナタネを父に持ち、滋賀県で栽培試験が行われた2005年発表の東北農研の研究レポートでは、気候対応、収量、品質などの特性が優良で、石山寺ゆかりの紫式部にちなんで命名されたとあります。滋賀県はこれをエビデンスとして尊重しているか、御答弁願います。 ◎知事(三日月大造) このななしきぶにつきましては、県の農業技術振興センターにおいて栽培試験が行われ、本県の気象条件に適していることが分かり、菜の花プロジェクトにおいて栽培を推進してまいりました。また、本県ゆかりの名称を持ち、取れる食用油は有用な成分を多く含むという特徴から、食用として非常に優れた品種であると認識しております。このため、今後とも本県で作付される菜種の主力品種として推進してまいりたいと考えております。 ◆23番(海東英和議員) (登壇)コンバインの話も、小型コンバインの台数を挙げ、菜種の収穫は困難であると駄目な側面を誇張したような答弁でありましたが、アタッチメントを替えるだけで菜種が収穫できる大型の汎用普通コンバインは滋賀県下に300台もあります。集落営農などの所有が多いようですが、全国に誇る機械化の進展ぶり、充実ぶりであります。菜種栽培における滋賀県の優位性について適切な答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) お答えいたします。  本県では大豆が6,000ヘクタール余り作付されており、大豆で使用されている普通型コンバインは県内に300台程度導入されていると推定されます。菜種の収穫時期とは重ならないことから、選別する網を付け替えるなどの改良の下で菜種の収穫にも使用できると考えられます。また、菜種栽培を拡大していく上では限られた数のコンバインを有効に活用することが必要であり、作業請負や共同利用などの支援体制の整備を支援してまいりたいと考えております。 ◆23番(海東英和議員) (登壇)次、行きます。  滋賀県は廃食用油を焼却処分している自治体も少なくありません。SAFが注目され、CO2削減が喫緊の課題となった今、環境先進県の政策として、廃食油を回収してBDFに再生することを呼びかける意思はないのか、お尋ねします。 ◎知事(三日月大造) 12月下旬、これは12月21日火曜日の予定と聞いておりますが、市町、一部事務組合および県で構成いたします滋賀県廃棄物適正管理協議会におきまして、廃食油の分別回収とBDF等への活用について意見交換を行う予定ということでございます。  各市町における廃食油の回収状況や活用方法の現状と課題等について情報共有を行うとともに、廃食油のBDF等へのリサイクルの推進についても呼びかけてまいりたいと存じます。
    ◆23番(海東英和議員) (登壇)ぜひ、前向きな御検討をお願いしたいと思いますし、BDFにおいては、今、JALとかANAとか、航空会社も血眼になって探しておられるというふうにも仄聞します。  さて、CO2ネットゼロの先頭に立とうとされる知事の意思、時代の要請をなかなか消化できず、経験が邪魔をして、ネットゼロに楽しく挑めない状況のような気がします。何でも最初はコスト高であります。グリーン電力の購入政策は優先順位に検討の余地があると思いますが、時代の価値観の大転換点に生きていることを感じさせてくれました。  民間事業者は、今はコストに見合わない水素の利活用と製品開発に夢を託し、しのぎを削っています。水素自動車の普及と水素ステーションの設置もタイミングの見極めが問われます。  滋賀県には、ハイブリッド車プリウスが出たとき、率先導入した経験があります。個別部門でコスト比較すると新たな取組は却下されがちですが、無駄遣いと投資を見極めること、優先劣後の順位づけが大事です。保守的な経験は決して創造を生み出すことはないと、イオンをつくった小嶋千鶴子さんの本に書かれていました。先ほどのBDF化という作業の部分も、かつて福祉施設で福祉作業としてそのことを行って、人件費を農福連携で克服してきた例も滋賀県には幾つもあると思います。  CO2ネットゼロに挑む県庁が保守的経験の殻を破るため、マインドセットを変える意欲と取組が必要と思います。知事の抱負をお聞かせください。 ◎知事(三日月大造) CO2ネットゼロの実現は決して容易なものではないと思います。従来の延長線上の取組や考え方では達成不可能な目標であると認識しております。  このため、今年度から庁内各部局において、おのおのの事務分掌や組織目標にCO2ネットゼロを位置づけ、全庁挙げて意識の醸成や取組の強化を図っており、その中でも特に水素エネルギーの利活用やムーブメントなど重要なテーマについては、今後、これを推進するためのプロジェクトチームを設置し、野心的な目標の実現に向けた、より大胆な施策展開にチャレンジしていこうとしているところでございます。  このような取組を通じて、変革や創造に満ちたCO2ネットゼロ社会の実現に向けて職員一人一人がこれを自分事として捉え、従来の発想を転換し、より大胆に施策を考え、実行していけるよう、今後もあらゆる機会を活用して意識喚起を徹底してまいりたいと考えております。 ◆23番(海東英和議員) (登壇)最後に、田んぼは油田と言われるとおり、自分でエネルギーを栽培できる農業分野において、水素より近いところにある、手を伸ばせばそこにあるBDFの活用、研究について本気で取り組んでみてはどうかと提案します。  特にネットゼロ栽培米は令和の環境こだわり農業の目玉になると考えます。未来を展望して、最後に答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) これまで環境こだわり農業のトップランナーとして取り組んできた本県といたしましては、これから国が進めようとしているみどりの食料システム戦略においてもトップランナーでありたいと考えているところでございます。  このため、これまで進めてきた環境こだわり農業につきましても、象徴として取り組んできた有機農業、オーガニック近江米等、これらをさらに1歩も2歩も進める取組が必要であり、これに加えて、議員から御提案いただいたBDFなどエネルギー作物の活用は本県の特徴的な取組になると考えております。  その実現に向けましては、作物栽培のみならず、搾油や精製施設の整備、流通体制の整備、さらには支援制度の充実など、様々な課題、同時に言えば可能性があると考えられます。本県内において、こうした課題は乗り越え、可能性を伸ばすために、部局を越えてネットワークを構築するとともに、関係機関、団体と連携し、研究や検討を行い、国への政策提案なども積極的に行ってまいりたいと存じます。 ◆23番(海東英和議員) (登壇)結構な御答弁をありがとうございます。  ほんで、歩くBDFとかいう職員さんを育ててもらうことがやっぱり大事かなと思いますので、全体連携もそうですし、また、そのことに精通したスペシャリスト、ジェネラリストをまた養成していっていただきたいと思います。期待をしております。  それでは、2点目の質問をさせていただきます。琵琶湖周辺の美観についてお尋ねします。  BIWAKOおそうじ隊の皆さんの10年にも及ぶ活動レポートを拝見しました。毎週火曜日の午前に新旭町の風車村前の桜並木に沿って約6キロメートルの範囲の琵琶湖岸のごみを拾い、御活動いただいてきました。このことに敬意と感謝をまずささげます。  その活動レポートで、琵琶湖の散在性のごみは全く減っていないとデータで示してくださっています。そして、県の設置した看板やヨシ帯造成のプラスチック資材などが数年のうちにごみとなり、環境を悪化させていることも指摘しておられます。  農業での肥料や農薬の袋、マルチのシート、あぜの波板など、意図的でなくても風に飛ばされたりして河川経由で琵琶湖に至るものが少なくないこと、また、漁具も、破損して打ち上げられているものも目につくこと、そして、いまだにタイヤも投棄されていると指摘していただいています。お墓参りの花筒やプラスチック類も目につくとのことであります。  MLGsのうたう多様な主体に行動を呼びかけると同時に、滋賀県の行政行為として、ごみとなるものを減らすために改善していけることがたくさんあるのではないかとの指摘であります。この指摘についてどのように受け止めるか問います。  そして、湖辺の駐車場等のごみ箱の撤去は根本解決になっていないというふうにおっしゃっています。このことについて、現状の把握に努めておられると思いますが、一般廃棄物処理と事業系の廃棄物処理の歩み寄りや適切な負担の枠組みの創設が必要と感じます。現実はごみがなかなか減らないことを改めて受け止め、琵琶湖周辺と滋賀県全域がきれいに美しくなるように包括的対策を御検討いただいていると思います。このことについてお伺いします。 ○議長(富田博明) 答弁者、知事でいいですか。 ◆23番(海東英和議員) 今日は全て知事です。 ◎知事(三日月大造) 琵琶湖周辺の美化について、こちらは2点、御質問いただきました。  1点目、BIWAKOおそうじ隊の皆様からの改善指摘の受け止めについてでございますが、まずは、このBIWAKOおそうじ隊の皆様が10年にも及び清掃活動を続けていただいていること、このことに敬意を表し、感謝を申し上げたいと存じます。また、県内には琵琶湖を思い、滋賀の未来を思い、活動される方がこうしてたくさんいてくださることを私は心強く存じます。  県では、本年3月に滋賀プラスチックごみゼロに向けた実践取組のための指針を策定いたしまして、日常生活や事業活動におけるプラスチックごみゼロに向けた取組内容の例示をし、各主体によるごみの発生抑制やごみの適正処理における実践的な取組を促進しているところでございます。  県においても、施策を実施する上で工夫して取り組むことにより散在性ごみの発生抑制が可能と考えられますことから、今回いただいた活動レポートの御指摘も参考にさせていただきながら、できれば一回、私もお会いして、どういう状況なのかお聞きすることも含めて対応し、また、行動経済学の観点なども取り入れながら、さらなる効果的な取組を検討し、実施してまいりたいと存じます。  2点目、散在性ごみ対策についてでございますが、県で毎年実施しております散在性ごみの実態調査の結果におきましては、調査地点での平均個数は、調査開始以降、減少しておりますものの、人や車の動き等の状況が変化してきたことから現状に即していないとの御指摘もあり、今年度、調査地点の見直しを行いまして、実情把握に努めているところでございます。また、ごみ散乱防止の取組といたしまして、環境美化監視員を設置し、監視パトロールや啓発活動の実施のほか、県民の皆さんや事業者、行政が一体となって美化活動に取り組んでいるところです。  引き続き、こうした活動を推進するとともに、散在性ごみ対策における様々な課題につきまして、こちらも実情に即した効果的な取組を検討し、発生抑制に努めてまいりたいと存じます。 ◆23番(海東英和議員) (登壇)ぜひ、よろしくお願いいたします。特にごみ箱の問題は単純系の解決と複雑系の解決といろいろあると思いますので、みんなが知恵を出して、よき未来をつくっていきたいと思います。  次に、3点目、琵琶湖周辺の自然公園の維持管理について知事にお伺いします。  決算特別委員会で、琵琶湖周辺の自然公園の維持管理費が、かつて3億円の予算であったものが今や6,000万円にまで削減されているとの答弁でありました。まず、この経過についてお伺いします。  次に、びわこ文化公園は、年間4,800万円、20年契約で9億6,000万円の指定管理契約が予定されています。Park−PFIなどについても議論が今定例会でされています。  琵琶湖周辺の自然公園園地の管理と積算基準は同じであるか、説明を求めます。  次いで、びわこ文化公園の基準で琵琶湖の周辺の自然公園園地を管理するならどれぐらいの予算が計上されなければならないか伺います。  次に、滋賀県が締結する契約に関する条例の制定を目指して、そして、来年度4月1日施行を視野に準備を進めています。市町への業務の委託も来年度からは条例に準拠すると承りました。これまで県の都合で予算を削減してきた業務も、適切、妥当な積算と契約行為がなされなければなりません。このことについての見解を伺います。  次に、必要な琵琶湖周辺の公園管理経費の捻出、財源の獲得について苦心されていると思います。水産多面的機能発揮対策の予算や琵琶湖保全再生法などの充当はつつがなくできているのか伺います。  次に、琵琶湖森林づくり県民税は、湖岸の森林保全や河畔林の保全にも充当してよいと思うが、そうなっていないように仄聞します。国に森林環境税も出来たので、より有効に活用されることが期待されます。琵琶湖森林づくり県民税の取扱いはどのようになっているのかお伺いします。  最後に、琵琶湖周辺の自然公園園地駐車場は新型コロナウイルス感染症の緊急対策措置で閉鎖されましたが、密を回避するために琵琶湖に行こうと、京阪神や東海地方からたくさん来訪され、トイレなども制限されたことで近傍の集落や生活圏に県外ナンバーが入り込んで、住民は困惑し、迷惑を被ったことも記憶に新しいです。  他方、トイレは設備の老朽化が大変課題という声が上がっています。今後、どのようにコントロールして管理責任を果たしていこうとお考えか、環境省との連携も含め、考えをお伺いいたします。 ◎知事(三日月大造) 琵琶湖周辺の自然公園の維持管理について、こちらは7点、御質問いただきました。  まず1点目、自然公園の維持管理費の削減の経過についてでございますが、これまでの行政改革の取組により施設の廃止や委託範囲の見直し等を行い、関係の経費を削減したものでございます。  自然公園等の管理費は、令和2年度の決算額では約6,000万円でございまして、例えば平成10年度の決算額、こちら約3億600万円と比較すると大きく2億4,600万円の減額となっております。  減額の主な内容といたしましては、施設の再整備等の費用、こちらは、もう施設整備が終わったということで1億4,500万円の減となっておりましたり、自然公園施設の委託費を約4,200万円減らしたり、施設の廃止による管理運営費が約3,700万円減額となっているなどでございます。  2点目の積算基準等でございますが、びわこ文化公園は都市公園でございまして、令和4年度から指定管理方式とPark−PFI方式を併用する予定でございます。一方で、自然公園園地は主に市町に維持管理を委託し、市町から地元の自治会等に再委託されております。それぞれ契約の方法、業務内容等が異なっており、積算等の基準は同一ではございません。  3点目、びわこ文化公園との比較についてでございますが、都市公園と自然公園園地は、業務の内容、頻度、対象の施設など契約の内容が大きく異なりますため一概に比較することは難しいのですが、1平方メートル当たりの維持管理費を比較いたしますと、令和2年度のびわこ文化公園における維持管理費108円に対しまして、自然公園園地の維持管理費は51円となっております。単純に、びわこ文化公園1平方メートル当たりの維持管理費に自然公園園地の面積、こちら約72ヘクタールを掛けますと約7,800万円と試算されます。  4点目の、適切、妥当な積算等についてでございますが、滋賀県が締結する契約に関する条例におきましては、基本理念の1つといたしまして、契約の履行により提供されるサービス等の質が確保されることを掲げ、適切な仕様書と適切な積算に基づき契約することを規定しており、このことは市町との契約においても重要なことだと考えております。県におきましては、これまでも適切な積算に努めているところでございますが、条例の施行に向けて、改めて周知徹底を図り、しっかり取組を進めてまいりたいと存じます。  5点目の、自然公園園地の公園管理経費の捻出、財源の獲得についてでございますが、水産庁の補助事業でございます水産多面的機能発揮対策事業におきましては、水域の環境および生態系の保全を目的としており、湖岸のヨシ帯や沿岸の砂地で漂着ごみの撤去や湖底耕うんなどを行っております。この事業は自然公園園地の維持管理を目的としたものではありませんが、琵琶湖の環境保全に役立つ取組であるため、必要な予算を国に要望しているところでございます。また、琵琶湖保全再生法に係ります事業等につきましては、関係省庁に対して毎年度、提案、要望を行っており、今年度、自然公園園地の再整備を要望しているところでございます。今後も自然公園園地の適切な維持管理を行うため、例えば財源の確保等について検討し、自然公園園地の維持管理に努めてまいりたいと存じます。  6点目の、琵琶湖森林づくり県民税を湖岸の森林保全等に充当することについてでございますが、この県民税は創設時において、県や市町の公有林など公的に管理された森林の整備等には充当しないとの整理を行っており、令和2年7月の本県民税条例の見直しに係る税制審議会答申におきましても、こうした使途の考え方について適当であるとされたところでございます。このため、自然公園園地など公的に管理されている森林には琵琶湖森林づくり県民税を充当することはできないと考えているところでございます。  7点目、自然公園園地の今後の管理責任等についてでございますが、自然公園園地の維持管理につきましては、ポストコロナ、ウィズコロナの時代におきまして、身近な自然に親しむことができる自然公園園地への需要が高まると考えられ、感染症の感染拡大に伴う園地駐車場閉鎖の問題も含めて、これまで以上に安全・安心で快適に利用できるよう、関係市町と連携しながら適切に対応する必要があると考えております。  今後の園地の整備につきましては、自然環境整備交付金の活用など国の支援もいただきながら、安全性が低下した施設について最優先に取り組むとともに、より長期的な視点で関係市町、地元関係者等と相談しながら、施設整備の選択、集中や民間事業者の活用等様々な手法の検討を行い、より多くの人が集う安全で快適な公園施設の整備、維持管理を行ってまいりたいと存じます。 ◆23番(海東英和議員) (登壇)3点について、再問というか、もう一度コメントをいただきたいと思います。  滋賀県は日本で最も自然公園を多く抱える県ですね。日本一の自然公園を持つ、そういう特徴のある県ですので、管理面積も国定公園の部分は、国立公園は国ですが、国定公園は県がやっぱり責任を持たなければならない。だから、やっぱりそれに行き渡る政策と一定の予算が必要であるということが確認されなければならないと思います。そして、先ほどの、自然公園は市町経由で市町がどこかの団体やグループにお任せをして管理しているということで、孫請泣かせにならないようにすることがこの契約の条例の理念でもあると思いますので、そこを、今後、適切な積上げ、積算をしていただくことをお願いしたいと思います。これが2点目であります。  それから、琵琶湖森林づくり県民税の使途についてでありますが、国でも森林環境税が出来て、やっぱり時代は進んできたわけでありますし、潜在自然植生ということでちょっと勉強に行ったとき、宮脇昭先生が、2本、木植えたら林や。3本、木植えたら森や。もっとみんなで木植えて、森や林を増やして日本を守っていこかい、と言いはったんで、琵琶湖の周辺にあるヤナギやハンノキやらもこの自然を守っている立派な森林の一部であると思います。国定公園で、予算が回らない、手が行き届かない、荒れてきているという現状を前にして、公有林には使わないという原則が県民の利益に資するのかどうか。国民全体の資産である琵琶湖の保全にそれが最適なのかを改めて、また機会を見て検討いただきたいと思います。  この3つについて再問させていただきます。 ◎知事(三日月大造) 国定公園を含む自然公園の割合が全国で一番という滋賀県において、それらをきちんと維持管理、保全していくための予算を確保していくべきではないかということについては、御指摘、そのとおりだと思います。ただ、一度に全てを確保できないときに優先順位をつけてどのようにやっていくのかということに苦慮してきた、こういう経過があるんですけれども、ポストコロナを志向する際に、こういった公園園地の重要性というものも再認識しているところでございますので、どのような方策を取ればいいのか、しっかりと検討してまいりたいと存じます。  2点目にいただきました契約に関する条例、定めさせていただき、取組方針を、現在、策定しているところでございますので、県が発注する事業が市町、またさらには、その先でお仕事していただく方々、孫請、その次のお仕事にも支障なく積算をするというのは、これも御指摘のとおりでございますので、そうした積上げをしっかりと行っていきたいと存じます。  また、最後におっしゃった、琵琶湖森林づくり県民税の使途の問題でございますが、私も先ほどから答弁していて、自然公園園地など公的に管理されている森林には使わない使わないと。公的に管理されている森林には使わないと繰り返し述べているんですけど、公的に十分管理されているかどうかという認識はしっかりと持たなければならないと思いますので、今の税制審の見解は見解として踏まえつつも、今後もそのとおりであり続けていいのかという、こういう視点は持って検討を重ねてまいりたいと存じます。 ◆23番(海東英和議員) (登壇)ありがとうございます。よろしくお願いします。  それでは最後、4点目の質問をさせていただきます。下水道事業経営の研究会設置についてお伺いします。  公共下水道料金の維持管理負担金の在り方について、令和3年3月5日の予算委員会の質問に対して知事は、4つの処理区の料金について、湖南中部47.3円、湖西67.4円、東北が61.6円、高島が100.9円と回答いただき、県下一本料金でざっくりと試算したら約56円になると御答弁いただきました。その答弁の中で、処理区の規模や供用開始時期、流入水量等の原因で、現時点で格差があることを強く認識しており、今後とも流域下水道事業の経営の在り方について検討していきたいと考えていると述べられました。そして、高い地域が「何で高いん」という心情はよく理解できるとおっしゃり、処理区ごとの人口は大きく異なるので、そういったところの合意形成など大きなハードルがあるとは思うが、市町とよく連携を図りながら、今やっている事業を計画的かつ効率的に推進すると同時に、持続可能な下水道運営の観点から、どういう負担金の在り方がいいのかということについて、今後とも研究、また検討をしてまいりたいと御答弁いただきました。  続いて、下水道法で定める目的、もって受益ということをどう考えるのかがまず1つの観点だと思うとおっしゃり、県として、県民として、それぞれの処理区ごとにこういった単価の差があることをどのように受忍できるのか、受忍できないのか、また、調整可能性としてどのような方策があるのかということもあるので、総合的な観点から研究を行っていきたい、検討していきたいと考えておりますと御答弁いただいております。このことについて、総合的な観点から研究していただくための機関を早急に設置していただき、研究、検討を進めていただく必要があるということをここに訴えるものでございます。持続可能な下水道経営の観点という面で、直近の国勢調査が示すとおり人口減少は予想以上に進展しており、県民1人当たりの所得からしても格差の拡大傾向が顕著であると捉えるからです。  さて、時代はカーボンニュートラルに続き、ウォーターニュートラルなる概念を持ち出し、穀物を輸入することは栽培時に使われた水資源を輸入することであるとの考えで、水資源への責任を負担する概念が語り始められました。アサヒグループホールディングスさんやコカ・コーラさんら企業の取組もネット上で確認できます。水利権とは違いがあるようです。これはどのような概念でしょうか。  下水道料金の高い地域は人口減少と高齢化の進む地域ですが、維持保全作業などを継続し、琵琶湖にきれいな水を供給している地域とも言えると思います。流域面積の案分以上に降雨降雪量が多いので、琵琶湖への清浄、豊富な水資源を供給して、国民的財産の琵琶湖の保全に大いに貢献していると考えます。  滋賀県は、下水道においても琵琶湖を守るという他の都道府県にはない共通の崇高な目的を共有しています。このことを踏まえ、ウオータークレジットなどを賢き方々に御検討いただき、滋賀県が財源創出となる概念整理や下水道料金の格差是正の資金ともなるような方法や制度を考案する研究会等を知事の肝煎りで設置いただきたいと存じますが、いかがでしょうか、知事のお考えを伺います。 ◎知事(三日月大造) 下水道事業経営等に関しまして2点御質問いただきました。  まず1点目、ウオーターニュートラルの概念についてでございますが、ウオーターニュートラルとは、国の環境・循環型社会・生物多様性白書の中で、事業活動に係る取水、排水による水資源への影響を最終的にゼロにすることとして紹介されております。議員から紹介のあった企業では、製造過程における水使用量の削減、製造過程で使用する水の循環、地域の水資源保護等により、製品に使った量と同じ量の水を自然に還元する取組が行われていると聞いております。  2点目の研究会の設置についてでございますが、今回御質問いただいております下水道事業経営に関する研究会につきましては、議員御提案の内容も含め、様々な観点から持続可能な下水道事業運営に向け、検討、研究を進めていくための場として設置する準備を進めていきたいと存じます。 ◆23番(海東英和議員) (登壇)準備を進めるというふうに御答弁をいただいたので、大いに期待をし、また、これが全ての県民の福祉の向上に役立つようになることを念願いたすところでございますし、ぜひ、知事、2期目の在任中に、いわゆるスタートボタンを押していただくことを念願いたしまして、質問を終わります。(拍手) ○議長(富田博明) 以上で、23番海東英和議員の質問を終了いたします。  次に、8番河井昭成議員の発言を許します。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇、拍手)それでは、通告に従いまして、琵琶湖漁業について質問を行います。  琵琶湖漁業の存続に向けて、今年度から新たな取組が始まっています。後継者不足や需要減少などの課題を解決するため、10年後の目指す姿として、少数でも精鋭のもうかる水産業の構築を掲げられ、担い手・流通の充実、漁業組織の充実、漁業制度の改革、合理的な資源管理などの柱立ての下、今年度、3,130万円の予算が措置されたところです。  令和3年度──今年度は、もうかる水産業への転換のための基礎づくりとされています。この内容について伺いたいと思います。  琵琶湖漁業の現状を幾つかの数字で、まず確認をしておきます。  漁業者は1970年代には約3,800人であったとのことですが、最新の統計である2018年には836人にまで減少しています。さらに、この内訳は65歳以上が6割を超えるなど高齢化が進んでいるという状況にあります。  漁獲量は、漁業者の減少、水産資源の減少、需要の低迷など様々な要因があると考えられますが、1970年代の約5,000トンから、2018年には約800トンに減っています。  需要は、全国的な魚食離れに加えて、琵琶湖の魚介類は地域性が強く認知度が低いことから流通が縮小していて魚価が低迷しているという状況にあるとされています。これは先日の代表質問やこれまでに行われた一般質問で知事が答弁されたことを引用しています。また、昨年の新型コロナウイルス禍では状況はさらに悪化。京都、大阪の料亭からの注文が激減するとアユやビワマスも大きく値崩れをすることが起こっているとのことです。このような背景があってか、漁業者の年収は500万円以下で約9割、100万円から300万円の区分が多く、平均は年収約200万円とされているところです。  このような状況に対して様々な手を打つことで、2025年時点の目標を漁業者、経営体数とされていますが、160人、漁獲量を900トンとして、少数精鋭で琵琶湖の漁業を継続するとしています。  これらを踏まえて、以下、質問を行います。特に指定しない限り、農政水産部長に答弁をお願いします。  まず、少数でも精鋭として、2025年に160という漁業経営体数の目標を設定されています。少数精鋭を掲げたとはいえ、2018年の漁業経営体数440から大幅に減少していると言えます。この漁業者数の目標値、ここでは漁業経営体数とありますが、160、これはどのような根拠で設定されたのかを伺います。 ○議長(富田博明) 8番河井昭成議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎農政水産部長(西川忠雄) (登壇)2018年の琵琶湖漁業の経営体、440経営体でございます。このうち漁業を主とするものが約250経営体ございます。高齢化が進みます琵琶湖漁業では、今後、漁業者数の減少は避けられない状況でございまして、現状のペースで漁業者が減少し続けますと、2025年には漁業を主とする経営体は130程度に減少すると推測されます。  これに対しまして、今後の新たな施策の実施等によりまして、研修等を通じた新規就業者10名のほか、漁業を主としない漁業者からの転換20名程度を見込むことによりまして、2025年において160経営体の精鋭漁業者を確保したいとして設定したものでございます。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)現状が減少傾向にあって、今の推測でいくと130程度まで減少するということでの目標だということは理解しました。  琵琶湖の漁業を存続させることが示されているわけですけど、これから見たときに、この160という漁業経営体数は目標としては十分なのかどうかということはどう思われているのか、見解を伺いたいと思います。 ◎農政水産部長(西川忠雄) お答えいたします。  十分かという点で申しますと、決して十分ではないというふうに思いますが、この情勢の中で見込まれる数字と、そして、これからの施策によって、取組の成果として期待できるものをベースに160という目標を掲げたものでございます。ただ、人数だけではなくて、漁獲の効率あるいは魚価の向上等を総合的に伸ばしていくことによって、全体として維持をしていこうとしているところでございます。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)今回、幾つか数字が示されていますので、それぞれ聞いていきたいなと思うんですけども、次は年間の漁獲量。これは900トンを目標とされています。この漁獲量についても、どのような根拠で設定をされたのか、見解を伺います。 ◎農政水産部長(西川忠雄) お答えいたします。  漁獲量につきましては、2020年は811トンでございました。仮に2025年において、先ほど述べたとおり130経営体まで減少したという前提を置きますと、漁獲量も520トン程度まで落ち込むものと推測されます。これに対しまして、先ほど申しましたように160経営体といたしますとともに、合理的な資源管理や既存漁法の効率化、また、新たな漁法の開発、導入などによりまして、2025年には個々の漁業者の漁獲効率を30%アップさせ、結果的に漁獲量を900トンにまで引き上げたいとして設定したところでございます。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)じゃ、この900トンという漁獲量の目標は、水産資源の管理上はどのような意味を持つと考えているのか、見解をお伺いします。 ◎農政水産部長(西川忠雄) お答えいたします。  漁獲量の目標値は、現段階では資源管理の漁獲上限として定めたものではございません。ただ、近年の漁獲実績を大きく伸ばすものではないことから、資源状況に直ちに大きな影響を及ぼすものではないと認識をしております。  一方、昨年12月に施行されました改正漁業法が掲げます新たな資源管理は、水産資源ごとに科学的知見から資源評価を行って資源管理の目標を定め、この目標のために効果的な資源管理措置を実施することが基本とされております。  精度の高い資源評価のためには精度の高い漁獲情報が必要でございまして、県としては、今年度、各漁業者が御自身のスマートフォン等から簡単かつ迅速に漁獲情報を報告していただける、そうしたシステムを開発中でございまして、今後の資源評価および資源管理にこれを役立ててまいりたいというふうに考えております。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)漁業を続ける、また新規参入者があるためには漁業で生活ができる収入があるということが条件となると考えます。その意味では、年収1,000万円というイメージができる数字が示されたことは意味があると思います。あとは、この数字が現実的であるか、そういう説明ができることが大変重要であると考えます。  現状の年収は9割が500万円以下、100万円から300万円の区分が多いとのことですが、目標の年収1,000万円にはかなりの底上げが必要になります。年間の収入が1,000万円に到達することが可能と考えている根拠をお伺いいたします。 ◎農政水産部長(西川忠雄) 10年後のもうかる漁業が実現する姿として描いております水揚げ高1,000万円、これは、仮に経費が約半分とすると500万円程度の所得となり、他の産業と比較して、琵琶湖漁業が職業選択の候補となる水準として掲げているものでございます。平成30年の漁業センサスによりますれば、1,000万円を超えている漁業者が6名、500万円以上1,000万円までの漁業者は44名となってございまして、現在の琵琶湖漁業でも操業効率の高い漁業者では、一定、到達している状況もございます。  今後、少数でも精鋭の漁業者を確保いたします中で、操業効率を高めますとともに、販売力の向上により魚価を上げること等を通じまして漁業者の所得向上を実現してまいります。そのために、県として、適切な資源管理の下での効率的な漁法の開発、導入、新たな販路の開拓、また、漁業団体の組織強化の支援などについて進めてまいりたいというふうに考えております。
    ◆8番(河井昭成議員) (登壇)簡単な計算になるんですけど、ここまで数字がそろうと幾つかのことが分かります。160人、年収1,000万円到達しようと思うと16億円ぐらいの販売額が必要になるということですよね。900トンの漁獲で達成しようと思うと、これ、キロ単価が出てくるんですよ。1キロ1,800円です。100グラム180円。お肉と比べるとどうですか、とかということがちょっと判断できると思います。  数字が示されるとこういうことが分かります。魚価の目標がこうやって定まってくるのではないかなどと考えたりします。目標値としては、こういうことも含めながらこの1,000万円ということを考えていかなければならないと思うんですけども、その辺りの見解について改めてお伺いしたいと思います。 ◎農政水産部長(西川忠雄) お答えいたします。  平均的な姿、あるいは全体がそこまで届くかという議論もあるだろうと思っておりますが、一方で、琵琶湖漁業で捕獲されます水産物、例えばビワマスであるとか、あるいはアユでも、今この12月に採捕されております生きた形で漁獲される活アユ、こういったものは非常に高い単価で取引されておりますし、もっと上がってもいいものというふうにも我々は思っております。そういったものを、新たな販路開拓であったり漁獲効率であったりということで伸ばしていくことによって、全体として職業選択の候補になり得る職業にしていく、その水準を確保するという視点で取組をしてまいりたいというふうに考えております。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)県がこのように目標を様々に数値設定していくわけですけども、県が担わなければならない役割というのは重たいのではないかなと判断するところです。  さて、琵琶湖の漁業を継続させるためには、一定の新規就業者があって、その新規就業の方が定着することが前提となります。少数でということならばなおさらここは大事になります。  計画では2025年までに10名程度の新規就業者を見込むとされています。1,000万円の収入が目指せるとしても、そこに到達するには、やはり一定の時間が必要になることから、それまでの期間をどのようにするのかなど、新規の参入や定着には様々に課題があり、これを解決する、もしくは解決の支援をする必要があると考えます。  この点については、これまでに新規で就業された漁業者の経験を踏まえ、ここから学ぶ必要があると考えます。平成28年から令和2年──昨年までの間に新たに就業された漁業者は11名おられるとのことですが、これまでに新規参入された漁業者の現状について、県としてどのように認識しているのかを伺います。 ◎農政水産部長(西川忠雄) お答えいたします。  新たに就業されました11名の漁業者の皆さんは、現在、7つの漁業協同組合に所属をされ、例えば独立して、えり漁業やビワマスの引き縄釣り漁業を中心に営まれている方や、あるいは3年間の長期研修制度を活用して、現在も指導者の下で本格的な技術研さんを積んでおられる方などもおられます。それぞれ希望を持って漁業に就業され、努力を重ねていらっしゃる状況でございますが、もちろんまだ就業されて時間もないということもあってベテラン漁業者の水揚げには及ばないということで、経営は厳しい状況があるというふうには承知をしております。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)新規参入、その後の定着に向けて漁業技術の習得に対するサポートが行われているとのことですし、また、これまでのやり取りの中でも、国の漁業共済制度の琵琶湖漁業での導入に向けて準備を進めるなどの支援もしていく、このようなことで漁業経営の安定化に向けた取組、進めていくとされているところです。  しかし、これで十分なのかというところにちょっと疑問が残る。琵琶湖漁業への新たな漁業者の参入やその後の定着に向けては、これまでに新規参入された漁業者の課題を踏まえた支援が必要ではないかと考えます。見解をお伺いします。 ◎農政水産部長(西川忠雄) お答えいたします。  漁業で生計を立てていただくには就業後も経験を積みながら漁労技術や経営能力を高めていただく必要があるというふうに認識をしております。新規参入の方が効率的にこれらのスキルアップを図っていただくための支援策として、今年度から、漁業組織を越えて先輩漁業者とつながり、共に市場ニーズなどを学んで、経営能力を高める機会を創出する事業の展開を始めたところでございます。  この取組によりまして、例えば青年漁業者で組織する団体への加入者が増えるとともに、市場ニーズに応じた漁獲物供給への意識が高まるなどの成果が見られているということでございまして、この取組を継続することを通じて、新規就業者がしっかりと定着できますようにサポートしてまいりたいというふうに存じます。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)漁業だけで成り立たないような厳しい状況ですというのがその前の課題のところであったわけですよね。ここに対してタッチしてあげなきゃいけないんじゃないかなと思うんですよ、特に出だしの数年間。じゃないと、なかなか新規参入に踏み切れないですし、その後、定着をするというところにもなかなかつながらないのではないかという感覚を、客観的に見たときに思うんです。ここに対してのサポートというのは実はあまりないなと思っているんですけども、本来はそこの何かサポートを、直接的な収入のサポートができないならば、例えばほかの収入減の確保、これは、ぜひとも漁業で成り立ってほしいので漁業に関連するような何かということだと思うんですけども、そのような支援は要らないのか、検討されないのかということを、改めて見解をお伺いしたいと思います。 ◎農政水産部長(西川忠雄) お答えいたします。  確かに当初、水産業での収入が不安定な期間をどのように過ごしていただくかというのは大変重要な視点であると思っております。  現在、新規就業されている漁業者さんの中にも、漁業以外のお仕事をお持ちのケースもあるように承知しておりますし、また、過去の新規就業者の方では、養殖あるいは加工に携わる事業者さんのサポートを受けながら漁業者としてのスタートを切って、その後、一本立ちをされたというケースもあるように承知をしております。  また、収入だけではなくて、漁業に必要となるいろんな装備、器具、漁具、こういったものをどう調達するかというのも大きな課題でございまして、自ら調達をせざるを得ないケースと、それから、先輩の漁業者さんから譲り受けられるケースなどもあるように思っております。いろんなことでお手伝いできる面があるかというふうに思っておりますので、その辺りは、私どもの漁業の職員も含めて、そういうサポート、つなぐということも含めてサポートしてまいりたいというふうに存じます。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)仕事として成立をさせなければならないので、そこが課題であるということは、ぜひ、念頭に置いた状態で、この先の取組を進めていただきたいと思います。  ここに少しつながるのかなと思うところでもあるんですけども、ここから先、ITを駆使するスマート水産業ということに取り組んでいくとのことですが、ITが情報技術である以上、ITの機器やシステムの導入もさることながら、どのような情報、すなわちデータを活用するのかということが重要であると考えます。  例えば現状の漁業の技術を伝承するのに現役漁業者から指導を受けているとのことですが、これらをデータ化するということに取り組む必要があるのではないかと考えます。これらも含めて、どのような情報をデータ化し、活用しようとしているのか、これについて見解を伺います。 ◎農政水産部長(西川忠雄) お答えいたします。  一昨年度から、情報技術を活用して漁労データを収集する、そういった取組に着手をしてございます。まずは、主要、最も大きな水揚げがありますアユの刺し網漁業を対象にいたしまして、出漁時刻、あるいは漁具を設置した場所、漁具を設置している時間、その水深、そのときの水温、漁獲量などの情報を収集し、見える化をして、経験を踏まえた効率的な操業がどのような条件下で行われているかについて記録、分析をしております。この取組によりまして、熟練漁業者の漁労技術を新規就業者に着実に継承していくということと同時に、全体での漁労技術の向上にも役立ててまいりたいというふうに存じます。また、先ほども述べましたが、情報技術を水産資源の管理にも活用するために、スマートフォンなどの端末から漁業者が直接、リアルタイムに漁獲量を報告できるような仕組みも構築中でございます。  こういった情報技術を有効に活用しながら、漁業の振興、また、新規就業者の確保につなげてまいりたいというふうに存じます。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)農業もそうかもしれないですし、漁業は特にかもしれません。基本的には漁業者の経験が物を言う仕事になります。ここからITを導入してスマートだと言うならば、経験的なものをデータ化していくということが非常に大事なのかなと。そこに科学的な考察を加えていく。じゃないと、なかなか効率的にならないはずなんです。なので、感覚的なものをデータに、情報に換えていく、個人属性だったものを共有していくということが加わっていくんだと思います。これが仕事になるんじゃないかという気もするんですけども、少なくともこの経験的、感覚的なものをデータ、情報に換えていくという感覚でやっていくのかを問いたいと思います。 ◎農政水産部長(西川忠雄) お答えいたします。  先ほど御紹介をいたしました一昨年から取り組んでおります取組は、まさに今御指摘のようなことであるというふうに思っております。  具体的には、既に海域での漁業では一部こういったデータ化がされている、その方法を私どもも導入をして、それを、もとよりベテランの漁業者さんの経験と勘というふうに今まで言ってきたものを見える化をするということ、それを分析できる姿にするということで次へつないでいこうとしているということでございます。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)データを取り続けることも重要だと思いますし、このようなデータに基づいて判断をして漁に取り組む、仕事に取り組んでいくということになるのかなと考えるところです。ここはしっかりと取組を進めていただきたいですし、今取っているデータが全てではなくて、まだほかにも取ったほうがいいデータもあるのかもしれません。何を情報化していくのか、データにしていくのかということはずっと検証を続けていただければと思います。  次に、流通について伺います。  流通が縮小していて魚価が低迷しているということです。県内で琵琶湖の魚介類を消費することが地産地消の観点からも本来は好ましいと考えますが、そうはなっていない状況があります。県内での琵琶湖の魚介類の消費についての課題を知事に伺います。 ◎知事(三日月大造) (登壇)琵琶湖産魚介類の消費についてでございますが、従来、県外では京都が大きな消費地となっておりましたものの、やはり県内消費が中心であり、これを拡大することは大変重要な課題だと認識しております。  近年、全国的にも、食の多様化のため魚食離れが進んでおり、とりわけ琵琶湖産魚介類では、核家族化もございまして食文化の継承が難しい状況となっており、家庭の食卓に上がる機会が減っているのではないかと存じます。  琵琶湖産魚介類について、これまでの調査結果からは、「琵琶湖にしかない特産物で、おいしい」と一定評価されている一方で「価格が高い」、「身近なスーパーなどにあまり売っていない」などの回答も多いということでございます。これは、漁獲低迷が長期間継続することにより流通経路が乏しくなるとともに、琵琶湖の魚を販売する店舗も減り、県民の皆さんが利用する機会が著しく減っている面もあるのではないかと考えているところでございます。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)私たちはこういう取組だったり仕事をしているので、琵琶湖の水産資源について、食べたり、こんなものがあるよとよく知っていたりしますけど、実は私たちの世代でもビワマスを食べたことがないという人は滋賀県の中にたくさんいるんですよね。これが何か鍵になるんじゃないかなと思います。あと、意識して食べたことがない。  さて、先日、県内に住む高校生と琵琶湖畔で話をする中で、琵琶湖の魚が食卓に上るか、先ほどの知事のお話の中にもありましたが、と聞いてみました。御両親が滋賀の方ではないため湖魚を食べる習慣がない、当然、ふだんの食卓に上らないとのことでした。県内の小中学校の給食で琵琶湖の魚介類を食べて味を知ってもらうことはとても貴重な機会であると言えますが、さらに身近なものにする必要があります。短期的には需要、長期的にはファンの獲得と、琵琶湖の漁業にとって意義があると考えられるので、おいしく調理することを大前提として、給食での琵琶湖の魚介類の提供について拡大してはと考えます。知事に見解をお伺いします。 ◎知事(三日月大造) 給食への琵琶湖産魚介類の提供についてでございますが、現在、食育の推進と併せまして、食文化の継承や需要の喚起を図るため、学校給食に琵琶湖の魚介類を提供しており、児童の多くからおいしかったとの感想や、栄養教諭の皆さんからは、児童がビワマスなどの湖魚に興味を持って食べたという感想などもいただいているところでございます。また、特にこのコロナ禍にありましては、消費、流通の滞っている琵琶湖産魚介類を学校給食に提供することによって需要の喚起や流通の活性化を一定図っているところでございます。  この学校給食での琵琶湖産魚介類の活用におきましては、使用される魚が比較的安価で供給が安定しており、生徒児童にとっても食べやすいコアユやワカサギに偏っているとの課題があると聞いているところでございます。  今後は、より幅広い種類の良質な魚介類を活用していただけるよう、よりおいしく、児童に喜ばれるメニューの掘り起こしなどについて検討を進め、給食センターに対し、湖魚の魅力や活用方法等についての情報共有も充実させるとともに、引き続き食材費に対する支援も効果的に行うことで、学校給食での琵琶湖の魚介類の活用拡大に努めてまいりたいと存じます。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)ありがとうございます。  前向きな答弁ではありましたが、提供回数を増やすということが大事なんじゃないかなと思って。先日も提案がありましたけども、私も回数を増やしたらいいんじゃないかなと。何せファンを増やすだけ、知る機会だけではなくて、その後、身近であると感じることが大事だと思うわけです。なので、先ほど食材の調達に対する支援もとおっしゃっていましたけど、ここを大きく拡大をして、回数を増やすということについての見解を改めて知事に問いたいと思います。 ◎知事(三日月大造) 全ては予算に絡んでくるのかもしれませんけど、回数を増やしておいしくなくなったら意味がないので、やっぱりおいしいものを食べさせたい、食べてもらいたいというふうに思いますので。ただ、なかなか学校給食、じゃ、給食費をたくさん頂けるかというと、そういうものでもないということとか、しからばどうやって提供することができるのかという課題もあるそうでございますので、その辺りを勘案しながら、いずれにいたしましても、こういった事業を充実させることによって子供たちに食べる機会を確保する、また増やしていく、こういったことは重要ではないかなと考えているところでございます。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)予算を固定で考えればそうなんですけど、おいしく食べてもらうことが大前提なので、そこはおいしく食べてもらえるように、いい食材を調達するということだと思います。  次は水産資源を増やす取組について伺います。  琵琶湖の水産資源の資源量が減少して、改善の兆しが見えない状況にあるとよく説明を受けます。産卵場所となるヨシ帯や砂地の減少、琵琶湖の水位変動などが影響しているということですが、幾つかの要因、ほかにも示されています。  このような状況の中ですが、昨年はアユの稚魚が例年より多く取れた、近年、ホンモロコが少し多く見られるようになったとの状況も聞き及びます。改善の糸口にならないかと、素人考えながらに思うところです。  これまでから、在来魚介類の産卵繁殖の場所を回復させることを目的として、ヨシ帯および砂地を造成する事業を行ってきています。ヨシ帯および砂地造成に取り組んできた結果、水産資源の増加にどの程度貢献しているのか、その効果を踏まえて、今後の事業の展開について見解をお伺いします。 ○議長(富田博明) 答弁者。 ◆8番(河井昭成議員) 特に指示をいたしておりませんので農政水産部長にお願いいたします。 ◎農政水産部長(西川忠雄) お答えいたします。  ヨシ帯につきましては、平成8年度から令和2年度までに累計34ヘクタールを造成し、既存のヨシ帯やほかの事業で整備されたものを含めますと、その面積は77ヘクタールに達しております。フナ類やホンモロコなどのコイ科魚類が多く漁獲されておりました昭和49年をベースにいたしますと、当時が99ヘクタールでございましたので、およそ8割まで回復してきたというふうに考えております。  この造成ヨシ帯では1ヘクタール当たり1億5,000万個のコイ科魚類の産卵を目標としておりますが、これまでにこれを上回る産卵が確認されております。もとより、これはヨシ帯だけということではなく、種苗放流であったり外来魚駆除などとの複合的な効果であるというふうに思っておりますが、ニゴロブナやホンモロコの資源の維持、回復に貢献できているものというふうに考えております。  しかし、一定の年数が経過したヨシ帯におきましては、例えばその中にヤナギが侵入して機能が低下しているといった事例も見られているところでございます。  一方、砂地につきましては、セタシジミの良い漁場でありました南湖の草津地先を対象に、平成19年度から造成を始め、令和2年度までには累計69ヘクタールを造成しております。  造成した砂地とその隣接区域では、湖底耕うんを継続的に行うことによりまして環境の維持を図りますとともに、セタシジミの稚貝を放流して漁場の復活を目指しているところでございますが、大量に繁茂した水草が度々流入をして環境が悪化し、せっかく増え始めたシジミがまた減少するといったようなこともありまして、残念ながら、まだシジミ漁が復活できる水準まで至っておりません。  今後は、これまでに造成をしたヨシ帯や砂地の効果が十分発揮できるように整備に努めますとともに、新たな造成の推進については、これまで以上に資源回復に結びつくよう工夫しながら取り組んでまいりたいと存じます。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)ありがとうございます。  次に、琵琶湖の水位を操作する琵琶湖河川事務所において、近年、操作規則の範囲内において琵琶湖の環境に配慮した水位操作に腐心されていると聞き及びます。ここ数年のアユやモロコが増えた要因と言えるのではないかと思いますが、琵琶湖の水位変動もしくは水位操作が及ぼす水産資源への影響についてどのような知見を持っているのか伺います。 ◎農政水産部長(西川忠雄) 琵琶湖河川事務所におかれましては、6月16日から琵琶湖基準水位マイナス20センチメートルにするため、5月中旬から緩やかに水位を下げる操作が行われております。  水位の急激な低下は、春から夏に湖岸で産卵するコイ科魚類に影響を及ぼしますが、平成15年度からの試行操作を踏まえまして、平成26年以降、4月から6月15日にかけて、これらの魚類の産卵繁殖のための環境に配慮した水位操作が行われ、コイやフナ類の産卵に対する影響は緩和されていると承知しております。  一方、ホンモロコにつきましては、湖岸にあるヤナギの根やヨシの茎に産卵し、特に水面付近に集中して産みつけるという生態を持っておりますため、依然として水位の変動の影響を受けているものと承知をしております。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)その辺の産卵の生態とか、本当にそうなのかということをずっと調査し続けることが必要ではないかと思うんですけども、産卵できなかったら本当に産卵しないのかということも含めてなんですよね。適切な産卵場所がなければ産卵はしないのか、いや、いろんな場所で産んでいるんじゃないかなどということもあるんですけども、例えば水位はどういう状況だったら産卵が促されるのかとか、水産課として持っている知見をちゃんと琵琶湖河川事務所に、今言った内容も含めてなんですけども、お伝えができているのかどうかとかいうことについて見解をお伺いしたいと思います。  水産課は、今、知見を持っているわけですよね。ここについてきちっとお伝えできているのか、伺いたいと思います。 ◎農政水産部長(西川忠雄) お答えいたします。  水位の影響でございますが、産卵しないということではなく、例えばフナでありますと、浮いている葉っぱとかそういったものに卵を産みつけるということであります。また、モロコでありますと、先ほど申しましたように、ヤナギの根であったり、立っている草の茎といったような固定されたもの、定着しているものに産卵をすると。そして、産卵後に、ふ化するまでの間に水位が大きく下がりますと干上がってしまうおそれがある。とりわけ固定したモロコの場合にその傾向が強い、そういったような大きな傾向がございます。  そうした中で水産試験場におきましては、シーズン中、週1回の頻度で、湖岸の定点を定めましてホンモロコの産卵状況を調査しております。1週間の水位変化から、干上がって死亡する割合を推計しているところでございます。この結果は、毎回、琵琶湖河川事務所にも提供し、情報共有を図っているところでございます。  また、毎年、県と国が洗堰の操作について意見交換をする場におきまして、ホンモロコの産卵状況や産卵生態について情報共有をさせていただいているほか、今年度は、水産課と国の担当者レベルでございますが、ホンモロコの産卵場や洗堰操作業務の現場視察を行いますなど情報交換に努めているところでございます。  今後も環境に配慮した洗堰の操作をしていただけるよう、琵琶湖河川事務所との連携を深めてまいりたいと存じます。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)次の質問の答弁をされたような気がしないでもないですけども。  水産資源の状況を改善するためには水位の変動が水産資源に及ぼす影響が大きいとされているわけですよね、魚種が限られるのかもしれませんけども。これの情報の共有や対応策の検討などは、水産課として、琵琶湖の水位操作を行う琵琶湖河川事務所との連携が本当に大事になるのではないかと考えます。  琵琶湖河川事務所との連携については、今、調査の結果は毎回共有をしているということなんですけども、その共有したデータについて意見交換をしたり直接のやり取りをされているのか、これまでの取組を踏まえた状況、今後の展望について、改めてお伺いをしたいと思います。 ◎農政水産部長(西川忠雄) お答えいたします。  ちょっと先ほど先走ったかもしれませんが。  毎回、情報も共有しておりますし、また、先ほど申しましたように、年に1回、洗堰の操作について意見交換する場においても産卵状況や産卵生態について情報共有を図り、意見交換をしているところでございます。また、担当者レベルでは日常的に行き来もございますので、そういった情報共有は図れているというふうに考えているところでございます。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)ここは多くが自然を相手にするところなんですけど、琵琶湖の水位変動について言うと少し人が関与しています。操作規則があるので自由にできるわけではありませんけども、その範囲の中で琵琶湖河川事務所は、最大限、環境に配慮した取組をここ10年来取り組んでこられたというふうに新聞などでも報道されていて、今までこれは積極的に運用されてなかったんですけども、今この段階で、ここ数年、積極的に琵琶湖の水位変動が自然環境や琵琶湖の水産資源に与える影響を鑑みて操作をしてくださっている状況にあるというふうに新聞でも取り上げられていたので、ここはすごく興味があるところです。  今たまたま、積極的に運用しようとする人が琵琶湖河川事務所で操作に携わってくれているので今の状況ならば、そこは大事にしないといけないですし、そこの関係性をちゃんと構築しておいて、今後も様々な新たな知見が入るごとにやり取りができる関係を、個人としてもそうですし、組織としてもちゃんとつくっておく必要があるんじゃないかと思って、この質問をしています。そこについて部長の見解を問いたいと思います。 ◎農政水産部長(西川忠雄) お答えいたします。  手元に資料は持っておりませんが、私が平成20年に水産課におりました折から、この内容については琵琶湖河川事務所との間で情報のやり取りをしているということでもございます。非常に長い期間かけて情報共有を図り、そうした中で現在の配慮した操作をしていただいているというふうに理解をしております。  今後とも組織としてきちんと情報共有を図り、配慮いただくべきは配慮いただける、そういった状況を継続できるように努力をしてまいりたいというふうに存じます。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)組織が異なるのでなかなか難しいところもあるのかもしれませんが、琵琶湖のためですので、ぜひ、乗り越えていただければと思います。  琵琶湖における魚介類の生息環境に対して関係が深いことはもとより、私たちの日常にとても関係が深い琵琶湖の水位は、天候の状況によって、洪水を防いだり必要な水を確保したりするために操作規則に沿って操作をされていますが、実際にどのように行われているのか、さらにはどのような考えの下に行われているのかについてあまり知られていないと私は感じていますし、言えると思います。  琵琶湖の水位操作について正しく県民が知ることが必要ではないかと考えますが、知事の見解を伺います。 ◎知事(三日月大造) 琵琶湖の水位操作につきましては、平成4年に制定された瀬田川洗堰操作規則に基づきまして、琵琶湖周辺の洪水防御、下流淀川の洪水流量の低減、下流淀川の水道用水等の供給のため洗堰を操作することとされております。  具体には、6月16日から10月15日までの洪水期間の水位操作といたしましては、8月31日までは基準水位マイナス20センチメートル、10月15日まではマイナス30センチメートルにあらかじめ下げておくことで、梅雨や台風により大雨が降っても琵琶湖周辺に水があふれないようにするとともに、下流淀川の洪水を抑制していると、こういうことがございます。  また、木津川や桂川などからの流入量と合わせて下流淀川の水道用水などに必要な水量を確保できるよう、洗堰から琵琶湖の水を放流しておりますが、最近のように琵琶湖の水位が特に低い場合は水位維持に配慮し、放流量をきめ細かに操作されております。  加えまして、先ほど農政水産部長からの答弁にもありましたとおり、平成26年度からは環境に配慮した水位操作も行われているところでございます。  議員御指摘のとおり、こうした琵琶湖の水位操作につきましても県民の皆様に知っていただくことは大変重要だと考えており、私自身も琵琶湖の水位を常に注視し、その時々において必要な情報発信に努めてまいりたいと存じます。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)最後に、CO2ネットゼロの取組について伺いたいと思います。  琵琶湖漁業においてもCO2ネットゼロに取り組む必要があると考えます。一方で、厳しい状況にある琵琶湖の漁業での取組はハードルが高いとも言えます。  琵琶湖漁業でのCO2ネットゼロについてどのように取り組もうとされるのか、知事に見解をお伺いします。 ◎知事(三日月大造) 琵琶湖漁業におけるCO2ネットゼロの取組についてでございますが、漁業の操業におきましては漁船の航行に伴うCO2の排出が避けられませんが、航行速度を10%低減することで、航行距離は同じでも燃油消費量を10%削減することができるとのことから、この取組を全ての漁業者に呼びかけているところでございます。  今後、CO2の排出量をより削減していくため、適切な資源管理による水産資源の回復や情報技術を活用した漁労技術の効率化により、短距離、短時間の操業で漁業生産を維持できることを目指してまいりたいと存じます。  加えて、CO2を吸収する役割を持つヨシ帯の保全に漁業者の皆さんを中心とする地域の方々が尽力されており、この活動をしっかりと支援してまいりたいと存じます。  国が公表したみどりの食料システム戦略におきましては、漁船の電化、水素燃料電池化に向けた研究開発を進めていくこととされており、その動向も踏まえながら、将来的な琵琶湖漁業における活用等についても検討してまいりたいと存じます。  また、まだ研究途上だということですけど、報道等によれば、ブルーカーボンという考え方も出ているようでございますので、こういったこと等についてもしっかりと情報を吸収し、今後につなげてまいりたいと存じます。  こうした取組により、環境への負荷が少ない持続可能な琵琶湖漁業の実現をみんなで目指してまいりたいと存じます。 ◆8番(河井昭成議員) (登壇)漁船がエンジンを使っている以上、油をたいて走っているということですし、この辺がCO2排出の大きいところになると思うんですけども、先ほどの海東議員の質問の中にもありましたけども、CO2を排出しない燃料に切り替えるというのもその手法の中にも入ると思いますし、電化、水素化、様々に手法があると思いますが、今の状況でいくと、なかなか取組としては難しくなります。ここに対して、県としてしっかりサポート、支援することが大事だと思うんですけども、そこも含めて、この後の計画にしっかり織り込んでいくような形で取り組んでいただきたいと思いますが、改めて知事に見解を問いたいと思います。 ◎知事(三日月大造) 今回の計画の射程期間の中でどこまで盛り込めるかというのは見極めが要ると思うんですけど、当然、そういったCO2ネットゼロの観点で、漁業分野でどのような取組ができるのか、例えば燃料循環等でどのような取組ができるのかということも重要なテーマだと思いますので、そういったことも、ぜひ、しっかりと検討していきたいと存じます。
    ◆8番(河井昭成議員) 終わります。(拍手) ○議長(富田博明) 以上で、8番河井昭成議員の質問を終了いたします。  次に、5番白井幸則議員の発言を許します。 ◆5番(白井幸則議員) (登壇、拍手)自民党滋賀県議会議員団の白井でございます。  それでは、発言通告に従いまして、障害福祉サービスに関して、分割質問で全て健康医療福祉部長にお尋ねをします。  障害者総合支援法においては、サービスの質の向上を図る観点から、障害者福祉サービス事業所ごとにサービス管理責任者の配置を義務づけています。サービス管理責任者は、個々のサービス利用者のアセスメントや個別支援計画の作成、加えて定期的な評価など、一連のサービス提供プロセス全般に関する責任を負うとともに、サービス提供職員に対する指導的役割を担っております。  障害を持った方が障害者向けサービスを利用するには個別支援計画が必要となります。サービス管理責任者はこの個別支援計画を作成するために、利用者や御家族と面談し、現在の状況などを把握して、利用者がどのような障害を持っているのか、利用者が今後どのようになりたいのかという情報に基づいた目標を設定するアセスメントを行い、個別支援計画を作成します。また、サービス管理責任者については、障害福祉サービス事業所ごとに、療養介護、生活介護、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援事業所では利用者の60人に1人の割合で、グループホームでは30人に1人の割合で必要になります。つまり障害者が自分に合った質の高いサービスを受けるためには必要不可欠な存在であるということです。  ところが、現在、このサービス管理責任者の有資格者が不足しており、それぞれの事業者やこれから事業を計画している方にも深刻な状況となっています。  栗東市にある事業所では、サービス管理責任者が退職されて、募集をかけているがなかなか見つからない、ハローワークにも求人を出しているが、開所間もない小さな事業所では来てもらえない、また、草津市にある事業所でも、退職を予定されている方がいるが、代わりの有資格者がなかなか見つからないなどの実態を伺っています。  まず、県内の障害福祉サービス事業所のこのような状況についてどのように把握されているのかを伺います。  次に、サービス管理責任者が不在となった月の翌々月から基本報酬が減算されますから、事業所の運営にも影響を与えますし、利用者へのサービス低下が懸念されます。このような事業所に対し救済や支援について考えているのか、伺います。  3点目、平成31年度からサービス管理責任者等の研修体系が変更され、これまでの研修が基礎研修と実践研修に分けられ、さらに、基礎研修受講後から実践研修受講までの間に2年以上のOJTの期間が必要となりました。この変更に当たっては経過措置が設けられ、平成31年度から令和3年度までの基礎研修受講者については、研修終了時点で実務要件を満たしている場合はサービス管理責任者とみなして配置することが可能となっていますが、経過措置終了後は実践研修受講前に最低2年以上のOJTが課せられることから、新たにサービス管理責任者として配置できる方が出てくるまで一定の空白期間が生じることとなります。大津市でグループホームを計画されているところも、サービス管理責任者が不足している状況から、計画を1年延期したと聞いています。  障害者がサービスを受ける機会が得られなくなることが懸念されます。どのような対応を考えているのかを伺います。  最後に、サービス管理責任者の資格は持っているが、事業所には従事していない方々が多くおられると思いますが、そういった方々への働きかけをしてサービス管理責任者の不足している状況を打開するのも一つの方法と考えますが、部長の所見を伺います。 ○議長(富田博明) 5番白井幸則議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) (登壇)障害福祉サービスについての4点の御質問にお答えいたします。  まず1点目の、障害福祉サービス事業所の状況についてでございます。  サービス管理責任者等の充足等に関する調査は実施しておりませんが、幾つかの事業所からはサービス管理責任者が急に退職され、代わりとなる方がなかなか見つからないなどの声が寄せられているところでございます。また、障害福祉サービス事業所で構成される団体や障害当事者、家族団体、市町からは、強度行動障害に対応できる人材やケアマネジメントを担う相談支援専門員の養成に係る要望が寄せられている状況でございます。こうした特定の資格要件を必要とする人材のほか、事業所からは、障害福祉分野全体として人手不足の状況にありまして、県に対しても人材確保の取組が求められているところでございます。  2点目の、事業所への救済や支援についてでございますが、サービス管理責任者は、利用者の個別支援計画の作成など、事業所におけるサービスの質の維持向上に欠かせない重要な役割を担っておられまして、不在となる状況を避ける趣旨から、基本報酬減算の仕組みが設けられているものというように認識をしております。  しかしながら、急な退職など、事業所におきまして予測できない事態によりましてサービス管理責任者が不在となった場合には、救済策として、一時的に実務要件を満たす方をサービス管理責任者とみなす対応が可能とされているところでありまして、また、個別の事案ごとに事業所の事情を丁寧に確認していく中で、一日も早くサービス管理責任者が見つかるよう、相談対応も行ってまいりたいと存じます。  3点目の、空白期間への対応についてでございますが、サービス管理責任者等の配置が必要な事業所の数につきましては、国が定めた経過措置期間中の令和元年度および2年度、合わせまして、本県で100事業所、増えてございますが、サービス管理責任者等養成研修につきましては、同期間中に278人の方が基礎研修を受講していただいているところでございます。しかしながら、昨年度以降、感染拡大防止の観点から、事業所の運営上必要な方を優先して、研修の定員を減らすなどの対応を取ったことによりまして、受講者数が当初想定していた人数より150人程度少ない状況となりましたことから、10月に厚生労働省に対しまして私から経過措置期間を延長いただくよう要望を行ったところでございます。  今後、国の対応状況を確認するとともに、近隣府県等と連携した再度の要望活動の実施など様々な方法で国への働きかけを強化してまいりたいと存じます。  4点目の、サービス管理責任者等研修受講者への働きかけについてでございますが、この研修は、平成18年度の開始以降、約3,300人の方が受講されておりまして、一方で、配置が必要な事業所を指定した数が令和2年度末時点で約860となってございます。こうした状況から見ますと、現在、サービス管理責任者として活動されていない方も一定数おられると考えられますことから、県の広報媒体を活用した啓発やイベント等の現場での周知など様々な手段や機会を活用して潜在有資格者を掘り起こし、サービス管理責任者不足の解消に向けた取組を進めてまいりたいと存じます。  あわせまして、障害福祉分野全体の人材確保対策につきましても取組を強化していく必要があると考えておりまして、今年3月に策定いたしました滋賀県障害者プラン2021の検討過程におきまして設置いたしました小委員会の検討の中で、処遇改善や学生へのPRの必要性等が課題として挙がったところでございます。検討結果を踏まえまして、今年度、新たに、小規模事業所等に社会保険労務士を派遣して国の処遇改善策の活用に必要な手続を支援する取組や、学生等を対象とした障害福祉の仕事の魅力発信事業などを実施しているところでございます。  障害福祉分野における人材不足への対応についてしっかりと取り組んでまいりたいと存じます。 ◆5番(白井幸則議員) (登壇)2点、再質問をさせていただきます。  資格者の人材不足の状況の把握についてですけれども、障害福祉課のほうに相談に来られるというのはよっぽどの状況ではないのかなと思います。  民間の事業所さん、民間の企業についてもそうですけれども、人が不足して求人をする場合、やっぱりハローワークに行ったり、民間のそういう広告とか人材をあっせんする会社等にまず相談をかけておられると思います。でも、なかなか見つからないから県庁の障害福祉課のほうにも相談に来られるということであれば、よほど深刻な状態だと思いますし、県庁に相談に来られるということは本当の氷山の一角で、実際には多く不足しているのではないかなと思います。  これは私の調べですけれども、10月から持ち越した分、そして、11月の新規のサービス管理責任者の求人については、民間のいろんなところ、ハローワークも含めてですけれども、49人不足しているというふうに求人が上がってきています。その点において、商工観光労働部であったりハローワークであったりと色々と情報交換を絶えずしておられるのかどうかということを1点、再質問させていただきたいということ。  そしてもう1つ、最後、国のほうにみなし配置の期間の延長をお願いしているということですけれども、それが確実なのかどうなのか、進捗はどうなのかということをちょっと確かめたいと思います。それが順調にいくのであれば、さらに2年の間に体制を整えればいいんですけれども、今年の場合ですと9月に基礎研修の演習が終わって、そして、その状態で、今現在、49人のサービス管理責任者が不足している状態になっているのが現状です。一定の空白ですけれども、次に新たにサービス管理責任者の配置できるような状態の人が誕生するのは最短でいつになるのかというのを把握しておられるかを尋ねたいと思います。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  1点目に御質問いただきましたハローワークとの情報交換でございます。  ハローワークにつきましては、障害者雇用等ではよく情報交換をしておりますが、こういった人材の確保といった意味では、特にサービス管理責任者などと特化して、あまり意見交換は現状はできていないところでございます。  一方で、先ほど質問の中でもありましたように、障害者の人材確保の問題はまだまだ取組が浅いということもございまして、今後、やはりハローワーク、労働関係の団体ともよく相談しながら求人の開拓に努めてまいりたいというふうに考えております。  それから、もう1点の御質問でございます。  まず、サービス管理責任者の確保の見通しでございますけれども、これにつきましては、具体的にどのぐらいの数字というのは我々も十分に把握はできてないところでございます。一方で、先ほど申し上げましたとおり、まず、経過措置期間の延長を国へ働きかけを行っておりますし、近畿府県にも呼びかけていきたいというふうに思ってはおりますが、まず、この研修、実はもう9月に、今御指摘がありましたように終わっております。来年度も予定はしておるわけでございますけれども、それまで大分期間がございますので、例えば今考えておりますのは、講師の確保、スケジュールの調整も必要だと思いますけども、国の対応状況によっては研修を改めて実施するとか、こういった形で、どのぐらいのニーズがあるのか、まず、把握をしてまいりたいというふうに考えております。 ◆5番(白井幸則議員) (登壇)ありがとうございます。  みなし期間が延長されるといいんですけれども、滋賀県だけがそういう状態だということでは、なかなか国のほう、全国一律の法律を変えるということは難しいかと思いますので、近隣と連携しながら取り組んでいただけたらなと思いますし、今年のペースで来年も同じような研修をして、2年間のOJTがあって、そして、また今年と同じようなペースで1月に実践研修をするとしたら、次に誕生するのは、令和7年の1月にしか新しいサービス管理責任者は誕生してこないような形になります。今は令和3年の12月ですから、令和7年の1月までの空白が出来る。さらに付け加えると、49人のサービス管理責任者の求人、人材不足を抱えながら、この3年間、空白は2年じゃないです、3年間を乗り越えていかなきゃならないので、緊張感を持って取り組んでいただきたいとお願いしまして、また、部長の答弁にもありましたように、障害福祉サービスに従事する人、人材が全般的に不足しています。障害者が地域で共に暮らし、共に育ち、学び、共に働き、共に活動する共生社会を実現するためには障害福祉サービス事業所も大きな役割を担うことと思いますので、よろしくお願いいたします。  では、次に、県立高等学校における特別な支援を必要とする生徒に関して、今度は一問一答にて全て教育長にお尋ねをします。  まず、県内中学校の特別支援学級の生徒の進学についてですが、最近は特別支援学校高等部や高等養護学校よりも高等学校への進学が増えていますが、まず、それらの実態について伺います。 ◎教育長(福永忠克) (登壇)お答えをいたします。  公立中学校および義務教育学校後期課程の特別支援学級の卒業生につきまして、高等学校へ進学した生徒の割合は、10年前でございますが、平成23年度は25.8%でございまして、特別支援学校高等部と高等養護学校へ進学した生徒の割合、64.7%を大きく下回っておりましたが、平成28年度にその割合が逆転いたしまして、それ以降は特別支援学校高等部と高等養護学校へ進学した生徒の割合を高等学校に進学した生徒の割合が上回っている状況でございます。  令和2年度の卒業生の進路状況調査では、高等学校への進学が191名で49.5%となっております。次いで、特別支援学校高等部への進学が111名で28.8%、高等養護学校への進学が64名で16.6%、そのほか就職、児童福祉施設、教育訓練関係機関等が20名で、これを合わせて5.2%となっているところでございます。 ◆5番(白井幸則議員) (登壇)ありがとうございます。  県立高等学校へ進学する生徒がこの10年で約5倍になっていますが、なぜ高等学校への進学が増えてきたのか、進路指導の観点も含め、どのように分析されているのかを伺います。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  その要因といたしましては次の3点が考えられます。  まず1点目は、自閉症・情緒障害特別支援学級の在籍者数の増加でございます。平成23年度は小中学校合わせて976名でありましたが、令和2年度は2,043名と約2倍強となっておりまして、知的障害のない自閉症・情緒障害特別支援学級在籍生徒の多くが高等学校へ進学しておられます。  2点目は、私立高校も含めまして、高等学校における特色ある学科やコース設置等、様々な学習方法を選択できる学校が増えているということでございます。生徒の実態や希望、教育的ニーズ等に応じた進路を選択できるようになったことが考えられます。  3点目は、中学校等でのキャリア教育によりまして様々な職業や進学先について生徒自身が詳しく知る機会が増えたことでございます。将来、自分のやりたいことが明確になる中で、高等学校への進学を希望することが多くなってまいりました。こうした中、進路指導では、生徒や保護者の希望や思いを大切にしつつ、本人の状況に合った進路について丁寧に懇談を重ねまして、情報提供したり見学や体験の場を設けたりして取り組んでいるところでございます。 ◆5番(白井幸則議員) (登壇)この点について再問をさせていただきます。  高等学校への進学が増えてきたということですけれども、このような傾向が今後も続くのか、どう予測されているかについてお伺いします。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  今後、滋賀県の子供全体の人口は減少傾向にございます。しかしながら、現在の小中学校の状況も含めまして、自閉症・情緒障害特別支援学級の在籍者数、これは今後も高いまま推移することが予想されております。こうしたことから、高等学校への進学を希望する生徒数の増加傾向は続くのではないかと考えているところでございます。 ◆5番(白井幸則議員) (登壇)ありがとうございます。  障害のある生徒一人一人への支援を一層充実させるためには、校長のリーダーシップの下、校内委員会や特別支援教育コーディネーターが機能を発揮するための全校体制の構築や、個別の指導計画および個別の教育支援計画の作成、活用、教員の専門性の向上、支援の継続性の確保などが求められます。  そこで、県立の高等学校で個別の指導計画や教育支援計画を作成する必要があると校内委員会で判断された生徒が令和3年度では高校生全体の約5%と仄聞しています。生徒は具体的にどれぐらいいるのかを伺います。 ◎教育長(福永忠克) お答えいたします。  学校で個々の障害の状況に応じたきめ細かな指導を行うために作成されます個別の指導計画と、学校と関係機関が連携を図り、小中学校から高等学校卒業後を見通した教育支援のために作成されます個別の教育支援計画につきまして、令和3年度、県立高等学校において作成する必要があると判断された生徒は全体で1,612名でございます。これを5年前の平成28年度と比較いたしますと、当時は755名でございましたので、2.13倍の増となっているところでございます。 ◆5番(白井幸則議員) (登壇)ありがとうございます。全体で1,612名もいるということで、先生方の努力によって、この作成率も大幅に上がってきているというふうに聞いております。  次に、中学校の特別支援学級の生徒や、通常の学級の生徒の中にも発達障害などにより個別の指導計画や教育支援計画を作成しています。それらの引継ぎはうまくいっているのか、また、高校に入って新たに作成が必要になる生徒もいます。その個別の指導計画や教育支援計画、それぞれの作成はどのようになっているのかを伺います。 ◎教育長(福永忠克) お答えいたします。  まず、引継ぎについてでございますが、高等学校ではこれまでから、訪問等によりまして、特別な教育的支援を受けていた入学生徒について中学校での様子や支援に関する情報共有を行うなど、その引継ぎに努めているところでございます。  また、入学後、新たに作成が必要となった生徒に対しましては、校内委員会を開き、支援について検討を行い、特別支援教育コーディネーターや担任が中心となり、作成に努めております。  作成状況でございますが、令和3年度、個別の指導計画の作成率は5年前と比べまして16ポイント増の92.7%に、また、個別の教育支援計画は41.1ポイント増の80.3%に増加をしているところでございます。このように作成率は増加をしておりますが、第3期の滋賀県教育振興基本計画におきましては、令和5年度の目標を100%と定めておりますことから、高等学校に派遣している巡回指導員や学識経験者等によりますスーパーバイザーの派遣によりまして、先生方の特別支援教育に関する専門性の向上とともに、さらなる作成率の向上にしっかりと努めてまいりたいと考えております。 ◆5番(白井幸則議員) (登壇)この部分について再問をさせていただきます。  2番目の質問で、生徒等の希望とかも丁寧に聞き取りながら進路を決めて進めておられる。そして、今の引継ぎということですけれども、僕も引き継いでいくことが大切だと感じています。  滋賀県では滋賀県人権教育研究大会というのを毎年開催されておられます。その中の分科会で進路保障についての報告があります。私も、分科会等に参加させてもらっていますが、教育長の進路保障についての考え方をお伺いしたいと思います。 ◎教育長(福永忠克) お答えいたします。  進路保障につきましては、高校卒業後のために、今どのような力をつけることが必要なのか、そして、どのような力を育てていかなければならないのかを考えて、しっかりと学校現場で取り組むことが必要だというふうに考えております。  特に特別な支援を必要とする生徒の進路保障につきましては、生徒の状況が様々でございますので、個々の生徒の状況や、それから、その生徒が望む進路先に応じた支援というのが大切だと考えているところでございます。  進路の選択の過程におきまして、やはり関係機関との十分な連携を行うことも大切でございまして、その一人一人の適性に応じた進路選択になるということで、本人でありますとか、あるいは保護者の皆様にしっかりと情報を提供し、その方々と相談をしながら進路を決めていくということが大切だと考えているところでございます。 ◆5番(白井幸則議員) (登壇)ありがとうございます。  この研究大会では、中学生や高校生や、また、民間企業からも大変貴重な報告がされ、皆が学ばせていただいています。進路保障の始まりというのは、いわゆる同和教育の中で、地区の者が就職する際に住んでいる地域を理由に職業の選択ができない、障害があるとか不都合があるとか、そういうことからスタートして、そして、そういったことが企業の公正採用選考の取組へと進んで、そしてまた、そこから深く研究が進んで、また取組を積み重ねてきて、そして、ある年の分科会の発表では、中学校の先生が支援の必要な子を高校に引き継いだ、でも、ちゃんと学校へ行っているかな、どうかなと聞くと、学校を休みがちになっているらしい、声をかけに行って、どうしたのと、そういった中で、また学校に復学してちゃんと卒業できるようになった、そういう報告もあったりして、この先生に出会った生徒は幸せだなと思いました。  だから、進路を選択する、そのお手伝いをするだけではなしに、その選んだ道が広い道なのか狭い道なのか、もしかしたら子供たちにとっては険しい道なのかも分かりません。その道からそれないように、落ちないように、ちゃんと渡り切れるようにというところまでの、今、進路保障の考え方というのが深まってきています。そういったことが考えられる、そういった感性を持った先生方が多くおられるというのは、非常に心強く思っているところなので、ちゃんと高校を選択して、入ったからにはちゃんとそこを渡り切れて、卒業して社会に出れる、あるいは進学できる、そこまでしっかりと保障して、みんなで支援をしていくことが必要だなと思っております。  次に、中学校の特別支援学級から高等学校に進学する生徒も増えています。また、校内委員会で個別の支援計画が必要とされる生徒も多くいます。生徒は入学者選抜に合格して高等学校に入学しますから、基本、高校のカリキュラムによって授業が進められていきます。  高等学校には特別支援学級がないのですが、指導計画や教育支援計画に基づく支援が行き届いているのかどうか、教育長の所見を伺います。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  県立高等学校におきましては、特別支援教育コーディネーターを中心に校内委員会を設置いたしまして、個別の指導計画や教育支援計画に基づきまして、教室での座席の配慮でありますとか、個別に指示プリントを配付するなど、個々の生徒に対して配慮を行っていただいているところでございます。  各学校では、授業のユニバーサルデザイン化、また、少人数での授業を展開するなど、組織的な支援体制をつくっていただいているところではございますが、議員からも御指摘いただいているとおり、年々、特別な支援を必要とする生徒が高等学校に進学する数が増えてきておりますので、この支援体制についてはまだまだ課題があるものと認識をいたしておりますので、引き続き、学校現場の声をしっかりと聞き、取組を進めてまいりたいと考えております。 ◆5番(白井幸則議員) (登壇)まだまだ課題があるという認識をしていただいているということをありがたく思います。  次に、障害のある生徒が安心・安全で過ごすことができて、障害のない生徒とともに充実した学校生活を送れるために、支援だけでなく、教員に過度の負担がかかり過ぎないようにするために特別支援教育支援員は重要な役割を果たすと思います。県立高校51校について、支援員の配置の状況について伺います。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  令和3年度──今年度、特別支援教育支援員を配置しております学校は14校でございます。14校のうち6校で身体の介助を必要とする生徒の支援を、また、8校で発達障害のある生徒に対する学習支援を行っているところでございます。  支援員を配置いたしました学校における効果といたしましては、授業での支援だけではなくして、対人面で悩んでいる生徒の状況について支援員が把握した内容を担任の先生と共有できたこと、また、支援員が行っていただいている介助の様子が先生方や周りの生徒の介助の仕方の学びにつながったことなどが挙げられるところでございます。 ◆5番(白井幸則議員) (登壇)県立高校51校のうち14校について、14名の配置ということですけれども、個別の指導計画や教育支援計画に基づいて確実な指導や支援をしていこうとすると支援員の配置が少な過ぎると思うのですが、その分、先生方の負担が重くなっているのではないかと思います。  学校における働き方改革を進める上においては、学校の状況を見極めながら適切な加配をしないと、支援を必要とする生徒が、結果として、やむを得ず切り捨てられるのではないかと保護者からの声も届いております。教員の加配の状況を伺います。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  教員の加配につきましては、各学校の状況や課題を踏まえまして、標準定数法上の定数に加えて教員を配置しているものでございます。  高等学校におきましては特別支援に係る常勤の加配は、現在、ございませんが、特別支援教育コーディネーターを担当する先生の負担の軽減を図るために、全日制高校で13校、定時制高校で3校に、週6時間でございますが、週6時間の非常勤講師の加配措置をさせていただいているところでございます。  引き続き、各高校の状況、またニーズを的確に把握しながら、必要な措置を講ずるよう努力してまいりたいと考えております。 ◆5番(白井幸則議員) (登壇)今の答弁では、専任の常勤者という形の加配はしていないということで、特別教育支援コーディネーターについては、それ専門の人を配置しているのではなく、学校におられる先生を指名して、兼務でコーディネーターの役割を担っていただいている、このコーディネーターの役割を担った分、授業に支障が出るので、その分を非常勤の者で補っているという、そういう構図だと思うんですけれども、しっかりと支援とか指導を進めていこうと思うと、特別支援コーディネーターを専任で配置していただいて、それに基づいて、授業ができない分について常勤の者を加配するというのも1つのやり方かなと思いますけれども、そういったところは、また今後、検討していただけたらなと思います。  次に、これからの滋賀の県立高等学校の在り方に関する基本方針(原案)の目指す姿の中にも「障害のある者とない者が互いに学び合い、互いを尊重できる」とありますが、この姿を実現していくためには障害のある生徒に対しては必要な支援が提供されなければなりません。こういったことを基本方針にもしっかりと明記しておく必要があると思いますが、所見を伺います。 ◎教育長(福永忠克) 基本方針の策定に当たり御議論いただいた検討委員会では、特別な教育的支援を必要とする生徒に対する対応の必要性、これが議論をされたところでございまして、その重要性については会議に出席させていただいた私も認識をいたしているところでございます。  目指す姿の実現に当たりましては、やはり障害のある生徒への支援の充実、これは必要であると考えております。原案では、教職員の研修の充実、通級による指導の拡大、また、特別支援学校との連携強化などに取り組むこととしているところでございます。  原案につきましては、現在、県民政策コメントを実施しているところでございますが、この県民政策コメントでいただく御意見や、また、県議会での御意見などを踏まえまして、基本方針の策定に努めてまいりたいと考えております。 ◆5番(白井幸則議員) (登壇)良いものを完成させていただきたいなと思います。  滋賀の目指す特別支援教育ビジョンの実施プランの中にも、県立高等学校に特別な支援を必要とする生徒への支援スタッフを配置し、発達障害を含む障害のある生徒への支援の充実を図ると書かれてあります。力の入れどころとして書かれてあると思います。必要な支援の提供というあたりもしっかりと書いていただければなと思います。  次に、学校教育法施行規則の一部を改正する省令によって、平成30年4月1日から高等学校においても小中学校と同様に、障害に応じた特別の指導を行う必要性がある生徒を教育する場合に通級による指導ができることとなりました。また、県立の愛知高等学校では、文部科学省の高等学校における個々の能力・才能を伸ばす特別支援教育モデル事業において、平成26年から通級による指導について取組をスタートさせ、現在も通級による指導を実施しておられますが、どのように評価されているのか伺います。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
     愛知高等学校におきましては、平成26年度から29年度までの4年間、文部科学省の研究指定を受けまして、通級による指導に取り組んでまいりました。そして、今、議員の御質問にもございました平成30年の省令改正によりまして、平成30年度より導入をしたところでございます。  今年度は3学年で4名の生徒を対象といたしまして、他の人との関わり方、また、自分の特性を理解することなどを学ぶ自立活動の授業でございますライフスキルトレーニングを週1回、7時間目に実施をしているところでございます。  この自立活動を通しまして、進路を具体的に考えることがなかなか難しかった生徒さんが、先生や保護者の意見を聞き、自分の意思を持って短大への進学を決めることができるようになったという事例でありますとか、また、自己の特性や職業適性を知った上で就労したいと考えるようになったと聞いているところでございます。 ◆5番(白井幸則議員) (登壇)ありがとうございます。すばらしい成果が出ていると思います。ただ、今は愛知高校1校のみの取組ということになっています。  最後の質問になりますけれども、個別の指導や教育支援が必要な生徒に対して、学校ごとの独自の対応に任せるだけでなくて、県の教育委員会として、支援の仕組みとして通級による指導を強化すべきと思いますが、考えを伺います。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  高等学校におけます通級による指導、これを拡大していくためには専門的な知識や技能を持った教員の配置、また、指導時間や指導体制の確保といった課題があるところでございます。  このような課題はありますものの、(仮称)これからの滋賀の県立高等学校の在り方に関する基本方針、この方針に基づきまして、県教育委員会として全県的な視野から、高等学校におけます通級による指導の在り方、こちらの検討を進めてまいりたいと考えております。 ◆5番(白井幸則議員) (登壇)ありがとうございます。全県的に仕組みとして進めていただきたいと念願するところであります。  特別な支援を必要とする生徒が進路として選んだ県立高校において充実した高校生活を送ることができて、また、それぞれの将来に向けて進んでいけるように、よろしくお願いします。  終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(富田博明) 以上で、5番白井幸則議員の質問を終了いたします。  しばらく休憩いたします。   午後0時30分 休憩    ────────────────   午後1時15分 開議 ○副議長(岩佐弘明) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  次に、11番黄野瀬明子議員の発言を許します。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇、拍手)住まいを失った生活困窮者の支援について、一問一答で全て健康医療福祉部長に質問をしてまいります。  今年5月、県内で派遣労働者として10年以上働いてこられた男性がコロナ禍の影響で失業し、派遣寮を追われ、仕事と住まいを同時に失いました。男性は東近江市の八日市駅近くから大津市のホームレス支援団体に連絡をし、「野宿をしている」と支援を求めました。日曜日のため役所にはつながれず、知人がいる彦根市まで送迎してもらい、結局、知人とは出会えず、ネットカフェで一晩過ごしました。翌日、居住を求めて彦根市の福祉窓口に相談をし、一時生活支援事業のシェルターに入ることができました。  男性は、十数年、仕事を失うと同時に住むところも失うということを経験し、これからは不安定な暮らしから抜け出すために、自分でアパートを契約して住居を決めて就職活動をしたいと相談をしました。ところが、福祉事務所の職員は、彼の希望を受け止めず、住み込みの就職をしたらどうか、愛知県だったらすぐにあるよと言って、直ちに働くように何度も勧めました。彼はその対応に嫌気が差して彦根市を後にしました。大津市に移り、一時生活支援事業の委託を受けているNPO法人の支援で居住を得て、生活保護を利用することができました。住まいを拠点に就職活動をしておられます。  私は、この男性の事例をお聞きし、住まいを失った生活困窮者が生活を再建するための福祉行政の対応に問題があると思いました。以下、その改善を求めて、全て健康医療福祉部長に質問してまいります。  まず、行き場を失った人が緊急的に身を寄せる場所が必要です。男性が相談をした彦根市でシェルターがあったことは重要でした。この一時生活支援事業のシェルターとはどのような役割があるのか伺います。 ○副議長(岩佐弘明) 11番黄野瀬明子議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) (登壇)お答えいたします。  一時生活支援事業は生活困窮者自立支援制度の任意事業の一つでございまして、ホームレスなど不安定な住居形態にある方に、緊急的に一定期間、宿泊場所、シェルターや衣食を提供するものでございます。それから、原則3か月、一人一人のアセスメントの状況によりまして6か月まで延長可能でございますが、この支援期間に自立相談支援事業と組み合わせた相談支援により、一人一人の状態に応じた生活、就労などのサポートを行うものでございます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)この事業をしていない自治体もあるとお聞きをしておりますが、その自治体はどこなのか伺います。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  生活困窮者自立支援制度は福祉事務所設置自治体が実施主体となっておりまして、現在、一時生活支援事業を実施していない自治体は近江八幡市、守山市、栗東市、野洲市、高島市、東近江市、米原市の7市となってございます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)この事業をしていない自治体では、例えば救護施設に一時入所で対応するということもお聞きしておりますが、どのような対応をされてきたのか伺います。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  一時生活支援事業を実施していない7市では、例えば市が連携している民間施設へのあっせんや、生活保護の申請を前提に救護施設やホテルなどの一時居住先への入所など、それぞれの地域の社会資源を活用した対応がなされているところでございます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)この事業をしておられない自治体では、今おっしゃっていただいたように様々、それぞれの施設で受け入れておられるということですけれども、例えば救護施設での受入れが多いというふうにもお聞きをしております。  そういうところの福祉施設の部屋は、4人部屋が基本であったり2人部屋、相部屋が基本というふうになっているわけですけれども、プライバシーの保護もされない、そういう状況にもなってしまっております。また、救護施設ですと、立地場所が大津市、高島市、日野町にしかないということで、例えば支援員さんがハローワークに同行訪問など就労の支援をされることが大変しにくいとも伺っております。このような対応でよいのか伺います。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  救護施設は県内に5か所設置されておりますが、相部屋のほか、個室を設けているところもございまして、相談者の状況に応じて生活に配慮が必要な場合には個室に入っていただくなど対応がされていると聞いております。また、その後の支援のためには福祉事務所に近い場所が望ましいと考えますが、現時点では、各福祉事務所において救護施設の機能などを生かしながら必要な支援がなされているものと認識しております。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)再問をいたしますが、1点、救護施設について取り上げましたけども、生活保護法を根拠とする大変重要な施設というふうに認識していますし、先日、大津市の滋賀保護院も視察させていただきまして、今、このコロナ禍では大変必要な施設だというふうに特に思いました。  その救護施設が相部屋でいいのかという問題については別の機会に取り上げたいというふうにも思っております。  再問ですけども、住まいのない人に相部屋でも案内をしているということなんですけれども、近年、住まいのない生活困窮者を悪質な無料低額宿泊所に入所させるということが社会問題ともなりました。県内には、届出のあるそうした無料低額宿泊所というのは、現在、1軒もないとお聞きをしておりますけれども、一方で、一時支援事業のシェルターについても特に基準はなくて、運営主体の考え方次第となっていると思います。プライバシーが守られる個室、ワンルーム、こういう対応を基本とするべきだというふうに思います。  加えて、去年4月に厚労省が事務連絡を出しまして、特にこのコロナ禍で3密を避けるためには居住が不安定な方への居住の提供というのは個室の提供が望ましいと、衛生上、管理が整った居どころを提供することが配慮としてお願いをされております。  こういった点からも、3密を避けるためにも、プライバシーが守られるようにも、シェルターの在り方というのは、原則、個室あるいはワンルームということを基本にすべきだと思いますが、部長のお考えをお伺いします。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  御指摘がありましたとおり、感染症対策におきましては個室等の対応も必要かと思いますが、現状におきまして、そうした救護施設等におきましても感染症対策の徹底を図っておりますし、個室の必要な方には個室で対応するという方針で臨んでおりますので、このような形で対応してまいりたいと考えております。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)コロナ対策としての対応は大事だと思うんですけども、在り方としては。プライバシーが守られるということも基本的な考え方にすべきだと思いますが、その点についてお考えを伺います。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  プライバシーの確保についても、当然、大事な視点だと思っております。現在のところ、こういった施設の機能を生かしながら、当然、個室の必要な方には個室で対応していく、こういった形を取っておりますし、ハードの整備等もございますのと、一時生活支援事業についての実施に対する市町の意向もございますので、現状、このような形をうまく機能させながら対応してまいりたいと思います。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)実態をお聞きしていますと、多くが、相部屋が基本となっている救護施設とかそのほかの福祉施設にお願いをしているということがさきに行われているようであります。  やはりプライバシーが守られるようにという点は大事だというふうにおっしゃいますので、それは原則、個室ということで基本的な考え方にしていくべきだというふうに思いますが、再問をいたします。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) 社会福祉施設、救護施設もそうですが、原則、個室という形が、現状、全ての社会福祉施設に取られている状況はございませんので、もちろん個室、プライバシーの確保ということは、当然、念頭には置きながら、現状の機能を十分生かして活用してまいりたいと思っております。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)この事業の中で、個室、ワンルームを借り上げるとかいう対応は十分できる事業となっていますので、相部屋に誘導するということでなしに、個室ということで提供されるべきだというふうに思います。  次に行きます。  一時生活支援事業としてのシェルターは福祉事務所を設置している自治体単位に必要ではないのか伺います。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  令和2年度における一時生活支援事業の全国の実施率は34%となっております。本県は50%でございますが、未実施の自治体では、先ほど答弁いたしましたとおり、地域の実情に応じた対応がなされているものと考えております。居住不安定者が相談に来られた場合の一時居住先、シェルターの確保は必要と考えますが、一時生活支援事業を活用するかどうかにつきましてはそれぞれの自治体の状況等により判断されるものと認識しております。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)例えば相談者が学齢期の子供さんがおられる親御さんである場合ですとかは学校から遠く離れた場所に案内されるというのは避けるべきだと思いますし、例えばまた、住まいを失ったけれど、かろうじて派遣などの仕事があるケースでは、それもまた仕事の場所から遠くに案内されるというのも避けるべきだと思います。そうした生活困窮者の生活圏内での緊急入所施設を確保するためには、やはり各福祉事務所の圏域内にシェルター事業が必要ではないかと思いますが、見解を伺います。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  今御指摘がありましたように、近いところにあるということは一つの条件かと思います。ただ、この一時生活支援事業につきましても様々な支援、居住場所を確保する以外に、当然、生活の相談に乗っていく、そういった意味ではいろんな専門的な対応も必要でございます。現状では、救護施設等、専門的な対応ができる機関を中心に展開してまいりたいと思っておりますが、各市町のお考えもございますので、そういった御意見も聞きながら考えてまいりたいと思います。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)相談者の生活圏内で居住が重視されるべきだというケースには、そういった意向が必ず尊重されて確保できるようにされるべきと思いますが、その点について、再度、伺います。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  御指摘いただいた点は十分考えていかなきゃいけないと思いますが、基本的には各市町の相談員の方が救護施設等へ出向いていただいて、当然、その地域の社会資源を考慮しながら支援を行われますので、そういった点には十分配慮して取り組んでまいりたいと思います。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)困窮者の生活が本当に支えられるように、県としても音頭を取っていただきたいと思います。  次に行きます。  シェルターを設置している大津市でも施設が満室となっていて、大津からは遠い日野町の救護施設しか空いていなかったということもありました。シェルターの必要数をどのように考えているのか伺います。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  基本的には社会情勢や各自治体の状況に応じて必要数が判断されるものと考えております。広域を担う県内の救護施設の活用等によりまして、必要な支援は実施されているものと認識しております。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)現状で必要数は満たされているという御認識だと思うんですけれども、再問いたします。  今たちまち路上のホームレスの人がどれぐらいおられるのかというのはつかめると思うんですけれども、全国的にも減少している傾向です。一方で、ネットカフェ難民のような、住まいはないけれども不安定就労に就いておられる方というのが非常にデータとしても増加をしています。  それから、滋賀県で住宅確保給付金の新規支給件数が、コロナの前は1年間で、2019年ですね、57件だったんですけれども、コロナの始まった年度から要件緩和があって、昨年は900件ほど、今年は200件ほど新規支給となっておりますし、こうした数値もやはりしっかり注視をしながら、こういう制度が途切れたときに、では、こういう方々の居住の安定はあるのかということをしっかり把握する必要があるというふうに思います。その点、このコロナ禍の住居が不安定な方々の住まいの状況ということを把握して、シェルターを必要とされる方がすぐに一時入居できる体制というのが必要ではないのか、再度、伺います。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  先ほど御指摘がありましたように、ホームレスの方については本県にほとんどいないという状況ではございますが、一方で、派遣職員の方が急に仕事を失って住居も失うと、こういったケースは今までにもございました。こうした中で取り組まれてきた取組といたしましては、居住先がない方については生活保護に基づいて市が提供した宿泊施設や救護施設、これは県が費用を負担するということになっておりますが、こうした制度を活用して取組をしてきたところでございます。  一時生活支援事業の未実施の市もございますけれども、市のほうから御意見を聞きますと、現状のこの対応で事業の実施をお願いしていきたい、あるいはニーズが少ないといった意見もございますので、各市の御意見なども聞きながら考えてまいりたいと思います。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)次に、住まいを失った方への一時生活支援事業の支援の在り方について伺います。  彦根市のシェルターで、一時、身を寄せることができた男性は、生活を再建するための次のステップとして、自分でアパートを契約して居住を確保して再就職、就職活動をするために生活保護を利用したいと希望されました。ところが、市の相談員からは、寮のある仕事に就くことを勧められるばかりでした。この対応は問題だと思います。2008年のリーマンショックでも派遣労働者が仕事と住まいを同時に失いました。本来、アパートなどの居住は借地借家法に基づいた賃貸契約を結んで居住権が保護されます。極端に言えば、家賃を払わない方がいたとしても、大家さんが一方的に追い出すことはできません。しかし、会社の寮は福利厚生の一環にすぎません。居住権が認められた住まいではありません。社員の解雇後に寮から追い出しを受けても問題にはなりません。住み込みの仕事は安定した居住を確保することにつながらないという実態があります。男性が住み込みの仕事は嫌だと言っているにもかかわらず勧めるという対応は間違っているのではないでしょうか。本人の意向に沿わない対応は問題ではないか、伺います。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  生活困窮者自立支援制度は、相談支援員によるアセスメントや関係機関との支援調整会議を通じまして今後の必要な支援を検討し、その方に応じた自立のサポートを行うものでございます。相談員には、その全支援過程を通じまして、本人不在となっていないか、常に留意する必要が求められているものと認識しております。  就職ありきということではなく、本人の意向に寄り添いつつ、その方の置かれている状況等を踏まえまして、まずは生活保護につなぐ必要があるのか、就労支援を行うのがよいのかなど、判断されるものと考えております。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)彦根市の例を挙げましたけれども、こういう本人さんの意向に沿わない対応は問題ではないのか、その点について、再度、伺います。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  彦根市の個別の検討結果についてはその適否は判断できないところではございますが、生活保護の申請意思があれば、自立支援相談から生活保護の担当につなぐ必要があると考えております。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)次は、再度の確認になりますけれども、この一時生活支援事業でも働ける方は就職することを優先して、生活保護の利用につなげないというような対応をしているのでしょうか。生活保護が必要なときは必ず生活保護に確実につなぐ仕組みということではないのか伺います。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  生活困窮者自立支援制度は、生活保護に至っていない生活困窮者に対する第2のセーフティーネットとして平成27年度に設けられた制度でございます。こうした中で相談支援員によるアセスメントや関係機関との支援調整会議を通じまして、生活保護が必要な人には適切に生活保護制度につないでいるものと認識しております。  生活困窮者の多くが自己肯定感、自尊感情を失っていることにも留意しつつ、解決する主体はあくまでも本人でございまして、生活困窮者自立支援制度と生活保護制度に基づく支援者がしっかりと連携して、自立に向けた過程に寄り添い、伴走しながら側面的に支える必要があると考えております。  県といたしましても、昨年度から生活困窮者自立支援制度の支援員向けの研修を始めたところでございまして、改めて制度の理念や支援員の基本姿勢等を共有できるよう努めてまいりたいと存じます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)2013年ですけども、この生活困窮者自立支援法がつくられたときに我が党が国会で、生活保護を受けさせない水際作戦になりかねない、その合法化だと批判をしました。与党、自民党、公明党、そのほかの会派の方が、生活保護が必要な場合には確実に生活保護につなぐ、こういうことを附帯決議までつけて法制化されたものであります。制度も、今、御説明があったとおりです。にもかかわらず、県内にこのような水際作戦の事例が発生しております。改めて研修されるとおっしゃいますけれども、それで徹底できるのか、このことについて伺います。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  御答弁させていただきましたように、生活困窮者自立支援制度の理念、それから支援員の基本姿勢等を共有できるように、引き続き取り組んでまいりたいと思います。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)それでは、次に行きます。生活保護制度について伺います。  コロナ禍の支援策となっている総合支援資金と緊急小口資金の貸付けは、国が要件を緩和したこともあって利用が激増しています。ところが、生活保護の相談件数や決定件数は、コロナ前の2019年から今年までデータを頂きましたが、全県で毎月、申請件数300件前後、決定件数100件前後と、コロナ前、コロナ後と変化がほぼありません。横ばいです。特例の貸付制度に一定の効果があったことは事実と思います。しかし、中には収入基準が生活保護基準を下回り、返済が困難と考える方でも貸付けに誘導されるとか、自ら生活保護を避ける気持ちから貸付けでしのごうとする人が少なくないと思われます。私も今年、首をつって死ぬぐらいだったら恥を忍んで生活保護を申請しようと意を決し、相談に来られた方と大津市の窓口に行きました。その方が生活保護を利用する際、自動車の処分を求められることや、家族への扶養照会がされることが利用の大きな壁でした。生活保護制度が困窮者の支援制度として役に立てるように改善を求めて、以下、全て健康医療福祉部長に伺います。  まず、生活保護を利用しにくいものとしている自動車の処分を求められることについてです。  厚生労働省は、昨年、コロナ禍の1回目緊急事態宣言時の2020年4月7日から、自動車の処分について柔軟な運用を指示しています。どのように変わったのか、部長に伺います。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  令和2年4月7日の事務連絡におきましては、保護開始時において就労が途絶えてしまっているが、緊急事態措置期間経過後に収入が増加すると考えられる場合につきましても、通勤用自動車を保有しているときは保有を認めるよう取り扱うこととされたところでございます。  また、公共交通機関の利用が著しく困難な地域に居住している方について、求職活動に必要な場合に限り、自動車の使用を認めることとされておりましたが、例えば独り親の方などが求職活動に当たって保育所等に子供を送迎する場合も含めて差し支えないとされたところでございます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)この相談者の事例でも、半年前まで働いておられて、コロナの影響を受けての失業でした。再就職を強く希望しておられ、自動車は就職活動のためにも必要だから手放したくないと言われましたが、職員からは「あなたはもう高齢だから自動車を運転して事故でも起こしたらそれこそ大変なことになりますよ」などと言って自動車の保有を認めない話ばかりが行われました。このような対応は、今御紹介いただきました通知の中身とも違い、問題なのではないでしょうか、部長に伺います。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  生活保護制度における自動車の取扱いにつきましては、個々のケースに応じ、各福祉事務所において、国の通知に基づき所要の調査を行い、その必要性を所内において十分検討した上で自動車の保有の可否について判断しているところでございます。  各福祉事務所で判断されることでございますので、個々のケースについて詳細まで県本庁で把握していないため適否を判断できませんが、監査等の際に不適切な取扱いが認められた場合、相談窓口での対応等も含め、適切に行うよう指導を徹底しているところでございます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)おっしゃられましたように、申請をした後に審査の中で車の処分が求められる結果になるということはあったとしても、少なくとも相談の段階から自動車の保有は認められないというのは、生活保護を利用させないようにする、まさに水際作戦だというふうに思います。  厚労省の通知の水準すら現場で徹底されていないことは問題だと思いますが、見解を伺います。
    健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  今、御指摘がありましたが、我々としましては、機会を通じて通知の徹底を図っているところでございまして、今後も監査等において、改めて、適切に実施しているか確認してまいりたいと存じます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)生活保護の申請の門前払いを絶対に許さないという県の姿勢を明確にして、水際作戦を根絶すべきと思います。改めて、そうした効果が出せる徹底をする必要があるのではないでしょうか。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  今年度は初任者研修会で通知させていただきましたが、様々な研修機会等もございますので、こういったところで通知の徹底を図ってまいりますとともに、今申し上げましたとおり、監査で県は確認するということになってございますので、適切に実施されているか確認してまいりたいと存じます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)さらに、生活保護の利用の大きな壁になっているのが扶養照会です。  2月の県議会で健康医療福祉部長からは「家族に知られたくないと考え、保護の申請をためらう方が一定おられることは承知をいたしております。扶養照会につきましては、国において、現在、より弾力的に運用ができるよう検討していると聞いております。国の検討結果も踏まえ、相談者の話を丁寧に聞き取り、寄り添った対応をしてまいりたい。扶養照会についての国の検討結果を示されれば、生活困窮者の相談担当者など関係の皆様にもお知らせをするとともに、生活保護を必要とされる方の権利であること、扶養照会は機械的に行っているものではないことなど、保護の制度について改めて周知し、相談者がためらわず相談できる環境づくりを進めてまいりたい」との答弁がありました。その後、厚労省が3月30日の事務連絡で、扶養照会の運用を柔軟に行うよう指示をいたしました。その内容を伺います。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  扶養の可能性の調査における聞き取りの中で要保護者が扶養照会を拒んでいる場合等におきましては、その理由について特に丁寧に聞き取りを行い、対象となる扶養義務者が扶養義務履行が期待できない者に該当するか否かという観点から検討を行うべきであるとされたところでございます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)ところが、その1か月後、大津市の福祉事務所での相談者の事例では、「扶養できる親族がいるか」とか「扶養照会は保護より優先する。扶養照会は原則」、この一点張りだったんですね。この職員の対応に、結局、申請することを断念されて、「こんなにまで言われると思わなかった」と涙しながら「もう申請はしたくない」と訴えられました。いつまでこのような対応を続けるのでしょうか。厚労省の通知の対応を現場に徹底することが必要です。  生活困窮者をたくさん支援されてきた一般社団法人つくろい東京ファンドでは、生活保護を利用できるにもかかわらず、福祉事務所の不当な対応で追い返されることがないよう、扶養照会に関する申出書。ここにパネルを用意しました。(資料掲示)これを活用されております。  この中身は厚労省の通知の内容そのものが書かれております。申請者の意向が尊重されるように自己申告をするものです。この扶養照会に関する申出書を申請の際に福祉窓口に置いて自己申告できるように活用を求めますが、部長に伺います。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  生活保護制度における扶養能力調査の手順といたしましては、まず、扶養義務者の存否の確認を行い、存在が確認された扶養義務者について、要保護者等からの聞き取り等により扶養の可能性の調査を行うこととなっております。  また、可能性調査における聞き取りの中で要保護者が扶養照会を拒んでいる場合等においては、その理由について特に丁寧に聞き取りを行うこととなっております。これまでから各福祉事務所では、相談者の話を丁寧に聞き取り、寄り添った対応をしていると考えておりますが、自分の意思をうまく伝えられない方等が福祉事務所に対し自分の意思を伝える上でこうした様式を活用することも一つの有効な手段と考えられますため、今後、各福祉事務所へ情報の提供をしてまいりたいと思います。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)ぜひ、活用をお願いしたいと思います。  扶養照会を行っても、結果として経済的支援が得られる件数はごく僅かです。2017年の国の調査では1.45%にすぎません。県でも同様の傾向ではないでしょうか。  厚生労働省の通知が出る前も含めた2019年以降、これまで何件の扶養照会が行われ、経済的支援が得られたのは何件なのか伺います。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  2019年1月から本年9月までの間におきまして、県内15の福祉事務所において行われた扶養照会は延べ9,726件で、そのうち経済的支援が可能と回答があったのは68件でございました。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)0.7%です。扶養照会は支援団体の皆さんからも百害あって一利もないものだと指摘をされております。私も同感です。なくすべきだと考えております。  仮に経済的支援ができると回答した親族から毎月の仕送りが途絶えたとしたら、利用者にとって、保護費は引かれたままとなります。仕送りが途絶えても親族に強制はできません。とても不安定な支援です。親族に困窮状態を知られることになる、そして、中には親族との関係が悪化するというケースもあります。2020年末、つくろい東京ファンドが行ったアンケートで20代から50代の42.9%が、家族に知られるのが嫌だから生活保護を利用していないと回答されました。このような扶養照会の効果はあまりないと考えますが、伺います。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  生活保護法では、扶養義務者による扶養は保護に優先して行われるものと定められておりますため、基本的に扶養照会については必要なものと考えております。  また、この扶養照会は全ての扶養義務者について行うものではなく、聞き取り等により扶養の可能性を調査し、扶養義務履行が期待できると判断された扶養義務者について行っているものでございます。  扶養照会では、経済的支援のほか、被保護者に対する定期的な訪問、電話、手紙のやり取り、一時的な子供の預かり等の精神的な支援の可能性についても確認しておりまして、被保護者の安定した生活に資する支援が得られることもあることから、一定の効果があるものと考えております。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)精神的な支援につなげる目的もあるというふうに言われる方もあるんですけれども、本人の意向を無視して扶養照会をするということで、まず、申請者と親族、それから、そこに入られるケースワーカーさんとの関係も悪化するということもあります。元も子もないと思います。  精神的な支援が得られるということ自体はいいと思うんですけども、それは利用されてから、申請者とケースワーカーさんとの信頼関係が、一定、固いものになってから、本人の意向を確認して行ったほうがよりよい結果になるとも思います。  一番の目的である経済的な支援、扶養につながる効果は、先ほど、2019年以降ですけれども、0.7%です。ほとんどないという評価ではないのか、見解を伺います。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  この扶養照会でございますが、先ほども御答弁させていただきましたとおり、聞き取り等により扶養の可能性を調査いたしまして、扶養義務履行を期待できると判断された方に行っているものでございます。今、答弁させていただきましたように、もちろん経済的支援は重要なポイントかと思いますが、御家庭の精神的な支えという意味では非常に効果があるものと考えておりまして、その辺の状況も考えまして、取組は進めていく必要があると考えております。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)精神的な支援につなげるということでも、利用されてからすべきだというふうに思います。  経済的支援のほうは数字で出ております。0.7%です。そういう期待できるような効果はないということだと思います。  次に行きます。  大津市でNPOの支援を受け、給付が決定した男性が、こんなにスムーズにいくと思わなかったと話しておられました。生活保護は、利用されるべきだと思われる方でも、相当、利用できないものと、こういう意識があります。自動車の処分や親族への扶養照会や生活保護を利用するのは恥だという周囲の目を恐れる人は少なくありません。その結果、日本の捕捉率は約2割です。あまりにも低すぎる捕捉率を解決することが求められております。  国連の社会権規約委員会はスティグマ──恥や屈辱のために生活保護の申請が抑制されている日本の現状に懸念を表明して、生活保護の申請を簡素化すること、申請者が尊厳をもって扱われることを確保すること、生活保護に付きまとう恥や屈辱を解消する手だてを取ることを日本政府に勧告しました。今、大変必要な改革だと思います。生活保護は国民の権利であることを広く知らせるために、(資料掲示)これは野洲市ですけれども、ポスターを作られております。  「生活保護の申請は国民の権利です」と、このような周知のポスターを作っておられますが、県でも作成をして全県的に周知を進めることを求めますが、部長に伺います。 ◎健康医療福祉部長(市川忠稔) お答えいたします。  生活保護制度は、生活に困窮する全ての国民に対し、国がその責任において最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長する制度でございます。この生活保護制度を利用しやすく、ためらわずに相談できるようにするため、県のしおりやホームページに「気軽にお問い合わせください」「ためらわずに御相談ください」と記載し、周知を図っているところでございます。また、コロナ禍が長期化する中で、新たに生活困窮者向けチラシを作成する予定でございまして、このチラシにも生活保護制度について掲載を予定しているところでございます。  県としては引き続き、生活保護は必要とされる方の権利であることを周知していくとともに、相談者がためらわず相談できる環境づくりを進めてまいりたいと存じます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)チラシの作成をしていただけるということで、その効果を期待しますが、より多くの方々が相当、国連から指摘をされている、日本の生活保護は行政が施しのようにしていると、こういうようなことが指摘をされるわけで、滋賀県として、生活保護というのは施しなどではなくて、誰もが当たり前に利用することができる権利なんだということを、より一層、メッセージを発信していく必要があるというふうに思います。  次に行きます。原油価格高騰から県民の暮らしを守ることについて伺います。  原油価格の高騰の高止まりで灯油やガソリン代が高くなり、コロナ禍で苦しんでいる県民や事業者からますます厳しいという声が寄せられております。  11月30日、滋賀県生活と健康を守る会が滋賀県知事に、県民や事業者への支援を求めて要請をされました。そうした要請を受け止めていただき、支援を求めて、以下、質問をいたします。  まず、原油価格高騰の影響で県内のガソリン代、灯油代がどれだけ高騰しているのか、総合企画部長に伺います。 ◎総合企画部長(川崎辰己) (登壇)お答えいたします。  資源エネルギー庁が令和3年12月1日に公表いたしました石油製品小売市況調査によりますと、県内のレギュラーガソリンの店頭現金小売価格は11月29日現在で1リットル当たり168.1円となっておりまして、ここ2年間で最も安値でありました令和2年11月16日の126.3円から41.8円値上がりをいたしております。  また、灯油の店頭現金小売価格は、11月29日現在、18リットル当たりで1,944円となっておりまして、同じく最も安値でありました令和2年11月30日の1,435円から509円の値上げとなっております。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)こうしたガソリン代や灯油の価格の高騰に対する支援を求めて、生活困窮者への影響を、1人紹介いたします。  大津市内の県営住宅で生活保護を利用しながら住んでおられる80代、独り暮らしの女性Nさんは、今年の灯油価格の高止まりに、寒さに耐えながら暮らしておられます。Nさんは、この時期は知人にもらったペット用のホットカーペットに毛布を敷き、ズボンを2枚はいて、厚着の上着の上から外出用のコートをさらに着て過ごしています。窓から日差しが入る日はカーペットを切って節約をします。冷え性で足がじんじん冷え始めたら灯油のファンヒーターを使いますが、この時期でもまだ使うことを我慢します。ファンヒーターを使うのは寒さが我慢できない寝起きのときか、夜の風呂上がりに湯冷めをしないように過ごす時間だけで、毛布にくるまって寝てしまいます。とても寒い時期にファンヒーターをフルに使いますが、部屋が暖まったら1時間くらい消す、冷えたらまたつけて、暖まったらまた消す、これを繰り返して、1日五、六時間使うことにとどめます。そうやって1か月過ごすのに灯油18リットル缶が5本弱必要です。去年は18リットルが1,500円前後だったのに、今年は1,900円以上になりました。500円近くの値上がりで一月2,500円ほど負担が増えます。生活保護の冬季加算は去年と同じで、灯油の値上がりは加味されておりません。Nさんは、ふだんから外出するのはお金がかからない散歩だけにしています。近江八幡市に住む孫がおばあちゃんに会いたいと言っても、電車とバスで往復1,300円かかることを思うと、平和堂で値引きのお弁当が3つ買えると考えたら、「おばあちゃんは行けないの」と返事をします。冬休み、孫が会いに行きたいと言っても、孫の母親は「おばちゃんが孫のためにお金を使わせてしまうからおばあちゃんの家には行かないの」と言い聞かせます。Nさんも、孫が家に来たら寒がるのでファンヒーターをずっとつけていないといけないし、「冬は寒いから来ないで」と言って断っています。お正月はずっと家に籠もります。「もっと会いたいけど我慢。寂しいですね」と言います。私は、Nさんの暮らしを聞かせていただきながら、日本の福祉施策は何と貧しいものかと怒りが込み上げてきました。その上の原油の高騰は生活者には全く責任はありません。県民生活への影響について、とりわけ生活困窮者へどのような影響が出ているのか、知事に伺います。 ◎知事(三日月大造) (登壇)県民生活への影響についてでございますが、灯油を使用される御家庭での暖房費や自家用車のガソリン代のほか、輸送費や原材料で原油価格の影響を受ける食料品や日用品、電気やガス、商品やサービスなどで値上げがあった場合には県民の生活費に影響があり、生活困窮者への影響も大きくなるものと考えているところでございます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)福祉事業所などでも影響が出ております。利用者さんの送迎や日中活動に自動車は欠かせません。草津市の定員20人の規模の生活介護事業所では、六、七台の自動車で、毎日、送迎や日中活動に使われていますが、ガソリン代の高騰で、8月の燃料代は10万円かからない程度でしたが、徐々に値上がり、10月には17万円にまで膨張し、経費を圧迫します。そのほかにも様々な事業者に影響があると思います。県内、どのような事業者へどんな影響が出ているのか、知事に伺います。 ◎知事(三日月大造) 事業者への影響についてでございますが、これは様々ございます。例えば介護事業所においてはデイサービスの送迎車用の燃料費や施設の暖房に係るガス料金で経費が増加していると伺っております。農業、水産業では、施設園芸農家のビニールハウスや魚類の養殖施設における温度管理、漁船の航行で燃油使用があり、経営への影響が考えられる状況です。  また、県の今年度第3四半期の景況調査におきますと、製造業では仕入れ価格、運輸業などのサービス業では燃料費の上昇などが経営に影響を与えているとの声をいただいているところでございます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)コロナ禍で経済的活動が本格的にできない中でのさらなる負担増で、大変厳しいものだと思います。  総務省は11月12日、自治体支援策を発表しました。原油価格の影響を受けている生活者や事業者を支援するために自治体が行う原油価格高騰対策に対し、特別交付税の措置を講じるとされましたが、どのような施策に対して措置が講じられるのか、総務部長に伺います。 ◎総務部長(森中高史) (登壇)お答えします。  今般の原油価格の高騰対策として、総務省からは、生活困窮者や事業者への灯油の購入費や燃料費高騰分への助成などを特別交付税の算定の対象とすることが示されているところでございます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)これからもっと寒くなる今の時期に灯油の助成を行うことは、生活に困窮しておられる方々をはじめ、とても大きな支援になります。また、燃油を使うことが欠かせない、先ほど知事からも御紹介がありました事業者のなりわいを支える支援にもなります。  県として施策を講じることを求めますが、知事の見解、所見を伺います。 ◎知事(三日月大造) 先ほども答弁させていただきましたとおり、原油価格高騰により県民生活、経済活動等に様々な影響が生じているところでございます。  こういった状況を踏まえまして、国の経済対策の動向等も勘案しながら、県としての対応を検討しているところでございます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)国の経済対策が今いろいろと考えられているわけですけれども、主には、今、コロナ禍の影響に対する生活困窮者や事業者の支援の在り方ということで検討がされているというふうに思います。  一方で、原油価格高騰の影響ということについては、今そんな、国のほうで大きな議論はありません。先ほど紹介がありましたような、地方自治体が行う施策に対する特別交付税措置という措置が示されたということでありますので、原油価格の高騰の影響については、これはこれとして、コロナ禍の影響とは違う表れ方があると思いますので、それをしっかりと把握されて、この冬を乗り切るための支援策を示されていただきたいというふうに思いますが、再度、伺います。 ○副議長(岩佐弘明) 答弁者は。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)知事にお願いします。 ◎知事(三日月大造) まず、国では新たな経済対策を、住民税非課税世帯10万円の臨時給付金、こういったものを検討されておられますし、生活福祉資金特例貸付けの延長ですとか生活困窮者自立支援金の再支給などが盛り込まれております。また、先ほど総務部長が答弁いたしましたように、特別交付税措置、こちらは灯油購入の助成に限られております。電気やガス代の値上げに対応していないという、そういう意味では支援先が限定的になるという、こういったことがございます。  市町の取組状況や意見なども十分踏まえて対応していく必要があると思いますので、そういったことも含めて検討を行っていきたいと存じます。 ◆11番(黄野瀬明子議員) (登壇)この冬への備え、冬だからこそ必要になる事業者の暖房費ですとか生活困窮者の生活を支える支援になるように、ぜひ、ここも早く検討していただきたいというふうに思います。ぜひ、よろしくお願いいたします。終わります。(拍手) ○副議長(岩佐弘明) 以上で、11番黄野瀬明子議員の質問を終了いたします。  次に、1番井狩辰也議員の発言を許します。 ◆1番(井狩辰也議員) (登壇、拍手)それでは、2025滋賀国スポに向けた競技力向上について一問一答で質問させてもらいます。  今年、三重県で開催する予定であった国民体育大会は、想定を上回る新型コロナウイルス感染の急拡大を受け、中止されることになりました。昨年の鹿児島県で開催予定であった国民体育大会も延期されました。新型コロナウイルスの影響を受けて、2年連続で国体が開催されていない異例の事態になっています。こうしたスポーツの大会に向けて練習に励まれてこられた選手の皆さんにとっては、中止や延期という形で活躍の場、機会が失われたことは大変悔しく、残念な気持ちでいっぱいであったと思います。  2年連続で国体が開催されていない異例の事態の中、これまでから本県開催の国民スポーツ大会に向けて、競技力向上基本計画、この基本計画に基づいた競技力向上推進計画を策定し、競技力向上に取り組んでこられた県当局として、コロナ禍による競技力向上の取組への影響についてどのように受け止めているのか、指定のあるまで全て文化スポーツ部長に伺います。 ○副議長(岩佐弘明) 1番井狩辰也議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎文化スポーツ部長(中嶋実) (登壇)お答えいたします。  新型コロナウイルス感染症の影響により2年連続で本国体が開催されなかったことは、選手の皆さんの活躍の機会が失われたことのみならず、これまで競技団体とともに取り組んできました競技力向上の成果をはかる機会が失われたという点で影響があったと考えております。  しかしながら、既に令和4年に開催される栃木国体に向けた強化事業も始まるなど、影響が尾を引いているという状況にはないと認識をしております。引き続き、選手等のモチベーションを維持しながら、さらなる競技力向上が図られるよう支援を行ってまいります。 ◆1番(井狩辰也議員) (登壇)今、影響がないという答弁であったと思います。  それでは、これまでの先催県は総合優勝を、見事、獲得されています。本県も開催年、2025年の総合優勝を目標に、競技力向上に向け、取り組んでいますが、直近の茨城国体における本県の総合成績は30位と、総合優勝との間にはまだまだ大きな開きがあるように見受けられます。  その後の取組の結果、一定の成果が表れているものと期待しているところですが、2年連続で国体が開催されていない状況で、全国の選手との競技力の差、どこが優れているのか、また、どこが劣っているのか、つまりは、これまで取り組んできた滋賀県の競技力の向上、強化の到達点、現在地をはかる機会が失われたことが大変残念でございます。開催年が近づき、来年度の栃木大会では10位台を目指すことになっておりますけれど、今後、上位に入賞できる実力を持つ選手の確保、育成がますます重要になると考えますが、現時点における先催県との差をどのように認識しているのか伺います。 ◎文化スポーツ部長(中嶋実) お答えいたします。  今年度の開催県でありました三重県においては、国体正式競技に係る選手の数は少年で413人、成年で437人、総数850人を予定されておられたと聞いております。これに対しまして滋賀県では、国体予選である近畿ブロック大会の結果を踏まえ、少年で約210人、成年で約200人、総数約410人の選手の参加を想定していたところでございます。三重県と比較いたしますと、現状に加え、少年で約200人、成年で約240人、総数約440人のさらなる選手の確保、強化が必要と認識をしております。  本県では、国スポ開催年においては近畿ブロック予選の免除ということで全競技での出場が可能になりますが、総合優勝に向けては、近畿ブロック大会を突破し、本国体で上位入賞できる競技力の定着を図っていく必要があると考えております。 ◆1番(井狩辰也議員) (登壇)単純に人数だけを比較すると440人、少年と成年合わせて、これからまだまだ強化、確保していかなければいけないという状況であると思います。  選手構成を見る限り、先催県との差はまだまだ大きいように見受けられます。特に滋賀国スポが1年延期になったことで、少年種別の選手の確保、強化に大きな影響が出てくると考えられます。  そこで、少年種別の選手の確保、強化に向け、どのように対応しているのか伺います。 ◎文化スポーツ部長(中嶋実) お答えいたします。  これまでから開催年に少年種別の主力となる世代をターゲットエイジとして育成、強化を図ってきたところでございます。  開催延期の影響を受けましたターゲットエイジの最上級生に対しては、引き続きアスリートとして成長いただけるよう、継続して支援を行っているところでございます。  今後、現在の中学生でありますターゲットエイジが高校進学期を迎えることから、県内の高校への進学を促進し、強化拠点校を中心に全国レベルで競える体制を整えていく必要があると考えております。  そこで、今年度から、県内高校に進学する競技力の高い選手の強化活動を個別に応援する高校生トップアスリート支援事業を導入したところでございまして、こうした事業を効果的に活用し、選手の確保、強化に努めてまいります。 ◆1番(井狩辰也議員) (登壇)1つ再質問をさせていただきたいと思います。  強化拠点校を定めてということなんですけれど、トップアスリート事業、様々、強化を図っておられるということなんですけれど、それぞれの拠点校で競技とかいろいろあろうかと思いますけれど、それぞれ具体的な強化策はどのようになっているのか、再質問させてもらいます。 ◎文化スポーツ部長(中嶋実) お答えいたします。  強化拠点校は、現在、31校で82部となっております。自校の生徒に対する強化活動はもとより、県内の有望選手を招集して行う強化活動に取り組んでいただいております。また、指導体制の強化が必要な学校につきましては、優秀な指導者を県競技力向上対策本部から派遣をしているところでございます。  今後は、各強化拠点校、競技団体と、これまで以上に連携を深めまして、本県での国スポに出場する選手を重点的に強化していく体制を整備していく必要があるというふうに考えております。  今後とも各競技団体の御意見をお聞きしながら、各強化拠点校に対する支援内容の精査、重点化等の検討を進めまして、効果的な支援を行えるよう努めてまいりたいと考えております。 ◆1番(井狩辰也議員) (登壇)強化拠点校での取組が少年の部で大きな成果を上げてくると思いますので、ぜひ、これからまたしっかりと取り組んでいただければと思います。  次に、先催県の事例を見ておりますと、全競技得点の約65%以上が成年種別による得点となっております。県が目標とする総合優勝である天皇杯の獲得のためには成年種別の強化が必要不可欠と言えます。
     成年選手は企業や大学等に所属する選手で構成されているものと理解していますが、本県における選手の所属や構成についてはどのように考えているのか伺います。 ◎文化スポーツ部長(中嶋実) お答えいたします。  成年種別においては、県内企業所属選手、県内の大学所属選手、教員、公務員の選手、スポーツ協会等での雇用選手に加えまして、本県出身の選手で県外で居住、勤務するふるさと選手による選手団構成を考えております。  なお、成年種別は少年種別に比べて種目数も多く、選手の強化が総合得点に大きく影響することから、現在、既に県代表として活躍されている選手のさらなる強化に加えまして、競技力の高い選手を確保していくことが極めて重要であるというふうに考えております。 ◆1番(井狩辰也議員) (登壇)それでは、1つずつ確認をさせていただきたいんですけれど、企業所属の選手の確保に向けてどのように対処しようとしているのか伺います。 ◎文化スポーツ部長(中嶋実) お答えいたします。  県競技力向上対策本部では、例えばバレーボールの東レアローズや滋賀銀行女子バスケットボール部、ホッケー成年男子のブルースティックス滋賀など県内の有力チームを企業・大学・クラブ支援事業を通じ、各チームの強化事業に支援を行っているところでございます。  また、トップアスリートの県内企業への就職マッチング事業でございますSHIGAアスリートナビの取組によりまして、令和2年4月には4名、令和3年4月に8名のアスリートを県内企業で雇用いただいたところでございます。この中には、さきの東京オリンピック、ライフル射撃競技に出場されました滋賀ダイハツ販売株式会社所属の中口遥選手もおられるところでございます。  こうしたトップアスリートの雇用は企業のPR、活性化にもつながると考えられますので、県内企業の御協力を得て、さらに多くの選手の活躍の場を創出していただけるよう、経済界全体に対する働きかけや協力企業の開拓を強化してまいります。 ◆1番(井狩辰也議員) (登壇)人数的に4名と8名という、企業の雇用をしながらそういった活動をしていただくということになるんですけれど。  次に、大学所属の選手の確保に向けてどのように対処しようとしているのか伺います。 ◎文化スポーツ部長(中嶋実) お答えいたします。  本県にはスポーツの専門学部を有する立命館大学、びわこ成蹊スポーツ大学など、大学選手権等で優秀な成績を収めている選手、チームを擁する大学が立地をしております。これらの選手、チームに対しましても、これまでから選手指定強化対策事業や企業・大学・クラブ支援事業などで強化事業の支援を行っているところでございまして、今後も各大学との情報交換を密にしながら連携を深め、さらなる支援の充実を図っていきたいと考えております。 ◆1番(井狩辰也議員) (登壇)次に、教員、公務員での選手確保に向け、どのように対応しているのか伺います。 ◎文化スポーツ部長(中嶋実) お答えいたします。  教員、公務員での選手採用を望む声は競技団体や選手を送り出す側の大学からもお聞きをしているところでございます。  教員につきましては、将来、部活動の指導者としての活躍が期待できるなど、選手としての経験をフルに生かすことができますことから、本県の教員採用選考試験においても一定の競技実績を持つ者を対象としたスポーツ特別選考を教育委員会において実施されているところでございます。  今後も教員や公務員として力を発揮していただけるアスリートが本県で活躍できますよう、関係部局と連携を図ってまいりたいというふうに考えております。 ◆1番(井狩辰也議員) (登壇)採用計画を見てますと、教員採用、スポーツの特別枠での採用は二、三名ということになっておりますので、その人数で採用計画がされているんだと思います。  次に行きます。  県外に居住、勤務するふるさと選手の確保に向け、どのように対処しようとしているのか伺います。 ◎文化スポーツ部長(中嶋実) お答えいたします。  さきのオリンピックで活躍されました競泳の大橋悠依選手は、これまで愛媛国体、茨城国体にふるさと選手として出場し、それぞれ2種目で優勝するなど、本県に御貢献をいただいております。  大橋選手のように、県内の学校を卒業した後、県外の実業団や大学で活躍している選手は多数おられます。ふるさと選手としての出場に際しては所属チームの理解と協力が不可欠でございます。今後、競技団体と連携し、所属チームに対する協力要請等を積極的に行い、本県での開催年には1人でも多くの選手に滋賀県選手団の一員として御活躍をいただけるよう働きかけてまいります。 ◆1番(井狩辰也議員) (登壇)次に、スポーツ協会に所属する選手の確保に向け、どのように対応しているのか伺います。 ◎文化スポーツ部長(中嶋実) お答えいたします。  今年度より、滋賀県スポーツ協会において2人のトップアスリートをスポーツ特別指導員として雇用いただいたところでございます。  このスポーツ特別指導員は、自らの練習だけでなく、県内選手の指導や強化拠点校の部活動指導に従事をいただくもので、本県選手団の技術的、精神的な中心柱としての役割も期待されております。少年種別も含めた滋賀県選手団全体の強化に大いに貢献いただけるというふうに考えております。このため、今後とも当該指導員の配置が進むように、トップアスリートの獲得に努めてまいりたいと考えております。 ◆1番(井狩辰也議員) (登壇)今、お伺いしたように、様々な主体の協力を得て採用に努めているとのことですけれど、民間企業や大学等の協力を得るためにも、成年選手の確保に向けては、開催年に向けた採用計画を定めるなど計画的に取り組む必要があると考えますが、どのような方針を持っておられるのか伺います。 ◎文化スポーツ部長(中嶋実) お答えいたします。  先ほど申し上げました三重県の成年選手の構成は、企業所属が224名、三重県内の大学生が11名、教員、公務員が48人、スポーツ協会等の所属が66人、それから、ふるさと選手が88人というふうになっております。これはあくまでも一例ではございますが、今後の選手確保に向けては、この三重県も含めまして、他の先催県の事例も参考にしながら、また、本県の実情を踏まえた目安の人数を設定して、県内企業や大学等に働きかけを行ってまいりたいと考えております。 ◆1番(井狩辰也議員) (登壇)三重県の例を出して説明をいただいたんですけれど、先ほどいろいろ説明いただいたんですけれど、県内企業の採用、県内大学に所属、教員、公務員、スポーツ協会での採用によって選手の確保を目指しているとのことですけれど、令和3年度──今年度の実績として何名の選手が確保できる見込みなのか伺います。 ◎文化スポーツ部長(中嶋実) お答えいたします。  就職マッチング事業でございますSHIGAアスリートナビを通じて、11月末段階で4名の選手の内定をいただいておりまして、これ以外にも、現在、マッチングを行っている選手が6名いる状況でございます。  また、教員における選手採用につきましては、スポーツ特別選考を通じて、現在、選考が進められているというふうに伺っております。  このほか、企業チームにおける独自の選手補強等も含めまして、年度末に向けて1人でも多くの選手確保が進むように努めてまいりたいと考えております。 ◆1番(井狩辰也議員) (登壇)1人でも多くということなんですけれど、何名の見込みなのかということをもう一度質問します。 ◎文化スポーツ部長(中嶋実) お答えいたします。  県の競技力向上対策本部で競技力の向上を図っているところでございますが、そちらから一方的に採用枠を示して雇用主体や所属ごとの目標の数というふうにお示しするのはなかなか難しいと考えております。  しかしながら、効果的に選手の強化や雇用を行うためには、開催年に想定される選手構成を念頭に置いて取り組むことが重要だというふうに考えておりまして、現在、各競技団体におきまして、本県で開催年の選手の構成を検討いただいております。それは年度末をめどに進めていただいておりますので、そうしたことを踏まえまして、県全体での年度ごとの確保について、できるだけ早く競技力向上対策本部で検討していきたいというふうに考えております。 ◆1番(井狩辰也議員) (登壇)残り3年で200名を確保していかなければいけない、また強化をしていかなければいけない中で、今聞いておりますと、今年度の採用自体は本当に僅かな採用なのかなというふうに、はっきりと数字のほうを聞けなかったんですけれど、行っても10名から20名かなというふうには見ているんですけれど、向こう3年で200名近い選手を確保していかなければいけない。単純に計算すると70名近い選手を確保していかなければいけない状況に、大変、私としては危機感を感じております。  その中で、取り組んでいきますという答弁だったと思うんですけれど、やはり採用目標であったりとか採用計画というのを文化スポーツ部として、県として示して採用を取り組んでいくことでそういった機運も盛り上がってくると思うんですけれど、採用計画、採用目標を改めて定める必要があると思いますけれど、文化スポーツ部長に伺います。 ◎文化スポーツ部長(中嶋実) お答えいたします。  選手の強化、確保、非常に大事でございます。これまでの国体を開催されてきました各府県の競技力向上の担当の方のお話なども聞いたりしておりまして、そういったことと先ほどのような先催県における選手の構成、これを見ながら、できるだけ早く競技力向上対策本部におきまして検討していきたいと考えております。 ◆1番(井狩辰也議員) (登壇)検討はしていただきたいんですけれど、しっかりと危機感を持って取り組んでいただきたいと思います。  次、競技力向上には県民の皆さんの理解や応援が不可欠であります。滋賀国スポが1年延期になり、今年の三重国体も中止になり、県民の皆さんの国スポに対する意識が遠ざかっているように感じます。しかし、今から積極的な広報を通じて県民の機運を醸成していくことで選手の皆さんのやる気、気持ちが高まり、日々の練習にも力が入っていくと考えます。県民の皆さんが選手の皆さんを応援しようという機運をさらに高めていく必要があると考えますが、その取組の具体を含めて見解を伺います。 ◎文化スポーツ部長(中嶋実) お答えいたします。  東京オリンピック・パラリンピックにおいて日本代表選手の本番での活躍はもちろんのこと、開催までの過程における努力やひたむきな姿を目の当たりにすることで、多くの方々が勇気と感動を得たことは記憶に新しいところでございます。国スポ・障スポにおきましても同様に、開催に向けた選手の努力や競技において活躍される姿は県民の皆さんに感動や喜びを与えてくれるものと考えております。  こうしたアスリートの姿を本県での国スポ開催年の準備の段階から県民の皆様に身近に感じていただくことは、選手のモチベーションを高め、ひいては「わたSHIGA輝く国スポ・障スポ」開催の機運醸成にもつながるものと考えておりまして、様々な機会を用いまして情報の発信に努めてまいります。 ◆1番(井狩辰也議員) (登壇)お気持ちは分かるんですけれども、具体的な取組というのが、全然、答弁としてなかったと思うんですけれど、改めて具体的な取組について、もう一度お伺いいたします。 ◎文化スポーツ部長(中嶋実) お答えいたします。  全体的な機運の醸成につきましては、イメージソングが出来まして、そういったもの、あるいはキャラクターを使ってのPRとなりますが、選手の皆さんのモチベーション、それから、それを応援するという機運の醸成に向けましては、できるだけ滋賀県の選手団として活躍していただける方がいろんな場で県民の方と触れ合っていただけるような、そういった企画を検討していきたいと考えております。 ◆1番(井狩辰也議員) (登壇)選手の方にもいろいろなところで登場していただくということだと思いますので、今後に期待をしたいと思います。  最後に、国スポは国民スポーツの普及、競技者、指導者の育成、スポーツ施設の整備、スポーツ組織の充実など、スポーツ振興体制の確立とスポーツ文化の形成に総合的に寄与する、国民の各層を対象とする体育スポーツの祭典として開催されています。  滋賀国スポに向けた競技力の向上を通して、本県の青少年の健全な育成やスポーツの裾野の広がりにつながり、その結果として、県民に夢と感動を与えてくれると思います。  2025年の滋賀県の国民スポーツ大会における目標である総合優勝、天皇杯獲得の達成に向けた知事の決意を伺います。 ◎知事(三日月大造) (登壇)天皇杯獲得を目指す競技力向上の取組は、選手や競技団体の方々の士気を高め、選手を支える県民の皆様のスポーツへの意識高揚やスポーツにチャレンジしようとする機運の醸成にもつながり、ひいては健康しがの実現に資するものだと考えております。  さらに、この国スポ大会、障スポ大会もそうですけれども、これを契機に、確保、強化した競技力の高い選手や指導者がその後も滋賀のスポーツを支える人材として、将来、スポーツの分野で全国や世界に羽ばたく子供たちを育てていただけるものと考えております。また、こうした人材は県民の皆さんの新たなスポーツへの挑戦をサポートしたり、県内各地におけるシンボルスポーツの創出に関わっていただけるものと期待をしております。滋賀の地にこうした人材を残していくことも競技力向上の目的であると考えております。  そのためにも、選手や指導者の方々が高いモチベーションを持ち続け、県民の皆さんの支援や声援を受け、大いに活躍いただくことが重要であると考えており、今後も天皇杯獲得という高い目標を掲げ、その達成に向け、取り組んでまいりたいと存じます。  また、今も伺っていて、成年種別の採用などをどのように進めていくのかということについては、少しスピード感を持って計画全体像を示していく必要があると感じましたので、競技力向上本部長は江島副知事ですけど、しっかりと内容を一緒に確認していきたいというふうに思います。今後ともよろしく御指導をお願いいたします。 ◆1番(井狩辰也議員) (登壇)今、知事の発言でもありましたけれど、国スポのその後もスポーツ振興につながっていくことだと思います。今、スピード感を持ってということもおっしゃったんですけれど、ある程度、やはり予算も伴うことだと思いますので、その辺りもしっかりとつけていただければと思いますので。天皇杯に向けて一緒に取り組んでいきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。(拍手) ○副議長(岩佐弘明) 以上で、1番井狩辰也議員の質問を終了いたします。  しばらく休憩いたします。   午後2時44分 休憩    ────────────────   午後3時5分 開議 ○副議長(岩佐弘明) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  次に、7番清水ひとみ議員の発言を許します。 ◆7番(清水ひとみ議員) (登壇、拍手)それでは、あらかじめ通告してあります2項目について質問させていただきます。  1項目めは、滋賀県での多様な学びの場としての夜間中学の開設に向けて、お伺いします。代表質問で大橋議員からもありましたが、前向きな答弁をよろしくお願いします。  私は、令和元年6月定例会一般質問において、滋賀県における夜間中学の早期設置を訴えました。その後、はや2年が経過しました。  本年1月25日に衆議院予算委員会において菅前総理より、「今後5年間で全ての都道府県、指定都市に夜間中学校が少なくとも1つ設置されることを目指していきたい」と答弁がされました。このことにより、なかなか進まなかった全国での設置に向けて機運が高まったのは喜ばしいことです。  本県においては令和2年度に滋賀県夜間中学の設置に関する検討会議を設置され、それでしっかり設置に向けて進むと思っていたのですが、今年度は滋賀県夜間中学および多様な学びに関する検討会議を設置されました。2年間にわたって検討されており、来年度こそは設置に向けて具体的に進むものと考え、以下、お聞きします。  11月3日、滋賀県のLINEで夜間中学および多様な学びに関するアンケートが流れてきました。「学んでみたいと思っておられる方はLINEであなたの気持ちを聞かせてください」とのコメントがついていました。LINEアンケートの結果についてどのように分析されたのか、教育長にお伺いします。 ○副議長(岩佐弘明) 7番清水ひとみ議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎教育長(福永忠克) (登壇)お答えをいたします。  LINEを活用したアンケートにつきましては、11月に滋賀県の公式アカウントに登録されておられる約3万5,000人の方を対象に実施をいたしまして、45件の御回答が寄せられました。  回答の中には、学びたい理由として「中学校を卒業したが、もう一度学び直したいから」や「職業資格を得るために必要だから」などがあったところでございます。また、具体的な学び方につきましては「自宅などでオンラインで学びたい」というお声や「登校して学びたい」というお声があることも分かったところでございます。  このアンケート結果から、滋賀県におきましても、今からでも学びたいと考えておられる方が一定数おられること、また、これはコロナの影響もあるかもしれませんが、オンラインの活用を望まれる方がおられるということがうかがえたところでございます。 ◆7番(清水ひとみ議員) (登壇)ありがとうございます。  今、教育長のほうから、一定数おられるというふうに分析結果をお聞きしてうれしく思うんですけれども、しかしながら、本年6月でしたか、LINEで生理の貧困に関するアンケートをされたときには3,682人からの回答が得られています。夜間中学は、今言っていただいたように48件という、この差が非常に寂しいなという思いなんですけれども、この違いについての考察について、再度、お聞きしたいと思います。教育長、お願いします。 ◎教育長(福永忠克) ちょっとなかなか数を比較するのは難しいと思います。先ほど議員がおっしゃった生理に関するアンケートは、やはり女性あるいは女子高生などにとっても身近な、日々の、日常に対する問いかけですので多いと思いますが、やはり夜間中学なり多様な学びとなると、通常に生活しておられる方はあまりそこに関心をお持ちでない方もおられるので、そういった点で、テーマによって件数が違うものと考えております。 ◆7番(清水ひとみ議員) (登壇)ありがとうございます。  そもそも夜間中学のニーズを問う前に、夜間中学そのものを知っている人が非常に少ないのが現状です。今のアンケート結果からもそれはうかがえると思うんですけれども。  私は前回質問した折にも、ニーズがないということに関しては、東京都内の中学校に設置された夜間中学の校長先生が「夜間中学のニーズは設置してみなければ表面化しないことが多い。ニーズがあるから設置するのではなく、設置しなければニーズを掘り起こせない」と言われていることを紹介し、私自身も大きく共感する気持ちに変わりはありません。様々な事情で義務教育を修了できなかった人をはじめとして、不登校のためにほとんど小学校、中学校に通えなかった人や、本国で義務教育を修了していない外国籍の人など、今からでも学びたい、もう一度学び直したいという切実な思いに応えることができるのが夜間中学です。  本県においては何度もニーズ調査をされていますが、それらの結果から検討内容は深まってきているのか、教育長にお伺いします。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  今年度のアンケート調査では、先ほど御答弁申し上げましたようにLINEを活用したり、また、関係機関に配付したりしながらニーズの把握を進めてきたところでございます。  また、検討会議を開催させていただいておりますが、この検討会議におきましても、有識者、市町、学校関係者等から現場の状況をお聞かせいただきながら、どのようなニーズがあるかの整理を進めてきているところでございます。  そのようなニーズを踏まえまして、また、先進県の事例も参考にいたしながら、学びの場、そして学習内容、学習方法といった、多様な学びに関する具体的な検討項目を示しながら、それぞれのメリット、デメリットはどういうところがあるのか、これについてしっかりと意見交換を行っておりますので、そういった意味では、徐々にではございますが、検討内容は深まっているものと考えております。 ◆7番(清水ひとみ議員) (登壇)ありがとうございます。徐々に検討内容が深まってきているということなので、設置への考えを固めてくださってきているというふうに捉えさせていただきます。  夜間中学の歴史を振り返ると、第二次世界大戦後、日本社会の混乱の中で生活のために働かなくてはならず、学校に行けなかった子供たちに学ぶ場を提供するため、1947年に大阪で誕生したのが始まりだそうです。その当時と比べると社会の状況は大きく変わりました。中でも令和元年度の国公私立小中学校の不登校児童生徒数は18万人以上で、小学校では120人に1人、中学校では25人に1人の割合と深刻です。夜間中学の入学対象となる人は、義務教育機会確保法によれば、義務教育の段階における普通教育に相当する教育を十分に受けていない者です。その中に入るのが不登校などの事情から中学校を形式卒業した人です。この形式卒業という言い方は好きではありませんし、今は放課後登校や別室登校、フリースクールの利用など様々、先生方も保護者の方も子供たちの学びのために工夫を凝らしてくださっています。とはいえ、不登校で実質的に授業を受けた量が極めて少なく、そのため、基礎的な学力を身につけることができなかった人が実はたくさんいらっしゃいます。  現在、夜間中学に求められるものは何だと考えておられるのか、教育長にお伺いします。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  様々な理由によりまして義務教育を修了できなかった方、また、不登校のためにほとんど学校に通えなかった方、そして、本国で義務教育を修了していない外国籍の方など、今からでも学びたいと思っておられる全ての人に、工夫を凝らして義務教育の学びを保障することだと考えております。 ◆7番(清水ひとみ議員) (登壇)ありがとうございます。  この2年間、私は可能な限り夜間中学の検討会議を傍聴させていただきました。活発な議論がされていて、委員の方々からは共感する意見も多く出されていました。その中で「滋賀らしい夜間中学を」との意見が出されていたことが非常に印象に残っております。滋賀県にふさわしい、滋賀らしい夜間中学とはどのようなものと捉えておられるのか、教育長にお伺いします。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  本県には、先ほども申し上げましたが、今からでも学びたいと思っておられる方が一定数おられます。その中には、当然、十分な義務教育を受けられなかった方もおられると思いますが、本県の実態等を見ますと、例えば不登校の児童生徒が一定数いること、また、本県には外国籍の子供さんが一定数いるという、こういった本県の実態を見ながら、このことは考えていかなければならないと思っております。  そのためには、国が示しておられます夜間中学のように通学によるということだけにとらわれることなく、自宅等で学べるオンライン配信等、できるだけ多くの方が学びを続けられるような学びの場、これの提供が滋賀では大切だと考えております。そういったニーズに対応できる学びの場をどうしてつくっていけばいいのか考えてまいりたいと思います。
    ◆7番(清水ひとみ議員) (登壇)2018年に全国夜間中学校研究会が夜間中学校に在籍する生徒へ聞き取り調査をされています。その中の夜間中学生が、夜間中学を知ったきっかけや入学に直接的につながった広報、情報は何であったかという問いに対して、人からの紹介というのが約70%との結果が出ています。この結果からも、夜間中学についての認識がまだまだ社会で一般化していないことが分かりますし、本県においても同様ではないでしょうか。社会全体としての夜間中学の認識を高めるための広報が必要と考えます。  本県においても、今から県庁職員や教職員に夜間中学に関するパンフレットを配付したり研修を行うなどして、夜間中学に関する理解を深めてもらい、夜間中学での学びを必要とする人々に夜間中学を紹介できるようにしてほしいと願っています。  そこで、滋賀県での開設に先んじて、今から夜間中学について広報し、多くの人に夜間中学を認知してもらえるようにすることが必要だと考えますが、教育長に見解をお伺いします。 ◎教育長(福永忠克) お答えします。  夜間中学および多様な学びについて多くの県民の方々に知っていただき、そして、関心を持っていただくために、広報というのは大変大切であると考えております。  そこで、今年度は広報のチラシから、やはりチラシを読むだけではなかなか取っつきにくいというか、分かりにくいことがございますので、授業動画や夜間中学の紹介動画にアクセスできるような工夫を凝らさせていただいております。また、学びたい気持ちをアンケートで回答できる形も取らせていただいているところでございます。そのチラシをホームページに掲載するとともに、関係機関と連携して広くお配りをしているところでございます。さらには、日本語以外に英語あるいはポルトガル語等の5か国語に翻訳したものを作成し、個別に配付したりインターネットで配信をしているところでございます。  今後とも、県民の皆様に認知していただけるよう、こうした広報活動をしっかりと進めてまいりたいと考えております。 ◆7番(清水ひとみ議員) (登壇)ありがとうございます。アンケートにつけていただいている夜間中学の文部科学省から出ているチラシとかは拝見させていただいたんですけれども、これは検討会議でも出ていたんですけども、非常に暗いんですよね、そのイメージが。夜景とともにという、何か、見てて、これで頑張ろうかなという気持ちにはなかなかなれないので、明るい夜間中学という、そういうアピールを頑張ってしていただきたいということをお願いしておきます。  また、鳥取県においても、夜間中学の開校はまだですが、本年9月にシンポジウムを開催され、事後のアンケートでは「夜間中学の設置はどのような状況の方であれ、学びを提供し、多様性に配慮し、一人一人に適した学びを進めることができる第一歩だと感じた」「課題はいろいろあると思うが、まずは設置を進め、前進する中で課題を解決していくことが重要と感じる」などの意見もあり、このような取組も大変すばらしいと感じました。  滋賀県においても、今後、シンポジウムなどを開催して、設置への機運を高めることも必要ではないかと考えますが、教育長の見解をお伺いします。 ◎教育長(福永忠克) お答えします。  教育の機会の確保に資する夜間中学および多様な学びの場につきまして、県民の皆様に、より深く知っていただき、また県民の皆様のお声をお聞きすること、これは大切であると考えております。  今後、設置の検討を進める中で、議員から御提案のシンポジウムの開催についても考えてまいりたいと思います。 ◆7番(清水ひとみ議員) (登壇)ありがとうございます。  鳥取県は11月末に令和6年開校が決まったとお聞きをしたところです。令和6年に開校をされるということが決まって、この令和3年に、もう3年前にシンポジウムをされていたということですので、検討していただけるということですので、私は来年度に大いに期待をしておきたいと思います。  教育委員会において、先進県の聞き取り調査や、コロナ禍でなかなか実現できなかった現地視察もこの秋に実施されたとお聞きしています。これまでの調査結果も踏まえ、滋賀県での開設に向けて、課題となることはどのようなことか、教育長にお伺いします。 ◎教育長(福永忠克) お答えいたします。  検討会議の中でも意見でいただいておりますように、できるだけ多くの方が入学してもらうためには、本県の真ん中に琵琶湖があるという、こういう地理的な特性、こういったことも踏まえ、どのような学びの場、場所のお話でありますとか、それからどのような内容にするのか、そして、どのような方法で学習を提供するのか、こういったことをしっかりと詰めていくことが課題であると認識しております。その点につきましては、現在の19市町の御意見も踏まえながら検討を進めてまいりたいと考えております。 ◆7番(清水ひとみ議員) (登壇)ありがとうございます。19市町の意見も聞きながらということで。  今年度、もう一度、検討会議を開催される予定とお聞きしていますが、その場では開設年度を見据えた意見集約が必要だろうと考えます。開設に向けてはどれぐらいの時間が必要だと考えておられるのか、教育長にお伺いします。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  近年、他府県で開設が進んでおりますが、実際に設置された他府県の例では、設置すると決定をしてからおおむね2年から3年を要すると聞いておるところでございます。 ◆7番(清水ひとみ議員) (登壇)ありがとうございます。  検討会議の委員さんなどにもお聞きをすると、すぐにでもできるのではないかと。いろいろ御意見も出してくださっていますので、2年から3年というのであれば、2年で設置をしていただきたいと思います。  本県において初の夜間中学校の設置を目指すわけですが、幅広い年代を対象とする夜間中学が1人の人を大切に、1人の人の学びの喜びにつながるよう願うものです。滋賀県においても一日も早い開設をしていただきたいですが、最後に、知事の夜間中学開設への思いをお伺いします。 ◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。  私も、学びたいと思っておられる方一人一人の思いを大切にしたいと考えております。学ぶことで個性を磨き、可能性を広げていただき、その学びや経験を社会に生かしていただきたいと思っております。  今後、夜間中学および多様な学びに関する検討会議において報告が取りまとめられると聞いておりますので、市町の意向や関係者の御意見も踏まえ、本県としての在り方について教育委員会としっかり議論し、考えてまいりたいと存じます。 ◆7番(清水ひとみ議員) (登壇)ありがとうございます。代表質問の答弁では、何か知事の淡々としたお答えが寂しいなというふうにお聞きしたんですけど、今日はそこよりは少し熱があったように思うので。  やっぱり高等専門学校のような大規模な学校ではないですけれども、1人の人に光を当てる希望の学びやになるという、本当にその設置に向けて、知事も熱い思いをこれからもどんどん高めていっていただきたいと思います。2年以内の設置を心から要望しておきます。  それでは、次の質問に移ります。  2項目めは、読書の推進と学校図書館についてお伺いします。図書館については1日目に九里議員からもありました。重要なテーマだと思いますので、よろしくお願いいたします。  2023年までを計画期間とする滋賀の教育大綱では、「未来を拓く心豊かでたくましい人づくり」を基本目標に、サブテーマを「人生100年を見据えた『共に生きる』滋賀の教育」と定めています。そして、人生100年を見据えて、生涯を通じて学び続けるためには主体的な学びの基本となる読書活動が重要とし、読書活動の普及拡大と読書環境の整備について言及し、学校における子供読書活動の推進についても明記されています。  本県におきましては、平成27年度から3年間、学校図書館活用支援事業を行い、令和元年度からは学校図書館を活用した楽しむ読書推進事業に取り組み、学校図書館環境がよくなったとの喜びの声もお聞きしています。学校図書館のさらなる活用を願い、以下、お聞きします。  教育大綱で示された、人生100年を見据えた、学校における子供の読書活動の推進の成果について教育長の見解をお伺いします。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  人生100年時代と言われる今の時代に、生涯にわたり楽しく学び続けるためには読書活動、これは大変重要であると考えており、そのためには子供の頃からの読書習慣の定着、これが必要であると考えているところでございます。  県教育委員会では、子供が読書に親しむ機会を充実させるために、子供にとって最も身近に多様な本に親しめる場である学校図書館、これのさらなる環境整備、また、機能の強化が必要だと考え、これに努めてきたところでございます。  令和元年度からは、これまでの取組を踏まえまして、県立図書館に学校図書館活用支援員、これを1名配置し、令和3年──本年の10月末までに県内の47の小中学校へ学校図書館リニューアルということで指導助言を行ってきたところでございます。このリニューアル事業の実施校では、学校図書館を活用した授業でありますとか貸出冊数の増加が見られるなど、子供たちの学びの場として、より学校図書館が機能するようになったところでございます。 ◆7番(清水ひとみ議員) (登壇)私も学校図書館リニューアル事業は非常に意義があったなと思います。何校か見せていただいて、生まれ変わっている姿を非常にうれしく思っております。  本県の県立高校においては早くから学校司書が各高校に配置され、いつでも図書館を利用できる環境が整っていることは大変すばらしいです。  瀬田工業高校の図書館は明るく、生徒が利用しやすい配架や図書案内に加えて、学級文庫への貸出しなども熱心に行われていました。また、大津高校においては、生徒の居場所としての役割も図書館が担っていることをお聞きし、家庭科学科があるので、多くの絵本が生徒の視線に合わせて配架されていました。両校とも熱心な学校司書や司書教諭の方がいてくださればこそと実感をしました。  一方、県立高校の全日制に併設されている定時制や高等養護学校では、基本、図書館は共有施設で、生徒にとっては使い勝手がいいとは限りません。また、特別支援学校の図書室も、大規模化が進む養護学校ではスペース自体に課題がある学校もあるのが現状です。  本県においては、現在、読書バリアフリー計画が策定中ですが、その検討懇話会においても、視覚障害等の児童生徒の読書環境の整備として、学校図書館における司書教諭や司書の配置を望む意見も出ていたと聞いております。  県内全ての県立学校の図書館の状況を調査して、各学校に応じた、さらなる環境整備を進めていくべきと考えますが、教育長の見解をお伺いします。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  県立学校の図書館におきましては、生徒の読書活動を支援するだけでなく、互いに本を紹介し合うブックトークやビブリオバトルなど、生徒同士の交流を促すような取組を積極的に行ったり、また、学校図書館で企画展示を行うなど、生徒が本や読書に一層興味を持ってもらえるように工夫を凝らしながら取組を進めていただいております。  学校図書館に対しましては県教育委員会が、毎年、調査を行ってはおりますが、やはり数字等の調査でございますので、そこに各学校が考える運営に係る課題を書いていただけるような項目を追加し、その課題を教育委員会事務局の各課で共有し、学校図書館の環境整備に向けてどんなことができるのか、事務局全体で考えられる取組を進めたいと考えております。 ◆7番(清水ひとみ議員) (登壇)ありがとうございます。運営に係る課題を調査してくださるということですので、また、それが出てきたならば、きちんと整備計画なども立てていただいて、学校では、例えばトイレの洋式化とか老朽化対策とかありますけれども、それが終わってからではなくて、どっちも大事なので並行してやっていただけるように要望しておきます。  次に、小中学校の学校図書館についてお伺いします。  読み解く力の前提として、読む楽しさを知り、言葉の力の大切さを知り、言葉に心を乗せて伝えることを学ぶためにも、小中学生にとって学校図書館の役割は大変大きいと考えます。  小中学校の保健室に保健の先生が必ずいてくださるように、学校図書館には学校司書の方がいてくださることが必要だと考えています。学校図書館の3つの基本的な機能、読書センター、学習センター、情報センターに加えて、子供の居場所としての役割が学校図書館にはあると考えます。  学校司書の配置については、人件費が財政負担上大きいのは承知していますが、子供たちの心の安心拠点として整備することは、やがては不登校を減らし、いじめを減らし、学力を身につけることにもつながっていくと考えます。  今回、県内全市町の子供読書活動推進計画を改めて全て読ませていただきました。19市町のうち学校司書の配置目標がはっきり数値で示されていた市は7市、全く書かれていなかったのが2市1町でした。県内全市町において学校司書の配置目標もしっかり持ってほしいと思います。  子供の読書環境の充実を考えれば、県においても小中学校における学校司書の配置状況について現状把握をしていただきたいと考えますが、教育長の見解をお伺いします。 ◎教育長(福永忠克) お答えいたします。  議員が御指摘いただいたとおり、子供の読書環境の充実を考える上で、学校図書館、とりわけ学校司書の役割というのは非常に重要だと思っております。  今後、市町の首長さん、あるいは市町の教育長さんとお話しするに当たっても、やはり現状がどうであるのかというのが分かっていないとしっかりとした意見交換、議論ができませんので、今後、現状を適切に把握するように取り組んでまいりたいと考えております。 ◆7番(清水ひとみ議員) (登壇)ありがとうございます。市立の小中学校なんですけれども、やっぱり県下の小中学校の子供の読書環境の充実に向けては県がリーダーシップを執っていただきたいと思っていますので、また、現状把握の後の取組もどうぞよろしくお願いいたします。  また、今回、県内小中学校の司書教諭や学校司書の配置を調査する中で、教育委員会において、生涯学習としての読書の推進と学校での読書の推進は役割分担したほうがいいのではないかと思いました。現在、学校図書館を活用した楽しむ読書推進事業は、県立図書館の事業として予算化されていますし、「応援します、学校図書館!」と題して、教育委員会の生涯学習課と県立図書館が一緒に取り組んでくださっています。これらの取組はとてもすばらしいですし、幼小中教育課の図書館担当の方の御尽力はもちろんのこと、高く評価しています。  一方、県内の小中学校への関わりはさらに深めてほしいと考えています。教育委員会において学校図書館主事を配置するなど、学校図書館を束ねる体制を充実させ、県内小中学校の学校図書館の活性化に取り組んでいただきたいと考えますが、教育長の見解をお伺いします。 ◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。  県の教育委員会では、幼小中教育課に学校図書館を担当する指導主事の先生を配置いたしまして、市町の学校図書館の担当の方と連携しながら、市町立の小中学校の学校図書館の活性化、また、読書活動を促進する取組を進めているところでございます。  この担当の指導主事の先生は、各学校の図書館担当を対象に連絡協議会を開催し、学校における図書館担当の役割の重要性、また、学校図書館の有効活用について説明をし、先進的に取組を進めていただいている学校の事例の紹介もさせていただいております。  また、滋賀県学校図書館協議会と連携し、子供たちが自ら進んで本を読みたくなるような読書指導の手だてについて交流するなどの研修も行っていただいているところでございます。  なかなか単独で、学校図書館を担当する主事を設けるというのは少しマンパワー的に厳しいところもございますが、今後とも市町や学校図書館協議会と連携しながら、また、その指導主事の先生に過度の負担がかからないように配慮しながら、学校図書館の充実について取り組んでまいりたいと考えております。 ◆7番(清水ひとみ議員) (登壇)ありがとうございます。今、マンパワー的に厳しいという、様々兼務して頑張ってくださっていることは十分承知をしているんですけれども、それでも私は、やっぱり学校図書館を小中学校の役割のど真ん中に置いて、未来に向かって頑張ってほしいなという思いを捨て切れることはできません。今後の検討課題としていただけますか。もう一度、教育長、お願いいたします。 ◎教育長(福永忠克) まずは、今御紹介にもありましたように幼小中教育課だけで取り組んでいるわけではなく、生涯学習課あるいは非常にいろんな取組が進んでおる県立図書館もございますので、こういった図書館に関わる様々な部署が協力し合って、今よりもっと学校図書館の充実ができないか、そのことをまずしっかりと取組を進めながら、その取組の中で、もう少しマンパワーの充実が必要かどうか、その検討をしていきたいと考えております。 ◆7番(清水ひとみ議員) (登壇)この課題については、また引き続きお願いをいたします。  滋賀県内小中学校で過去5年間に早期退職された人数を調査いたしました。5年間の平均ですが、退職教員全員に対して、小学校においては約33%、中学校では約31%が定年前の退職をされています。それぞれ退職の事情は様々だと思いますが、本来、子供が好きで教員になられた方たちです。こういった方々に学校司書として勤務いただけたら、教育課程も御存じで、学校現場を知る者の強みを持って働いてもらえると考えます。コロナ禍にあって、潜在ナースの方に協力を呼びかけたところ、688人もの方がサポートナースとして御尽力くださったように、市町と協力して、教職経験者に学校司書として勤務してもらうなど工夫ができるのではないかと考えます。学校支援員の派遣による支援や、県立高校においてはクラウド型の検索システムを導入し、学校間で蔵書を相互貸借するなど、学校図書館の活性化を目指されています。しかし、繰り返しになりますが、子供の居場所としての図書館、心を癒す、また、心を育てる本の力にどの子も触れてもらえるよう、学校図書館には学校司書の方がいて、いつでも授業に活用もでき、子供たちが安心して立ち寄れる学校図書館であってほしいと思います。  県内小中学校において、市町とともに学校司書の全校配置を目指すことについて教育長の見解をお聞きします。 ◎教育長(福永忠克) 市町立の小中学校の学校司書の配置につきましては、現在、市町に対する交付税、地方財政措置という形で対応がされております。  本来であれば、学校司書を定数化していただいて専任を置くというのが望ましいと考えておりますが、なかなかそれも難しい。その場合には、この地方財政措置をより充実してもらうということを国に働きかけることが非常に大切だと思っております。これは県も市町も思いは同じだと思いますので、そういったことにしっかり取り組んでまいりたいと思っております。  あわせまして、県教育委員会としては、やはり市町でもまだ取組が十分でないところもあるように見受けられますので、先進的に取り組まれる学校事例を紹介し、学校司書が、こんな効果があるんだよということをそれぞれの現場、市町に伝えることが大切だと思っておりますので、そういった取組をまずは進めて、配置が一層進むような働きかけをしてまいりたいと考えております。 ◆7番(清水ひとみ議員) (登壇)ありがとうございます。  市町に学校司書の良い例を紹介していただくということなんですけれども、その計画も見させていただいて、非常に市町間の違いが大きいということも、今回、実感をいたしましたし、やっぱり県の中でも年次目標なども考えていってほしいなという思いがありますけれども、もう一歩踏み込んで、教育長のお気持ちをお聞きしたいと思います。 ◎教育長(福永忠克) 国におきましては、今、学校図書館図書整備5か年計画という形で取組が進んでおります。その中で司書配置は、単年度220億円、これは全国ででございますが、こういったことでございます。これがやはりしっかりと増えることが、増えたんだから少しはやろうという思いが出てくると思いますので、その点が必要だと思っております。  また、本年6月に文部科学省から整備の充実の通知もございまして、県の教育委員会としては、その中で学校司書の配置促進に努めていただきたいということでお願いをしておりますので、今後ともこういったことをしっかりと進めてまいりたいと考えております。 ◆7番(清水ひとみ議員) (登壇)ありがとうございます。よろしくお願いいたします。  昨年の総合教育会議において知事は、長浜図書館のすばらしい取組の発表の後、「社会のどこかに居場所があって、それが図書館であるということもいいですよね」と感想を言われていました。私も同じように、教員時代から、学校の中での子供の居場所の一つとして学校図書館はあってほしいと願ってきました。どの学校図書館にも学校司書さんが配置され、居場所としての図書館の役割も発揮され、学校における読書活動のさらなる充実を願っています。  滋賀の教育大綱の策定に当たって、知事は読書に焦点を当てた取組を行いたいと書いておられ、先頭に立ってこの大綱に取り組むとも書いてくださっています。  人生100年を見据えた、学校における今後の子供の読書活動のさらなる推進について、知事の見解をお伺いします。 ◎知事(三日月大造) 人生100年時代では、子供たちが未来を切り開くためにも読書は大切であり、子供にとって最も身近な本に親しめる場所である学校図書館の充実は大変重要だと考えております。  県内では図書館と学校が連携し、特色ある子供読書の取組を進めておられる市町もあるとお聞きしております。  今後は、本県の強みである公共図書館のネットワークも生かし、県内の特色ある取組を各地に広げることにより、子供たちのすぐそばに本のある環境を整え、読書の楽しさを知る機会を増やすことにより、子供たちの読書活動を推進してまいりたいと存じます。  政治家として、私が信念を持って取り組んでいるライフワークの一つがこの図書館行政、学校図書館の問題でございまして、定期的に図書館協議会の皆さんとも懇談を重ねております。  様々な取組をしていただいておりますが、おっしゃったように、まだまだ市町間の差があったり、十分な財政的な措置が取られていないという課題もありますので、例えば首長会議などでもテーマとして取り上げて、県の考え方をお伝えした上で市町の取組、さらにどのようにしたらいいのか一緒に考える場も持てたらいいなということで、現在、調整をしているところでございますが、健康しがのためにも、よりよき自治のためにも、この学校図書館、充実させる、図書館行政をさらに高めるということは非常に大事なことだと思いますので、今日いただいた御提案も含めて、そしゃくして、今後の取組に生かしていきたいと考えております。 ◆7番(清水ひとみ議員) (登壇)ありがとうございます。  本の一節がくじけそうな心を励ましてくれたり、その本の一節が生きる支えになることも非常に多いというふうに思っております。子供たちが良書の言葉のシャワーに包まれて、本当に健やかに育ってほしいなという願いは心の底から思います。そのためにも学校司書の方を全校配置していただいて、ますます学校図書館が充実しますようにお願いをいたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(岩佐弘明) 以上で、7番清水ひとみ議員の質問を終了いたします。  最後に、3番柴田清行議員の発言を許します。 ◆3番(柴田清行議員) (登壇、拍手)それでは、質問に入らせていただきます。  丹生ダム建設中止に伴う地域整備・振興策について質問をいたしますが、令和元年の第3回定例会以来2回目の質問を行うことになりました。なぜ2回目の質問になったのかという部分も含めて、当局からしっかりとした御回答をいただきたいと思います。  丹生ダム対策委員会の意見書98項目を平成28年1月に提出され、国、県、市が意見書に従い、地域整備を行うとして、平成28年9月の丹生ダム建設の中止に伴う地域整備に係る基本協定書にサインをされました。ここが正式に地元も中止を受け入れられた分岐点でありました。  今は亡き丹生ダム対策委員会の丹生善喜委員長の調印後の言葉を、もう一度、御紹介をしますが、「これ以上、何もかもストップの状態では丹生地域は滅びてしまう。これからの丹生や余呉のために中止の受入れの決断をするしかなかったんです」と涙を浮かべて私に語られました。それが私への丹生善喜委員長の最後の言葉になりました。加えて、この丹生ダム中止の発端は、当時の知事がダムに頼らない治水計画を発表したことにあったと付け加えておきたいと思います。  調印から5年が経過しましたが、ますます人口減少が進み、当時7,000人を超える人口であった余呉町も現在では半数以下の3,100人にも減少し、高齢化率も40%を超える状態になってしまいました。令和8年度までの10年間において地域整備を行う協定書の中間年を本年9月に経過をいたしました。これを受けまして、意見書の98項目について、取組計画の現状をお聞きしたいと思います。  中止に伴う協定の中間点を経過しまして、現状での成果について知事にお伺いをいたします。 ○副議長(岩佐弘明) 3番柴田清行議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)まず、昭和40年代からダムを造る、造らせてほしいとお願いをし、その後、経過があり、中止ということになり、当該地域の皆様方には多大な御負担をおかけしております。故丹生委員長をはじめ、そういった方々に思いを寄せたいと存じます。  議員御紹介の98項目の要望事項につきましては、平成27年7月に丹生ダム対策委員会より近畿地方整備局に協議資料として提出、提示されたものであり、その後の協議を経て、平成28年1月に6項目の意見書として近畿地方整備局に提出されたものと認識しております。丹生ダム中止決定後の平成28年9月に、丹生ダム対策委員会、近畿地方整備局、長浜市、水資源機構および県の5者において丹生ダム中止に関する基本協定書が締結され、その5者が地域整備協議会を組織し、平成29年度より毎年、意見書の6項目の実現に向けた地域整備実施計画が策定されております。地域整備実施計画策定以降、この5者は連携協力しながら、これまではおおむね5年以内に着手が必要なものについて整備事業を進めてきたところでございます。
     主な成果、進捗といたしまして、道路につきましては県道中河内木之本線の拡幅整備が必要な区間約10キロメートルのうち令和2年度までに約4.7キロメートルを実施いたしましたほか、市道の整備、補修等を進めてきたところでございます。  河川につきましては、余呉町菅並地先において、高時川の護岸整備やしゅんせつなどを進めているところです。  地域振興につきましては、丹生ダム対策委員長を座長とし、地元の経営者や有志の皆様による余呉まちづくり研究会において検討されてきたところであり、例えばエゴマ栽培が試行され、キャンプ場の計画や絵びょうぶ作成などが具体化に向けて動き出してきたところでございます。また、ダム買収済み用地に隣接いたします残存山林につきまして、水資源機構による補償および本県による寄附の受領を、現在、実施しているところでございます。 ◆3番(柴田清行議員) (登壇)今後はどのような取組をしていくのか、知事にお伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) 先ほど申し上げました地域整備実施計画につきましては、今年度末で5年が経過することとなります。先月の地域整備協議会におきましては、今後、これまでの取組状況を点検の上、必要な計画の見直しを行うこととされ、早期、着実に地域整備が実施できるように、お互いに協力して進めることが確認されたところでございます。  県といたしましても、関係者と連携、調整を図りながら、地域の皆様が誇りを持ち、安心して生活していただけるよう、さらなる地域整備に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆3番(柴田清行議員) (登壇)知事にはいろいろと御苦労いただいていることだと思います。ここでは再問は避け、最後にまたお話をさせていただきたいと思いますので。  少し内容についてお尋ねをしたいと思います。  寄附をお願いしております残存山林、この現状での経過について土木交通部長にお伺いをいたします。 ◎土木交通部長(野崎信宏) (登壇)お答えいたします。  令和2年5月に地域整備協議会を構成する5者で合意した丹生ダム建設事業の中止に伴う地域整備の促進要望に係る今後の対応方針におきましては、残存山林に関し、「地域住民からは、高齢化等に伴い個々に維持管理していくことは困難とお聞きしている。地元から一団の土地の寄附の申出がある場合は滋賀県が引き受ける方針」と記載されております。この方針に基づきまして、令和2年度から寄附の引受けを開始し、生産森林組合の所有地を中心に、これまで約1,160ヘクタール、残存山林全体3,150ヘクタールの約37%について寄附をいただいております。また、個人の所有地につきましても、相続調査等が終了し、準備が整った方から、順次、寄附の引受けを進めております。 ◆3番(柴田清行議員) (登壇)土木交通部長に再問いたします。  この残存山林の寄附について、順調に寄附が進んでいると感じられているのか、再問したいと思います。 ◎土木交通部長(野崎信宏) 順調に進んでいるのかということについてでございますけども、相続登記が未処理のものが多く、権利者の特定に時間を要しているということもございます。また、一部の地域では、巨木について、地域からの意見に対して調整が調っていないということもございますので、必ずしも順調には進んでいないというふうに認識しております。 ◆3番(柴田清行議員) (登壇)この残存山林の問題、巨木地域という発言がありましたが、この地域がまだ寄附になかなか同意をしていただけないということで、パーセンテージで、その地域がどこまであるのかお示しをいただきたいと思います。 ◎土木交通部長(野崎信宏) お答えいたします。  全体3,150ヘクタールでございますけども、すみません、正確な数字は、今、手元にございませんけども、半分を超えるぐらいの大きさのところが巨木で了解をいただいていないというふうに認識しております。 ◆3番(柴田清行議員) (登壇)37%が御寄附をしていただいている。残り63%、奥川並地区なんだそうですが、残っているのがほぼこの巨木地域である、寄附に同意をしていただいてないという地域だと思うんですが、間違いないですか。 ◎土木交通部長(野崎信宏) 議員、ただいま御紹介いただきました奥川並地域が最も巨木が多い地域でございます。 ◆3番(柴田清行議員) (登壇)この残存山林の寄附引受けが進まない原因について土木交通部長にお聞きをいたします。 ◎土木交通部長(野崎信宏) 既に先ほど少し申し上げましたけども、残存山林のうち個人所有地につきましては相続登記が未処理のものが多く、権利者の特定に時間を要していること、一部の地域、今、一部と言いましたけど、かなりの部分でございますけども、巨木についての地域からの御意見に対し、調整が調っていないということで、これが寄附を引き受ける上での課題、原因と認識しております。 ◆3番(柴田清行議員) (登壇)この残存山林内の巨木なんですが、実は土木交通部長も行っていただいたそうですが、滋賀県で一番幹幅が大きい、幹幅が9.8メートルという本当にすごい幹幅の巨木が残っている。県の調べでは254本、残存山林を含めたダム予定地内にあるということも県のほうでは、ある程度、調べられているんですが、しっかりとした巨木の調査、最低でも本数あたりは土木交通部長が理解をされているのか、再問したいと思います。 ◎土木交通部長(野崎信宏) 巨木の本数でございますけども、全体では、我々が把握しておりますのは263本と承知しております。そのうち奥川並が176本と、かなり多くを占めているという状況でございます。 ◆3番(柴田清行議員) (登壇)今の数字を言っていただきましたが、実はその数字が本当の数字なのかと、地元の方にも聞きました。元県の職員さんにも聞きました。はるかに多い数字がまだ残っているそうだというのを私は確認をしております。  続いて、質問に入りたいと思います。  残存山林内にある巨樹・巨木について、県において保存を提唱されております。しっかりとした現状把握を行っているのか、琵琶湖環境部長にお聞きをいたします。 ◎琵琶湖環境部長(石河康久) (登壇)お答えいたします。  残存山林内にある巨樹・巨木につきましては、平成24年度から現地調査を行いますとともに、平成27年度には、委託により航空写真や衛星画像等を利用し、巨樹・巨木のある場所を把握しました。その後、現地調査により巨樹・巨木の個体の特定を行ったところでございます。  航空写真等での立木の写り方等もあり、残存山林内の全ての巨樹・巨木を把握しているとは言い切れないことから、保全協定が締結できていない新たな巨樹・巨木の情報がありましたら、県で調査を行い、その巨樹・巨木の保全の在り方につきまして、所有者、保全団体および長浜市と相談しながら対応してまいりたいと存じます。 ◆3番(柴田清行議員) (登壇)今、琵琶湖環境部長からお話をいただきましたが、巨樹・巨木、幹幅3メートル以上のものを巨樹・巨木と滋賀県が提唱されているそうなんですが、今も言われました、まだ確定できてないとか、この残存山林を寄附していただくとか、この丹生ダム問題が出て、まず、締結してから5年もたって、今これを、今さら分かっていないという状況というのは非常におかしいと思うんですが、それについて琵琶湖環境部長に、再度、再問したいと思います。 ◎琵琶湖環境部長(石河康久) お答えいたします。  県としましては、航空写真を利用した調査を行うなど、できる限りの把握に努めてまいりましたが、まだ全体の把握はできていないというのが事実でございます。それで、協定を締結していない巨樹・巨木の情報がありましたら、地元の方とか保全団体とかの情報をお聞きしながら、しっかりと調査を行ってまいりたいと思います。 ◆3番(柴田清行議員) (登壇)私は、今、まだそんな調査ができてないのがおかしいんではないかという再問をしたので、再度、再問します。 ◎琵琶湖環境部長(石河康久) お答えいたします。  おっしゃるとおり、まだできていないというのは大変申し訳ないことだと思います。申し訳ございません。 ◆3番(柴田清行議員) (登壇)いつまでにされるんですか。再度、琵琶湖環境部長にお伺いします。 ◎琵琶湖環境部長(石河康久) 現時点でいつまでと確かには申し上げられませんが、できるだけ把握できるように努めてまいりたいと思います。 ◆3番(柴田清行議員) (登壇)この98項目の意見書の中には、期日をしっかりと定めるという協定の提言案があるんですが、そんないつまでにできるかどうかというような答弁でいいんでしょうか、琵琶湖環境部長に再問します。 ◎琵琶湖環境部長(石河康久) お答えいたします。  この期間をはっきりと明示できないというのは大変申し訳ないとは思うんですけれども、現時点でいつまでにというのはなかなか申し上げられませんので、精いっぱい早くするということで御理解いただきたいと思います。 ◆3番(柴田清行議員) (登壇)しっかりと98項目の意見書、お守りいただきたいと思います。  続いて、この巨樹・巨木の保全協定が継続されていない理由を琵琶湖環境部長にお尋ねいたします。 ◎琵琶湖環境部長(石河康久) お答えいたします。  残存山林内にある巨樹・巨木につきましては5年間の巨樹・巨木の保全協定を締結しましたものの、協定期限後、その延長ができていない巨木があり、土地所有者に継続をお願いしているところでございます。  巨樹・巨木の保全協定を延長していただけない理由としましては、所有者が作業道の補修や保全協力費の支払いを要望されていることにございます。  協定の延長に当たりましては、他の地域とのバランスもありますことから保全協力費の支払いはできかねますが、巨樹・巨木の保全協定の延長と、巨樹・巨木を伐採しないよう、引き続きお願いしているところでありまして、今後も粘り強くお願いしてまいりたいと存じます。 ◆3番(柴田清行議員) (登壇)まず、巨樹・巨木が県でまだ確定されていないという大きな問題があるという部分、それと、この協定書に関しては、林道整備が必要だと。これはこの98項目の中に林道整備も入っているわけですよね。これ、2つも破るんですか、琵琶湖環境部長に再問します。 ◎琵琶湖環境部長(石河康久) お答えいたします。  98項目の中に林道整備が入っておるのは承知しておりまして、林道の整備も進めております。  具体的には、今後、既設改良路線につきましては林道管理者の支援をするということ、それから、県で進めております林道横山岳線を早期に進めるということなど、林道整備もしっかりと進めてまいりたいと思います。 ◆3番(柴田清行議員) (登壇)実を言うと、この現地、私も行きましたけども、本当に険しい山道でもありました。9.8メーターの幹幅のある巨樹・巨木、土木交通部長は行っていただきましたが、琵琶湖環境部長は多分そこら辺まで行っておられない、琵琶湖環境部の方がほんまに行っておられるのかなと。現状、そう思ってしようがないです。そういう部分も含めて整備が進んでない。98項目のこの2項目、これは実施、琵琶湖環境部としてやらなきゃいけないのにできてないという現状をここで言っておきたいと思います。  この巨樹・巨木につながる奥川並への市道整備、維持管理について土木交通部長にお尋ねをいたします。 ◎土木交通部長(野崎信宏) お答えいたします。  市道奥川並線は、ダム買収済み用地内にあるため、現在は水資源機構において整備、維持管理を行っており、令和8年度まで継続されると伺っております。その後の維持管理等につきましては、長浜市道でありますことから、道路管理者である長浜市においてなされるべきものと認識しております。 ◆3番(柴田清行議員) (登壇)この市道奥川並線、今後どうするのかという部分に関して、今、県は長浜市が処理するべきだというお話をいただきましたが、しっかりと丹生ダム対策委員会と長浜市と協議を終えられているのか、再問したいと思います。 ◎土木交通部長(野崎信宏) お答えいたします。  現時点におきまして長浜市から市道を廃道とかという話はございませんので、そのような協議は行ってはおりません。  令和9年度以降に、仮に市道を廃止されるとかそういう状況になりました場合には、残存山林や買収済み用地での利活用などの状況を踏まえまして、地域整備協議会の関係機関、あるいは庁内関係部局などと対応を協議、検討してまいりたいと考えております。 ◆3番(柴田清行議員) (登壇)長浜市からまだ何も言ってこないって、これは買収用地内なので県が引き受けるということになっています。そして、4.何キロあるんですが、私、この間、行かせてもらいましたけど、1時間以上、奥川並までこの市道はかかるんですよ。舗装もされてない。それを今後、巨樹・巨木を保全しながらやろうとするのは滋賀県なんですよね。そして、買収用地を含めて残存山林も、ほぼ滋賀県がその土地を取得されるわけですよ。国の例からしても、何人の方にも聞きましたけども、ほぼ滋賀県が、利用道として通る道を市に任せられるというその発言について、私はいかがなものかと思いますが、土木交通部長に再問いたします。 ◎土木交通部長(野崎信宏) お答えいたします。  土地については県のほうで寄附を受けるということで、買収済み地については水資源機構から引き受けるということと、残存山林についても寄附を受けるということで進めておりますが、市道といいますのは、土地の権原にかかわらず、道路法によって規定されておりますので、長浜市道である以上は、やはり長浜市が管理されるものというところで申し上げているものでございます。 ◆3番(柴田清行議員) (登壇)今の発言からすると、長浜市が県のほうに移管すると言われれば、県がしっかりと県道ないしそういう部分にするということでよろしいでしょうか、土木交通部長に再問します。 ◎土木交通部長(野崎信宏) お答えします。  当該市道は行き止まりの道でもございますし、お住まいされている方も現実にはいらっしゃらないという状況で、新たな県道ということにはできないと考えております。  今後の利活用の中で、その内容に応じてどのような道が必要なのかというのをまず検討させていただいて、維持管理レベルをどの程度に持っていくのか、そして、それをどのような位置づけにして、どういう管理をして、そのためにどれぐらいの費用がかかるのかということも含めて管理者を決めていく必要があると考えておりまして、そういったことをまずは地域整備協議会の中で議論させていただいて、また必要であれば庁内でも議論させていただいて、県として決めていきたいというふうに考えております。 ◆3番(柴田清行議員) (登壇)今、この整備も当然のように僕は国にやってもらうべきやと思っています。そうなれば、今の時期にこれを協議するようなことなんでしょうか。道路整備がもう8割ぐらい進んでいるわけです、水資源機構によって。もっと早くこういう提言を県のほうからして、この道路に関してどうするのかというのをやらないと、あと4年ぐらいしかないところの水資源機構に整備を本当にしてもらえると考えられているんですか、再問したいと思います、土木交通部長に。 ◎土木交通部長(野崎信宏) お答えいたします。  整備の面につきましては、現在、水資源機構において整備をまさにされているところでございます。ただ、それが令和8年度までということですので、後の維持管理につきましては、もし仮に市道でないということになれば、その後の利活用に応じて考えていかなければならないと、先ほど申し上げたとおりでございます。 ◆3番(柴田清行議員) (登壇)土木交通部長、この間、この道、通ってもらいましたよね。私はこの4.何キロ、1時間かかったと言ってるんですよ。このような道で本当にいいと思われてるんですか、土木交通部長に再問したいと思います。 ◎土木交通部長(野崎信宏) お答えいたします。  やはり後の利用のところがどうなのかというところをしっかり見極めて、そこで、どういう維持管理レベルであるとかそういうことを考えてやっていくべきだと考えております。  今、議員おっしゃられましたように、1時間を要したというところでございますけども、まだ、まさに今、水資源機構において整備をされている途中だというふうに認識しておりますので、徐々に道のレベルとしてはよくなっていくのではないかと考えております。 ◆3番(柴田清行議員) (登壇)だから、先ほども琵琶湖環境部長にもしゃべりましたように、残存山林とか巨木の対応をできていないからこの道の役割ができないというのがこの本筋なんですよ。県の取組が遅れているからこの市道に関しての協議もできない、どういうような巨木の環境保全にするのかとか、エコツアーをするのとか、そういうことを早く決めないと、この市道に関しての役割分担も決められない、整備状況も決められない。だから、しっかりと協議をする、滋賀県がやるべきことはやらなきゃいけないと思うんですが、土木交通部長に再問したいと思います。 ◎土木交通部長(野崎信宏) お答えいたします。  残存山林をお引受けさせていただくと決めましたのも、令和2年の3月に協議をして、最終、5月に地域整備協議会を構成する5者で合意をさせていただいたものでございます。ということで、少し出発点が遅れているという面はございますけども、今後、県としてもしっかりと今後の管理をどうしていくのか、対応を検討してまいりたいと考えております。 ◆3番(柴田清行議員) (登壇)残存山林の最初の質問のときに土木交通部長は、順調には進んでないという答弁もありましたので、それも含めて、この市道問題、しっかりと解決をお願いしたいと思いますが。  この市道問題など地域整備の関係からも、残存山林の寄附を受ける最終期限をいつまでに設定されようと思われるのか、これは大事な問題でありますので知事にお伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) この寄附の引受けには、先ほど来お話がありますように、相続人等の地権者の特定が必要なことから、その調査について、別途、補償を行う水資源機構と連携協力して取り組んでいるところです。このため、水資源機構がダム事業の廃止に伴う事業を完了する令和8年度末を目途として寄附の引受けを完了したいということで、現在、取り組んでいるところでございます。 ◆3番(柴田清行議員) (登壇)知事、申し訳ない、期限をということなんです。難しいことだと思いますが、この98項目の中には、整備については個々に期限を決めて取り組むことという協定もあるんですが、再度、お聞きしたいと思います。 ◎知事(三日月大造) 地元住民の皆様方のお気持ちを酌んでの御質問だと思いますので、それは我々もしかと受け止めたいと思うんですが、期限については、一定、さっき答弁で申し上げたとおり、そこの令和8年度を目途にして取り組んでおります。ただ、早くやらねば早くやらねばだけではなくて、やはり地域住民の皆様方のお気持ちも酌みながら、そして、長浜市、国、水資源機構とも調整しながら進めている事業でもございますし、確かに出発点は遅れましたけれども、この残存山林につきましては、補償だけではなくて引受けが必要だと判断させていただいたのが昨年度でございますので、今後、市道の問題、巨樹・巨木の問題、様々な課題はございますが、鋭意、取組を進めてまいりたいと存じます。 ◆3番(柴田清行議員) (登壇)知事、私が言いたいのは、巨樹・巨木も残存山林も県がしっかりと管理していくためには、やっぱり管理費用というのはかかると思っています。それをしっかりと国に要望するというのが私は筋だと思っております。よろしくお願いしたいと思いますが。  「自然は、手を入れず、ありのままでいいと置き去りにされないように」、これは丹生ダム対策委員会の方々の言葉でございますが、残存山林の管理費用は国に求めるべきではないか、土木交通部長にお尋ねをいたします。 ◎土木交通部長(野崎信宏) お答えいたします。  御寄附いただきました残存山林につきましては、優れた自然環境と風景地を保全することを目的に、自然保護地として、原則、現状保存することとされており、琵琶湖環境部におきまして必要な管理をされるものと考えております。また、残存山林や買収済み用地に存在する植林地は自然林化が必要と考えておりまして、人工林の伐採等につきまして、引き続き国に要望してまいります。 ◆3番(柴田清行議員) (登壇)木材の利用とかそういう部分に関しては、今後、しっかりとしていかなければいけない。残存山林の管理費用についてもしっかりと国に要望をしていただきたいと思います。  県に移管される買収済み用地、この地域振興策について土木交通部長にお聞きをいたします。 ◎土木交通部長(野崎信宏) お答えいたします。  買収済み用地の県への譲受け後は、河川、道路、山林に区分しまして、山林については寄附いただいた残存山林と一体的に自然保護地として管理することとしております。現在のところ、自然保護地の地域振興策といたしまして、琵琶湖環境部におきまして、巨木を活用したエコツーリズムの実施を予定されているところでございます。 ◆3番(柴田清行議員) (登壇)琵琶湖環境部における巨木のツアーのみが買収済み用地の地域振興策なんでしょうか。再問したいと思います、土木交通部長に。 ◎土木交通部長(野崎信宏) お答えいたします。  この買収済み用地の中に集落跡地もございますので、ここにつきましては整備をするということで、今、地域整備協議会のほうで話が進んでおりまして、小原につきましては、昨年度、整地ができたという状況でございます。今後も引き続き、そのような取組は協議会一体となって頑張っていきたいと考えております。 ◆3番(柴田清行議員) (登壇)これは県有地になるんですよね、この部分は。  誘客、地域の活性化を講ずること、地域特産品を開発することなどが98項目の中にも入っております。協議会、協議会という部分はよく出ていますが、やっぱり県有地になるんですよね。県がしっかりとして、リーダーシップを執って、地域振興策を考えていただきたいと思うんですが、再問を土木交通部長にしたいと思います。 ◎土木交通部長(野崎信宏) お答えします。  丹生ダムに関しましては、国、県、長浜市、水資源機構、それとダム対策委員会の5者が協力して地域整備を行うというところがこの基本協定書の根本のところでございます。当然、県に関わる部分は積極的に県でやっていくということはごもっともでございますので、県としてもしっかり取り組んでまいりたいと考えております。 ◆3番(柴田清行議員) (登壇)何か、何を言っておられるのかちょっと分からない部分があるんですが、次へ行きます。  長浜市や丹生ダム対策委員会で進められている丹生地区の地域振興策について、県側がどのように関わっていくのか、土木交通部長にお尋ねをいたします。 ◎土木交通部長(野崎信宏) お答えいたします。  丹生地区の地域振興策につきましては、丹生ダム対策委員長を座長とした余呉まちづくり研究会におきまして検討いただいているところでございます。この研究会には近畿地方整備局および県もオブザーバーとして参加し、必要な協力支援を行っているところでございます。  研究会におきましては、例えば北海道でのキャンプ場整備や、八田部でのエゴマ栽培の試行などを計画し、活動をされておられます。県はこのような活動に対しまして、キャンプ場のところにつきましては、このキャンプ場整備と一体となった高時川の親水性護岸の整備でありますとか、エゴマの栽培設備の配備の際には、市におきまして丹生特別交付金による支援を予定しておるところでございます。
     今後も県といたしまして、地域で取り組まれる内容に応じてしっかりと対応してまいりたいと考えております。 ◆3番(柴田清行議員) (登壇)この地域振興策、買収用地、そして丹生地区が進められている地域振興策、令和8年度までに目に見える成果を出すというのが前回の知事の答弁でございました。よろしくお願いをしたいと思います。  次に、県側に最初から要望をされております、余呉地区全体の地域振興策について土木交通部長にお聞きをしたいと思います。 ◎土木交通部長(野崎信宏) お答えいたします。  余呉地区全体の地域振興策につきましては現段階で具体的に申し上げられるものはございませんが、長浜市や余呉まちづくり研究会と相談し、地域の意向も確認しながら、余呉地域全体の地域振興につながるプランを提案し、その実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。  また、地域振興に資するインフラ整備として、杉本余呉線、これは98項目の中に地域振興の中で挙がっている項目でもございますけども、この杉本余呉線につきましては、近々、道路改良の詳細設計を行う予定でございまして、こうした県独自で進められるものにつきましてもできる限り取り組んでまいりたいと考えております。 ◆3番(柴田清行議員) (登壇)これは対策委員会のほうからも再々言われていると思いますが、県からのプランが出てこない。令和8年度までに目に見える成果を出すというお約束をいただいておりますので、しっかりと提案をお願いしたいと思いますが。  丹生ダム対策委員会から、余呉町全体の地域振興策で余呉湖周辺の地域振興策を要望されています。まず、余呉湖を取り巻く過去の歴史として、国によるダム化になった余呉湖利水事業と余呉湖周辺の旧余呉湖荘、余呉湖野外活動センターの県による建設経過について農政水産部長にお聞きをしたいと思います。 ◎農政水産部長(西川忠雄) (登壇)国営湖北農業水利事業に伴います補償につきまして、昭和51年10月30日に交わされました確認書には余呉湖野外活動センターの一部施設が含まれておりますが、旧余呉湖荘の記述はございません。  一方、旧余呉湖荘、また余呉湖野外活動センターは、県が当時、策定いたしました余呉湖総合発展計画に基づきまして、県がそれぞれ昭和48年と50年に建設したものでございます。  これらにつきまして、近畿農政局発行の湖北農業水利事業誌におきましては「単独補償では解決し得ない諸条件を各関係機関が協力したことによって解決に至った。その経過は特殊な補償のモデルとして特筆される」と記述しておりまして、これらの関係が意識されていたことが読み取れると思っております。 ◆3番(柴田清行議員) (登壇)余呉湖のダム化になった利水事業、もう少し詳しく農政水産部長にお尋ねをしたいと思います。 ◎農政水産部長(西川忠雄) お答えいたします。  当該事業は、湖北の非常に広い範囲に農業利水をするということを目的に計画がされたものでございまして、国営で行われた事業でございます。  現在もその水利が活用されているところでございまして、琵琶湖から余呉湖への揚水、また、余呉湖から各河川を通じて、また水路を通じての利水が図られているところでございます。 ◆3番(柴田清行議員) (登壇)これ、もうちょっと詳しく説明してほしいって要望しといたんですが、50メーター、余呉湖と琵琶湖の差があって、琵琶湖から水を揚げられてと。長浜市の65%の農業用水として使われていると。長浜市全体が琵琶湖と一緒、滋賀県の6分の1なんで、かなりの面積の農業用水として使われているのは間違いないと思うんですが、この当時、余呉湖を国営事業にするということで大反対が起こった事業であります。その中で、余呉湖周辺の整備がされ、余呉町の憩いの地として今でも活用されているという、やっぱり余呉地域の一番象徴たる場所なんです。この当時も余呉の方は涙を飲まれてこの国営事業に参加をされている。今回、丹生ダムも大反対の中、賛成をされたんだが、また42の家族、78人が移転をされてまで国は中止にしたという、日本でも初めての中止になった事業でもあるんですが、この余呉湖を取り巻く環境、そして丹生との関わり合いというのが非常にあるものだと。だから、丹生ダム対策委員会でも余呉湖の周辺事業というのはしっかりとやってくださいというのは98項目にも入っているわけであります。  現在、一部、更地工事が進んでいる余呉湖荘跡地、余呉湖野外センターを含む周辺の利活用について土木交通部長にお尋ねをいたします。 ◎土木交通部長(野崎信宏) お答えいたします。  余呉湖荘跡地は、現在、琵琶湖環境部におきまして自然保護地として、また、野外活動センター跡地につきましても、今後、長浜市より返還された後、自然保護地として管理されると聞いております。  今後の余呉湖荘跡地等につきましては、現段階で具体の利活用について申し上げられる状況にはございませんが、琵琶湖環境部とも協議、調整しているところでございまして、長浜市や余呉まちづくり研究会と相談し、地域の意向も確認しながら、余呉地域全体の地域振興につながるプランを提案させていただき、その実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。 ◆3番(柴田清行議員) (登壇)地域振興策、よろしくお願いしたいと思いますが、この周辺を含めた整備ということで、周辺道路の状況を、あのままでいいのか、土木交通部長に再問したいと思います。 ◎土木交通部長(野崎信宏) お答えいたします。  議員御紹介の県道は余呉湖線であると思います。特に川並地先の余呉湖線は道路の幅も狭く、車のすれ違いが困難な状況でございますが、人家が並ぶ集落でありますとか、余呉湖と斜面に挟まれた狭い区間を通過しているというところでもございます。道路を整備するためにはルートや道路構造、費用なども検討する必要があると考えているところでございます。  現在のところは、余呉湖線の道路整備計画というものはございませんので、今後の利活用の計画でありますとか地元の意向も踏まえて、どのような整備をしていくのか考えてまいりたいと考えております。 ◆3番(柴田清行議員) (登壇)地元の意向を踏まえて踏まえて。いい言葉なんですが、もっと早くから聞いたってください。どんどん言われてるんです。よろしくお願いしたいと思います。  次からは、先ほども、この土地は琵琶湖環境部が管理しています。これについては農政水産部が言われているということで、本当に各部がしっかりとこの丹生ダム問題、考えていただいているのかという部分を含めて質問をしたいと思います。  新過疎法に基づき過疎地域持続的発展計画を県が策定し、丹生ダム建設計画の長期化において、過疎化や高齢化が進んだ余呉地区の過疎化対策を講じる必要があると考えますが、総務部長にお伺いをいたします。 ○副議長(岩佐弘明) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたします。 ◎総務部長(森中高史) (登壇)お答えします。  本年4月に過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法が施行され、旧余呉町の区域は旧過疎法に引き続き過疎地域に指定されております。  最新の国勢調査によりますと、旧余呉町の区域の人口は2,790人と、前回調査時点から11.2%減少しており、人口減少や少子高齢化はなお著しく、地域の維持、活性化には多くの課題があるものと認識しております。  一方で、旧余呉町の区域は賤ケ岳や余呉湖といった豊かな自然や歴史と伝統文化など、都市部の人々を魅了する地域資源を有していると考えております。こうした魅力を生かして、引き続き移住定住の促進を図るとともに、関係人口の拡大により外部からの担い手を確保することで、旧余呉町の区域とその周辺地域がお互いに連携し、より広域的な視点で過疎対策を行う必要があると考えております。  現在、県および長浜市において移住促進、産業振興、再生可能エネルギーの利用推進等を盛り込んだ新たな過疎計画の策定を進めているところでございまして、旧余呉町の区域の特性を生かした持続的発展に向け、県としても、長浜市と連携し、しっかりと支援してまいりたいと考えております。 ◆3番(柴田清行議員) (登壇)続いて、商工観光労働部長に質問をしたいと思いますが、芹谷ダム中止の際には企業誘致などが実施をされました。丹生ダム建設中止に伴う産業観光振興は考えているのか、お尋ねをいたします。 ◎商工観光労働部長(水上敏彦) (登壇)お答えいたします。  余呉地域には美しい清流や豊かな山の緑といった、人々を魅了する自然やそこに息づく山村文化といった地域資源があります。これらの資源を生かして、令和元年にビワイチ・プラスのモデルコースの一つとして余呉湖一周を含むコースをつくり、地域の周遊を促進しているところであり、今後、地元とも連携しつつ、山々の自然や歴史文化などの魅力的な地域資源を生かした体験・交流型観光を推進してまいります。  また、地域振興策につきましても、現在、地元において検討が行われ、具体化に向けて動き出してきたところであると承知をしておりまして、今後、観光振興と併せまして、特産品開発やその商品化などに結びつけられるよう、長浜市や商工会、産業支援プラザなどとも連携をし、地域の取組を支援してまいります。 ◆3番(柴田清行議員) (登壇)商工観光労働部長に再問をしたいと思いますが、ビワイチ・プラスのお話もいただきましたが、先ほど土木交通部長から、余呉湖周辺の道路に関しても、まだあまり考えてないという話があった。ビワイチ・プラスを考えておられるのやったら、これ、大変重要な問題だと思うんですが。  それと、この余呉地域、特に部長は大変御存じだと思っているので、この委員長が言われた、丹生は死んでしまう、このままでは余呉全体も死んでしまう、あれからほとんど地域振興策、人口が増える政策もされてないわけですが、このことについて部長にお伺いしたいと思います。 ◎商工観光労働部長(水上敏彦) お答えいたします。  余呉湖周辺を含めましてビワイチ・プラスの取組を推進することは県にとりましても大変重要なことでございますので、関係部局と連携をしながら、しっかり進められますように取り組んでまいりたいと存じます。  それから、庁内の丹生水源地域整備推進チームにおきましては、これまで私どもの部では観光担当が参画をしておりましたが、今後は商工担当も参画をする中で、商工業振興の観点からも検討を進めてまいりたいというふうに考えております。  例えば余呉地域の自然や環境を生かしたサテライトオフィスやワーケーションなどを活用した起業支援や移住促進など、地元でもそうした取組が始められておりますので、県といたしましても、そうした取組を後押しできるように考えてまいりたいと存じます。 ◆3番(柴田清行議員) (登壇)部長から、余呉地域の現状とか感想が聞けなかったのは大変残念なんですが、次に行きたいと思います。  瀬切れ対策の抜本的な水量確保について土木交通部長にお聞きをしたいと思います。 ◎土木交通部長(野崎信宏) お答えいたします。  令和3年8月に変更されました淀川水系河川整備計画におきまして、国において、高時川の瀬切れ解消に向けて水利調整、河川管理者への支援を実施するとされています。  現在、近畿地方整備局、県、利水者におきまして課題の共有を図っているところでございますが、今後、近畿地方整備局主導の下、水量確保に向けて水利調整の協議が進められることになると考えております。 ◆3番(柴田清行議員) (登壇)抜本的な解決に向けて、国がしっかりとした対策をしていただけるということでよろしいんですか、土木交通部長に再問しておきたいと思います。 ◎土木交通部長(野崎信宏) お答えいたします。  先ほど申し上げました令和3年8月に変更された河川整備計画、これは国において策定された国の計画でございます。その中で、高時川の瀬切れ解消に向けて水利調整と記述されておりまして、河川管理者への支援という部分は、我々県に対する、今、水制工によって一時的な魚の逃げ隠れ場所をつくるような取組でございますが、そうではなくて、水利調整を実施するとされておられますので、ここで国のほうが実施されるものと考えております。 ◆3番(柴田清行議員) (登壇)この中止の前には近畿整備局によって水系間導水案という、琵琶湖の水を余呉湖に揚げて、余呉湖の水を丹生の奥まで持っていって高時川へ流すというような案が発表になりました。私もこの発表のときにははごろもホールに行っておりましたが、そのときには、やはり最初の「また余呉湖に犠牲を」というような余呉の方々の苦悩が出てあり、大きな反対の意見も出されておりましたが、しっかりと国が案を示して工事にかかるというのは、これは筋だと思っておりますので、県としてもしっかりと国のほうに要望をしていただきたいと思います。  様々な課題について御議論をさせていただきました。今後において本当に滋賀県がなすべき取組について、知事にお尋ねをしたいと思います。 ◎知事(三日月大造) これまで議員御指摘のとおり、地域振興策は丹生ダムの買収済み用地や残存山林、少しエリアを広げた丹生地区、さらには余呉地域全体を対象として、それぞれの特性や課題を踏まえた取組を展開していく必要があると考えております。  余呉地域全体としては、トチノキなどの巨木も多数存在する、まれに見る恵まれた自然資源と、賤ケ岳古戦場や茶わん祭り、余呉湖の羽衣伝説などの文化歴史資産を有しております。こうした資源、資産を生かすことで個性ある産業が息づき、地域住民が安心して生活でき、誇りを持ってふるさとを守り育てる魅力のある余呉地域を創生できるものと考えております。  県といたしましては、関係機関と連携協力しながら、各部長から申し上げた取組、例えば買収済み用地や残存山林ではエコツーリズムを、丹生地区ではキャンプ場の計画などを、余呉地域全体では新たな過疎計画に位置づける移住促進や産業振興などを今後見直す地域整備実施計画に位置づけるとともに、地域振興につながる新たなプランを検討の上、計画に加え、着実に進めることで、この地域が持続的に発展できるよう取組を進めてまいりたいと存じます。 ◆3番(柴田清行議員) (登壇)知事、ありがとうございます。この、私の質問をさせていただいた際ではありますが、前委員長の丹生善喜委員長のお墓にも手を合わせていただいたということで感謝を申し上げたいと思いますが、しかしながら、残存山林の問題や巨木の問題、進んでいるようで本当に進んでないという問題があります。巨木は多分300本を超えるだろうなという元県の職員の証言もあります。奥川並地区では200本を軽く超えるだろう。現在、176本が指定をされておりますが、これも200本を軽く超えるでしょうと。お名前も言うてもええと言われたんですが、今日はここまでにしときますが、その方がずっと職員時代もこの残存山林の山、「一本一本、私が176本もテープをしました」と言われてましたが、それ以来、ほとんどの調査がされてない。先ほども琵琶湖環境部長にその話を聞きましたが、琵琶湖環境部長も全く現場も知らない。やっと土木交通部長には入っていただきまして大変ありがたかったんですが、現場も分かっていないのに議論をしようとか、「予算を要求したんやけど、柴田さん、つかないんや」と。いや、それだけじゃなくて、最終的な解決を持っていくためには、巨木問題もしっかりと県が把握しなければいけない。それが、残存山林、そして奥川並線の道路の維持管理、どういうふうに改修していくのかという計画案ですらまだ出せないという状況。  本来、道路計画は、この5年経過の中で全て計画はされてなければいけないというような前半の取組だったと思います。また、地域振興策は後期の対策にはなろうという話でしたが、現在においても、これからプランを出します。  やはり丹生委員長が言われていたように、何もかもストップの状態では丹生地区は滅びてしまう。これからの丹生や余呉のためにも中止を受け入れたんだという、その言葉にはなかなか応えていただいてないというのが現状であります。  ここで最後に、知事に質問をいたします。  中止に伴う事業の計画終了時期について知事にお尋ねをいたします。 ◎知事(三日月大造) お言葉を返すようで恐縮ですけど、多くの塗炭のお苦しみをいただいた住民の皆様方にできる限り寄り添おうということで、不十分なところはありますが、懸命に、琵琶湖環境部もそうです、職員が頑張っていると。そのことをお心のどこかで留めておいていただければと、そして応援していただければと存じます。  まず何より、長い歴史、苦渋の決断をされた皆さんにしっかりと寄り添った対策をするということが重要ですし、地域や国、機構、市としっかりと協議しながら、これは全国でもまれに見る、ダム事業が中止になった後の地域振興策ですから、造るときは一生懸命、しかし、中止になったら知らんぷりということにならないように、合意形成を積み重ねながら事業をつくり、進めていくという高度な行政テクニックも必要なんだと思います。今までになかった取組だと思います。こういうことに我々はしっかりと取り組んでまいりたいと思います。  丹生ダム中止に伴う地域整備は、特に計画終了の時期を定めたものはございませんが、水資源機構の追加的工事が完了する令和8年度末が一つの節目になると考えております。地域整備実施計画に定められた事業については、巨樹・巨木の現状把握も含めて、スピード感を持って対応してまいりたいと存じます。  しかし、自然、文化、歴史を生かした地域振興は息の長い取組が同時に必要だとも考えておりますので、県といたしましても、ダム対策委員会や近畿地方整備局、当然、長浜市とも連携協力しながら、地域の皆様が誇りを持って安心して生活していただけるよう、さらなる地域整備に積極的かつ継続的に取り組んでまいりたいと存じます。 ◆3番(柴田清行議員) (登壇)私が批判ばかりという部分で知事からもお言葉をいただきましたが、私もこの湖北に住む人間として、丹生ダム事業の中止というのは大変残念であります。その分、大戸川ダムの工事が進むということに関しては大変喜んでいる1人でもあるんですが、この5年の中で、道路工事に関しては本当に進んでいるというのは認めております、橋脚の問題に関しても。ただ、どうしてもこの令和8年というような、水資源機構がまずは整備を終える時期が迫ってくることによって、どうしてもしてもらわなきゃいけない、国に、事業はあると思ってます。今のままでは、市道奥川並線も含めて本当にやってもらえるのかというような不安は、この丹生ダム対策委員会の方々としゃべってても出ております。  知事が今、地元の方に寄り添うという大変ありがたいお言葉をいただきましたが、なかなか丹生ダム対策委員会の皆さんのお話の中で、また、奥川並の生産組合の巨木を持っておられる方々の話を聞くと、もっと私たちの話、聞いてほしい、寄り添ってほしいというのが今の現状なんです。だから、自然協定へも、なかなか奥川並の組合は協定にはサインができない、寄り添ってもらっていないという発言もされております。これは、先ほども言いました、200本以上、いや、300本近くある巨木を持っているという元職員さんの発言でも同じことを言われてました。これが進まないと、道路の問題も含めて、また、買収地の地域振興策も進まないという現状もあります。  どうか、この地域のために、苦渋の決断をされた方々のためにも、県としてしっかりと寄り添った対策をお願いして、私の一般質問を終えたいと思います。(拍手) ○副議長(岩佐弘明) 以上で、3番柴田清行議員の質問を終了いたします。  以上で本日の一般質問を終わります。  明10日は、定刻より本会議を開き、一般質問を続行いたします。  本日はこれをもって散会いたします。   午後5時2分 散会    ────────────────...